沖縄県南城市未公開株詐欺事件
沖縄県南城市未公開株詐欺事件(おきなわけんなんじょうしみこうかいかぶさぎじけん)とは、2002年に知人に未公開株を巡る詐欺を行ったとして、強制起訴されるも無罪が確定した事件。
概要[編集]
2010年3月に男性の申し立てにより、沖縄県南城市の投資会社社長Aを逮捕。那覇地検は不起訴としたが、3人の申し立てを受けた那覇検察審査会は2010年6月に起訴相当の議決。那覇地検は再び不起訴としたが、検察審査委員会は2010年7月に起訴議決をして強制起訴となった。
起訴内容では、2002年4~5月に投資会社社長Aが近いうちに上場すると言って未公開株購入(製造会社)を持ち掛けて、沖縄県内男性2人から計3600万円をだまし取ったとされる詐欺罪によるもの。別の男性から1200万円をだまし取ったとする詐欺罪は強制起訴後の捜査で時効の成立(7年)が確認された。男性Aは香港に行っていた期間があるため、その間は時効期間から除外されている。
裁判経過[編集]
検察官役の指定弁護士は2003年3月までに上場する可能性がないと把握していながら、2002年12月までに「年内に上場し、株価が3~5倍に値上がりする」と持ち掛けて、専門知識のない人に上場見込みの薄い未公開株を買わせたと指摘。悪質な手口だとして懲役7年を求刑した。一方、弁護側は上場可能性は十分あり、株価上昇が見込まれていたと主張した。
2014年3月14日、那覇地裁(鈴木秀行裁判長)は、無罪判決を言い渡した[1]。強制起訴された事件の判決が言い渡されるのは今回が初。一部は時効成立により免訴とした。判決では、Aの「株式上場による株価上昇を見込んでいた」という供述についてただちに虚偽とは言えないとした。そのため、「詐欺罪の構成要件に該当しない」と判断した。
2013年6月18日、福岡高裁那覇支部(今泉秀和裁判長)は、一審判決を支持して検察官役の指定弁護士の控訴を棄却。判決では、上場の見込みがないのに未公開株の購入を勧めたという主張に対して、「当時は投資家の間で注目企業と評価されていた」として、Aが上場すると考える根拠があったとして。この判決を不服として、指定弁護士は上告。強制起訴事件で初の上告となった。
2014年3月17日付の決定で最高裁第1小法廷(桜井龍子裁判長)は、指定弁護士側の上告を棄却[2]。強制起訴事件では、小沢一郎の事件に続く2件目の無罪確定となった。
脚注[編集]
参考文献[編集]
- 2014年3月21日読売新聞朝刊37面「詐欺罪で強制起訴 会社代表無罪確定へ 上告棄却」