玄妙玉女
玄妙玉女(げんみょうぎょくじょ)または真妙玉女(しんみょうぎょくじょ)[1][2][3]は、道教における女仙であり、老子(太上老君の転生)の母として知られた。道教の経典で金母元君を凌ぐ一番目の女仙に列している。
『道法会元』によれば、「先天元后(せんてんげんこう)」は老子の母・玄妙玉女である[4]。
玄妙玉女は老子を生まれた後、天に昇って、武則天はかつて光宅三年九月甲寅が老子の母を「先天太后(せんてんたいごう)」に追封した[5]。
来歴[編集]
『太上老君金書内序』によれば、下界の幽冥の中は空洞を生んで、空洞の中は太無を生んで、太無に変化して玄・元・始の三黒を生んだ。三黒は変化して、数億の劫を経て、玉容神姿の玄妙玉女元君に化生した[6]。
『三天内解経』では「幽冥→空洞→太無→玄・元・始三気→玄妙玉女→老子」といった生成論がある。玄・元・始の三気混沌として相い困りて化し、玄妙玉女を生む。玄妙玉女生まれて後、混気凝結して、化して老子を生む。[7]
経典における記載[編集]
聖母元君[編集]
唐代末期の道士・杜光庭による女仙の伝記集『墉城集仙録』巻一によれば、聖母元君者は洞陰の玄和の気から凝化して人に変え、玄妙玉女と号して、上帝の師である。昼に聖母元君が楚国苦県・瀬郷曲仁里の渦泉の辺で仮眠した際、日象を感じるのは流星の光のように口の中に入って、それで妊娠があっだ。老子は母の胎内にあること八十一年を経て、聖母元君の左腋から生れた。[8]
『墉城集仙録』巻六によれば、九天玄女は黄帝の師・聖母元君の弟子である[9]。
宋元時代の道教経典『先天玄妙玉女太上聖母資伝仙道』の聖母元君は太上老君に対して教えによれば、「道は術によって人を救い、人は修練によって道を会得し、それから変化は無窮となる」[10]。
無上元君[編集]
玄妙玉女を「天水尹氏の娘」とする説は、元代の道士・趙道一が撰録した『歴世真仙体道通鑑後集』に記録することである[11]。また、『猶竜伝』[12]・『混元聖紀』[13]・『太上混元老子史略』[14]・『太上玄霊北斗本命延生真経註』[15]にもこんな説がある。
太上老君はまだ現世に転生したことがなかったので、玄妙玉女即ち無上元君を現世に下し天水尹氏の娘・益寿とさせ、仙人の李霊飛に嫁がせた。昼寝をしていた際に、太上老君は太陽の精を乗って、九竜を駕して下ってきて、五色の珠となって益寿の胎内に入った。益寿の胎内にいること八十一年たった商朝の武丁の九年庚辰二月十五日の卯の時、李の樹に登った母の左腋から生まれた。益寿は天に昇って無上元君の位に戻ると考えられている。
太一元君[編集]
太乙元君とも書く。趙道一の『歴世真仙体道通鑑後集』では上記の無上元君に次ぐ二番目の女仙に列している[16]。「群仙の尊」・「万道の主」と自称し、玄霊秘術を掌る。また、錬丹術と関連付けられている。玄妙玉女や斗母元君(驪山老母)と同一視される。
「先天太后太一元君」[17]、「聖母先天大聖后太乙元君」[18]、「授道太上太乙元君」[19]、「玄冥紫光太乙元君」[20]、「護明元妃素華金天英斗魁玄霊神太一元君」[21]、「清微洞光宝衡紫華元和明道太一元君王」[22]など尊号が付けられている。
『道徳真経蔵室纂微開題科文疏』によれば、聖母曰く玄妙玉女、其は上帝の師、後に太一元君の位を果たす[23]。
杜光庭の『道徳真経広聖儀』によれば、聖母は天にいて、号は玄妙玉女、即ち降育大聖(『猶竜伝』では誕育大聖)・太一元君である[24]。
賈善翔の『猶竜伝』によれば、五帝上真は九光八景の輿を擁して、聖母元君を迎えて玉清の上に帰して、今まで太一元君で、唐朝は彼女を先天太后と尊んだ[25]。
葛洪の『抱朴子』では、黄帝や老子は太一元君に仕えて神仙になる要訣を授けられた事が書かれいる[26]。
趙道一の『歴世真仙体道通鑑』によれば、黄帝は符瑞を釜山に合わせて、不死の道を得ていた。太一元君に仕えて、要を受けて修道養生の法を覚え、玄女、素女のもとに還精補脳の術(精を返して脳を補う術)を受けている[27]。
脚注[編集]
出典[編集]
- ↑ “『荘靖集』巻八第八”. 知識図譜. 2023年10月14日確認。
- ↑ “『猶竜伝』巻一第一”. 知識図譜. 2023年10月14日確認。
- ↑ “『辯偽録』巻第三”. 知識図譜. 2023年10月14日確認。
- ↑ “『道法会元』巻二第二”. 知識図譜. 2023年10月7日確認。
- ↑ “『捜神記』巻一第九”. 知識図譜. 2023年10月7日確認。
- ↑ “『太上老君金書内序』”. ウィキソース. 2023年10月7日確認。
- ↑ “『三天内解経』巻上”. ウィキソース. 2023年10月7日確認。
- ↑ “『墉城集仙録』巻一”. ウィキソース. 2023年10月7日確認。
- ↑ “『墉城集仙録』巻六”. ウィキソース. 2023年10月7日確認。
- ↑ “『先天玄妙玉女太上聖母資伝仙道』”. ウィキソース. 2023年10月7日確認。
- ↑ “『歴世真仙体道通鑑後集』巻一”. ウィキソース. 2023年10月7日確認。
- ↑ “『猶竜伝』巻三第七”. 知識図譜. 2023年10月14日確認。
- ↑ “『混元聖紀』巻二第三十三”. 知識図譜. 2023年10月14日確認。
- ↑ “『太上混元老子史略』巻中第十一”. 知識図譜. 2023年10月14日確認。
- ↑ “『太上玄霊北斗本命延生真経註』巻一第二”. 知識図譜. 2023年10月14日確認。
- ↑ “『歴世真仙体道通鑑後集』巻一”. ウィキソース. 2023年10月8日確認。
- ↑ “『道門定制』巻三第八”. 知識図譜. 2023年10月8日確認。
- ↑ “『太清道徳顕化儀』忠三”. 知識図譜. 2023年10月8日確認。
- ↑ “道蔵輯要『玄祖懺』五”. 知識図譜. 2023年10月8日確認。
- ↑ “『霊宝領教済度金書』巻二百七十七第一”. 知識図譜. 2023年10月8日確認。
- ↑ “『无上玄元三天玉堂大法』巻二十五第十一”. 知識図譜. 2023年10月8日確認。
- ↑ “『清微元降大法』巻二十五第九”. 知識図譜. 2023年10月8日確認。
- ↑ “『道徳真経蔵室纂微開題科文疏』巻二第十二”. 知識図譜. 2023年10月7日確認。
- ↑ “『道徳真経広聖儀』巻二第二十一”. 知識図譜. 2023年10月7日確認。
- ↑ “『猶竜伝』巻三第八”. 知識図譜. 2023年10月7日確認。
- ↑ “『抱朴子』巻十三”. ウィキソース. 2023年10月7日確認。
- ↑ “『歴世真仙体道通鑑』巻一”. ウィキソース. 2023年10月7日確認。