暗闇の殺人

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このページでは「暗闇の殺人」をテーマにしたミステリー作品について紹介していく。

概要[編集]

このジャンルを総称する定着したフレーズは、今のところ存在していない。阿津川辰海の小説「二〇二一年度入試という題の推理小説」のなかでは(登場人物の台詞という形を借りて)「暗闇の殺人もの」と表現されており、本記事も便宜的にこれに倣う。

ポイントとなるのは下記の点である。

  • 近くに他の人がいたにもかかわらず、暗闇であるため犯人が誰なのか分からない(フーダニット)
  • 暗闇のなかで、犯人はどうやって被害者に近づいて犯行を行ったのか(ハウダニット)

単に「夜道で相手を襲った」とか、そういうのは本記事では扱わない。

作品例[編集]

小説
  • エラリー・クイーン「暗黒の家の冒険」(『エラリー・クイーンの新冒険』収録)
  • ジョン・ディクスン・カー「暗黒の一瞬」(『ヴァンパイアの塔』収録)
  • カーター・ディクスン「目に見えぬ凶器」(『不可能犯罪捜査課』収録)
  • エドワード・D・ホック「真っ暗になった通気熟成所の謎」(『サム・ホーソーンの事件簿Ⅲ』収録)
  • 倉知淳『過ぎ行く風はみどり色』
  • 北山猛邦「停電から夜明けまで」(『密室から黒猫を取り出す方法』収録)
  • 大山誠一郎「暗黒室の殺人」(『ワトソン力』収録)
  • 阿津川辰海「二〇二一年度入試という題の推理小説」(『入れ子細工の夜』収録)
    • 暗闇の殺人を派生させた「煙の殺人」が登場する。ウェブ通話を用いた誕生日パーティーの最中、プレゼントの箱から大量の煙が発生してカメラの視界を奪う。煙が消えるとそこには包丁で刺された死体が転がっていた...。
漫画
ゲーム
  • 『スーパーダンガンロンパ2』一話
  • 『ニューダンガンロンパV3』三話
ドラマ
  • 『相棒』season7 第17話「天才たちの最期」
    • ある詩人が朗読会の舞台上で服毒自殺を遂げた。最初は「自殺」として処理されたが、舞台の暗転中に他の人が毒を仕込んだ可能性が浮上する。

超派生系?[編集]

西澤保彦のSFミステリ小説『人格転移の殺人』では、前触れなく何名かの間で人格がいきなり入れ替わるという怪現象が発生する。そのため、目の前で殺人が行われているのに、犯人が誰なのか分からない(犯人の「身体」は分かるが、それを操っている「人格」が分からない)という奇妙な事態が勃発する。これはある意味、「暗闇の殺人」をアクロバティックに派生させた作品ということもできるだろう。