整除性の判定法

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整除性の判定法[1](せいじょせいのはんていほう, : divisibility rule, 中:整除規則)は、ある整数を別の整数で割った商が整数となるか(i.e. 余りがゼロであるか)を、割り算を直接実行することなく判別する裏技である。倍数の判定法ともいう[2]。ここでは、10進法での整除性の判定法について説明する。

割る数 判定法 具体例・備考
1 任意の整数は1で割り切れる
2 最後の桁が偶数(0、2、4、6、8)ならば2で割り切れる 1294:最後の桁4は偶数である。割り算を実行してみれば分かるが、1294は2で割り切れる[3]
3 各桁の数を合計したものが3で割り切れれば、3で割り切れる 405の場合、4+0+5=9、これは3で割り切れるから405は3で割り切れる[3]
各桁に現れる1, 4, 7の数を数える。次に各桁に現れる2, 5, 8の数を数える。両者の差が0ならば3で割り切れる 16,499,205,854,376:1, 4, 7は合計4回現れる。2, 5, 8は合計4回現れる。4-4= 0、∴3で割り切れる。
4 最後の2桁が4で割り切れれば4の倍数である 40,832:最後の2桁である32が4で割り切れる[3]
10の位が偶数の場合、1の位が0, 4, 8
10の位が奇数の場合、1の位が2, 6ならば4の倍数である
40,832:10の位の3は奇数で、1の位が2である。
10の位に2を掛け、それに1の位を加える。それが4で割り切れればもとの数は4の倍数である 40832:2×3 + 2 = 8、これは4で割り切れるから40832は4の倍数
5 1の位が0または5 [3]
6 2と3で同時に割り切れる 1458:1 + 4 + 5 + 8 = 18、∴3で割り切れる。最後の桁2は偶数であるから2で割り切れ、よって6で割り切れる[4]
10の位より上の数に4を掛け、1の位の数を加える。この操作を1桁になるまで続け、それが6で割り切れればもとの数は6の倍数である 354: 35 × 4 + 4 = 144,14 × 4 + 4 = 60,6 × 4 + 0 = 24,2 × 4 + 4 = 12,1 × 4 + 2 = 6,よって354は6の倍数
7 下から3桁ごとに区分する。下から奇数番目の区分は+1倍、下から偶数番目の区分は-1倍して合計する。これが7で割り切れれば7の倍数 1,369,851:851 − 369 + 1 = 483、これは7で割り切れる。よって1,369,851は7の倍数[4]
下から6桁ごとに区分する。各区分を合計する。これが7で割り切れれば7の倍数 16,498,888:16 + 498888 = 498904、これは7で割り切れる。以下略
1の位に2を掛ける。10以上の位からそれを引く。結果が7で割り切れれば7の倍数 483:48 −(3×2)= 42、7で割り切れる。
1の位に5を掛け、10以上の位に加える。結果が7で割り切れれば7の倍数 483:48 + (3 × 5) = 63、7で割り切れる。
最上位の桁の数に3を掛ける。それに上から2桁目の数を加える。こうして得られた数を上位2桁と置き換える。2桁になるまで続け、7の倍数に達したならもとの数は7の倍数 483:4×3 + 8 = '20'、48を20に置き換える。203:2×3 + 0 = '6'、20を6に置き換える。63:6×3 + 3 = 21、7で割り切れる。
下から数えて3桁以上の数に2を掛ける。これに下2桁を加える。2桁になるまで続け、7の倍数に達したならもとの数は7の倍数 483,595:95 +(2×4835)= 9765、65 +(2×97)= 259、59 +(2×2)= 63、7で割り切れる。
(6, 12, 18…桁の数に有効)下の桁から順に1, 3, 2, -1, -3, -2を掛け(周期性あり)、合計する。得られた結果が7で割り切れれば、7の倍数 483,595:(4 × (-2)) + (8 × (-3)) + (3 × (-1)) + (5 × 2) + (9 × 3) + (5 × 1) = 7、7で割り切れる。
8 100の位が偶数の場合、下2桁が8で割り切れれば8の倍数
100の位が奇数の場合、下2桁に4を加えて8の倍数になればもとの数は8の倍数 352:100の位3は奇数で、下2桁の52に4を加えれば56、これは8で割り切れる
下から数えて2桁以上の数に2を掛ける。これに下1桁を加えて8で割り切れれば8の倍数 56:(5×2)+ 6 = 16、8で割り切れる。
下3桁が8で割り切れれば8の倍数 34,152:152は8で割り切れる[5]
100の位を4倍する。10の位を2倍する。これらの合計に1の位を加える。結果が8で割り切れれば8の倍数 34,152:1×4 + 5×2 + 2 = 16、8で割り切れる。
9 各桁の数を合計したものが9で割り切れれば9の倍数 2880:2 + 8 + 8 + 0 = 18:1 + 8 = 9、9で割り切れる[3]
10 1の位が0ならば10の倍数 [5]
11 下から数えて奇数桁目は-1倍、偶数桁目は+1倍して合計する。結果が11で割り切れれば11の倍数 918,082:9 − 1 + 8 − 0 + 8 − 2 = 22、11で割り切れる[3]
下から2桁ごとに区分する。各区分の数を合計する。結果が11で割り切れれば11の倍数 627:6 + 27 = 33、11で割り切れる
50,215:5 + 02 + 15 = 22、11で割り切れる
下から数えて2桁以上の数から下1桁を引く。結果が11で割り切れれば11の倍数 627:62 − 7 = 55、11で割り切れる。
1の桁を10倍して10以上の桁の数に加える。2桁になるまで続ける。11の倍数に行きついたらもとの数は11の倍数 627:62 + 70 = 132:13 + 20 = 33、11で割り切れる。
全体で偶数桁の場合、最初の桁から最後の桁を引く。それを残りの(中間の)桁に加える。2桁になるまで続ける。結果が11で割り切れれば11の倍数 918,082(6桁)→1808 +(9 − 2)= 1815、81 + 1 − 5 = 77、これは11で割り切れる。
全体で奇数桁の場合、最初の桁と最後の桁を足す。それを残りの(中間の)桁から引く。2桁になるまで続ける。結果が11で割り切れれば11の倍数 14,179(5桁)→417 −(1 + 9)= 407、0-(4 + 7)= -11、11で割り切れる。
12 同時に3と4で割り切れれば12の倍数 [4]
下から数えて2桁以上の数を2倍する。そこから下1桁を引く。それが12で割り切れれば12の倍数 288:28×2 − 8 = 48、12で割り切れる。
13 下から3桁ごとに区分する。下から奇数番目の区分は+1倍、偶数番目の区分は-1倍して合計する。結果が13で割り切れれば13の倍数 2,911,272:2-911 + 272 = -637、13で割り切れる[4]
下から6桁ごとに区分する。各区分の数を合計する。結果が13で割り切れれば13の倍数 161,480,059:161 + 480059 = 480220、これは13で割り切れる
下1桁を4倍する。それを残りの桁に加え、13の倍数になればもとの数は13の倍数 637:63 + 7×4 = 91、9 + 1×4 = 13、13で割り切れる。
100の位以上の数を4倍する、そこから下2桁を引く。結果が13で割り切れれば13の倍数 923:9×4-23 = 13、13で割り切れる。
下1桁を9倍する。それを下から数えて2桁以上の数から引く。結果が13で割り切れれば13の倍数 637:63-7×9 = 0、13で割り切れる。
14 2と7で同時に割り切れる [4]
下から数えて3桁以上の数を2倍する。それに下2桁を加える。結果が14で割り切れれば14の倍数 364:3×2 + 64 = 70
1764:17×2 + 64 = 98、どちらも14で割り切れる
下から数えて2桁以上の数を4倍する。そこから下1桁を引く。結果が14で割り切れれば14の倍数 1358:135×4 − 8 = 532、14で割り切れる。
15 同時に3と5で割り切れる [4]
16 1000の位が偶数の場合、下3桁が16で割り切れれば16の倍数 254,176:1000の位の4は偶数。下3桁は176で、16で割り切れる
1000の位が奇数の場合、下3桁に8を加えたものが16で割り切れれば16の倍数 3408:1000の位の3は奇数。下3桁は408。408 + 8 = 416で、16で割り切れる
下から数えて3桁以上の数を4倍する。それの下2桁を加える。結果が16で割り切れれば16の倍数 1168:11×4 + 68 = 112、16で割り切れる
下4桁が16で割り切れる 157,648:下4桁の7648は16で割り切れる[5]
17 下1桁を5倍する。それを下から数えて2桁以上の数から引く。結果が17で割り切れれば17の倍数 221:22 −1×5 = 17、17で割り切れる。
下から数えて3桁以上の数を2倍する。そこから下2桁を引く。結果が17で割り切れれば17の倍数 4,675:46×2-75 = 17、これは17で割り切れる。
下から8桁ごとに区分する。下から奇数番目の区分は+1倍、偶数番目の区分は-1倍して合計する。結果が17で割り切れれば17の倍数 117,250,581:17250581-1 = 17250580、これは17で割り切れる
18 2と9で同時に割り切れる。
19 下1桁を2倍する。それを下から数えて2桁以上の数に加える。結果が19で割り切れれば19の倍数 437:43 + 7×2 = 57、19で割り切れる。
下2桁に4を掛ける。それを下から数えて3桁以上の数に加える。結果が19で割り切れれば19の倍数 6935:69 + 35×4 = 209、これは19で割り切れる
下から9桁ごとに区分する。下から奇数番目の区分は+1倍、偶数番目の区分は-1倍して合計する。結果が19で割り切れれば19の倍数 1,232,228,318:232228318-1 = 232228317、これは19で割り切れる
20 1の位が0、10の位が偶数
下2桁が20の倍数 [5]
21 同時に3と7で割り切れる。
下1桁を2倍する。それを下から数えて2桁以上の数から引く。結果が21で割り切れれば21の倍数 168:16 −8×2 = 0、21で割り切れる。
22 2と11で同時に割り切れる。
23 下1桁を7倍する。それを下から数えて2桁以上の数に加える。繰り返して23の倍数に行きつけばもとの数は23で割り切れる 3128:312 + 8×7 = 368、36 + 8×7 = 92、これは23で割り切れる
下2桁を3倍する。それを下から数えて3桁以上の数に加える。結果が23で割り切れれば23の倍数 1725:17 + 25×3 = 92、これは23で割り切れる
下から11桁ごとに区分する。下から奇数番目の区分は+1倍、偶数番目の区分は-1倍して合計する。結果が23で割り切れれば23の倍数 167,788,290,564:67788290564-1 = 67788290563、これは23で割り切れる
24 同時に3と8で割り切れる。
下から数えて3桁以上の数を4倍する。それに下2桁を加える。結果が24で割り切れれば24の倍数 1632:16×4 + 32 = 96、24で割り切れる
25 下2桁が25の倍数(00、25、50、75)
26 2と13で同時に割り切れる。
27 下から3桁ごとに区分する。それらの区分を合計して27で割り切れれば27の倍数 2,644,272:2 + 644 + 272 = 918、これは27で割り切れる。
下1桁を-1倍して下から2桁以上の位の数に加える。結果が27で割り切れれば27の倍数 621:62 −1×8 = 54、27で割り切れる。
下2桁の-2倍を下から3桁以上の位の数に加える。結果が27で割り切れれば27の倍数 6507:65×8-7 = 513、27で割り切れる。
28 同時に4と7で割り切れる。
29 下1桁に3を掛ける。それを下から数えて2桁以上の数に加える。結果が29で割り切れれば29の倍数 493:49 + 3×3 = 58、29で割り切れる
下2桁を9倍する。それを下から数えて3桁以上の数に加える。結果が29で割り切れれば29の倍数 5510:55 + 10×9 = 145、これは29で割り切れる
30 下1桁が0、その他の桁の数の合計が3で割り切れる 270:2 + 7 = 9、3で割り切れる∴270は30の倍数
31 下1桁を最後3倍する。これを下から2桁以上の位の数字から引く。結果が31で割り切れれば31の倍数 341:34 −1×3 = 31、31で割り切れる。
下から4桁以上の位の数を8倍する。これに下3桁を加える。結果が31で割り切れれば31の倍数 18042:18×8 + 42 = 186、これは31で割り切れる
32 10000の位が偶数の場合、下4桁が32で割り切れる。
10000の位が奇数の場合、下4桁に16を加えたものが32で割り切れる 340,179,488:10000の位の7は奇数。9488 + 16 = 9504、これは32で割り切れる。
下から3桁以上の位の数に、下2桁の4倍を加える。これが32で割り切れれば32の倍数 1376:13 × 4 + 76 = 128、これは32で割り切れる。
下から4桁以上の位の数を8倍して下3桁を加える。結果が32で割り切れれば32の倍数 19584:19×8 + 584 = 736、これは32で割り切れる。
下5桁が32の倍数
33 下から2桁ごとに区分する。それぞれの区分を合計したものが33で割り切れる 169,257:16 + 92 + 57 = 165、これは33で割り切れる
同時に3と11で割り切れる。
下1桁を10倍する。これを下から2桁以上の位の数に加える。結果が33で割り切れれば33の倍数 16104:1610 + 4×10 = 1650、165 + 0×10 = 165、これは33で割り切れる
34 下から3桁以上の位の数を2倍する。そこから下2桁を引く。結果が34で割り切れれば34の倍数 2516:25×2 − 16 = 34、34で割り切れる。
同時に2と17で割り切れる。
35 下から3桁以上の位の数を5倍する。そこから下2桁を引く。結果が35で割り切れれば35の倍数 7455:74×5 − 55 = 315、35で割り切れる。
36 下から3桁以上の位の数を8倍する。そこから下2桁を引く。結果が36で割り切れれば36の倍数 1152:11×8 − 52 = 36、36で割り切れる。
37 下から3桁以上の位の数を11倍する。そこから下2桁を引く。結果が37で割り切れれば37の倍数 68265:682×11 − 65 = 7437、37で割り切れる。
下から3桁ごとに区分する。それぞれの区分を合計する。それが37で割り切れれば37の倍数 728,395,061:728 + 395 + 61 = 1184、これは37で割り切れる。
下から2桁以上の位の数から下1桁の11倍を引く。結果が37で割り切れれば37の倍数 2294:229 −4×11 = 185、37で割り切れる。
38 2と19で同時に割り切れる。
39 3と13で同時に割り切れる。
下から6桁ごとに区分する。それぞれの区分を合計する。これが39で割り切れれば39の倍数 458,535,168:458 + 535168 = 535626、これは39で割り切れる。
下1桁を4倍する。それを下から数えて2桁以上の数に加える。結果が39で割り切れれば39の倍数 2262:226 + 2×4 = 234、これは39で割り切れる。
40 下1桁が0。下3桁と下2桁を2桁の数とみなし、それが4の倍数。 15960:最後の桁は0。96は4の倍数
下3桁が40の倍数
下から3桁以上の位の数を20倍する。これに下2桁を加える。結果が40で割り切れれば40の倍数 322840:3228×20 + 40 = 64600、これは40で割り切れる。
100の位が偶数の場合、下2桁が00, 40, 80
100の位が奇数の倍、下2桁が20, 60
467520、100の位の5は奇数で、下2桁は20。これは40の倍数
41 下1桁を4倍する。それを下から数えて2桁以上の数から引く。結果が41で割り切れれば41の倍数 492:49 −2×4 = 41、41で割り切れる。
下から5桁ごとに区分する。各区分を合計し、41で割り切れる 147,559:1 + 47559 = 47560、これは41で割り切れる。
42 2と3と7で同時に割り切れる。
43
下1桁を13倍し、下から2桁以上の位の数に加える。これが43で割り切れれば43の倍数 50998:5099 + 8×13 = 5203、520 + 3×13 = 559、これは43で割り切れる。
下2桁を3倍する。ここから下から3桁以上の位の数を引く。これが43で割り切れれば43の倍数 2021:21×3-20 = 43、43で割り切れる。
44 4と11で同時に割り切れる。
45 5と9で同時に割り切れる。
46 2と23で同時に割り切れる。
下から3桁以上の位の数に8を掛ける。それに下2桁を加える。結果が46で割り切れれば46の倍数 162,288:88 +(8×1622)= 13064、64 +(8×130)= 1104、4 +(8×11)= 92、46で割り切れる。
47 下から3桁以上の位の数に6を掛ける。それに下2桁を加える。結果が47で割り切れれば47の倍数 30691:91+6×306 = 1927、47で割り切れる。
下1桁を33倍する。それを下から数えて2桁以上の数に加える。結果が47で割り切れれば47の倍数 48128:4812 + 8×33 = 5076、および507 + 6×33 = 705、47で割り切れる
下1桁に14を掛ける。それを下から数えて2桁以上の数から引く。結果が47で割り切れれば47の倍数 3948:394 −8×14 = 185、47で割り切れる。
48 下から3桁以上の位の数に4を掛ける。それに下2桁を加える。結果が48で割り切れれば48の倍数 5712:12 + 4×57 = 240、48で割り切れる。
3と16で同時に割り切れる。
49 下2桁を2倍する。それを下から3桁以上の位の数に加える。結果が49で割り切れれば49の倍数 12457956:56 + 2×124579 = 249214、14 + 2×2492 = 4998、98+ 2×49 = 196、49で割り切れる。
下1桁を5倍する。これを下から2桁以上の位の数に加える。結果が49で割り切れれば49の倍数 3871:387 + 1×5 = 392、これは49で割り切れる
50 下2桁が50の倍数(00, 50)

出典[編集]

  1. G. H. ハーディ、E. M. ライト 『数論入門Ⅰ』 示野信一, 矢野毅訳、シュプリンガーフェアラーク東京〈シュプリンガー数学クラシックス〉、2001年、152頁。ISBN 4431708480
  2. 三野栄治「倍数の判定法について―整除性の特性から」、『長崎大学教育学部教科教育学研究報告』第12号1989年、 15頁、 NAID 120006970193
  3. a b c d e f 日本大百科全書 1987, p. 524.
  4. a b c d e f 学校数学事典 2014, p. 20.
  5. a b c d Richmond et Richmond 2009, p. 102-108.

参考文献[編集]

  • 『日本大百科全書』13、小学館、1987年11月1日、初版第一刷。ISBN 4-09-526018-1
  • Fritz Reinhardt 『カラー図解 学校数学事典』 長岡昇勇et長岡由美子訳、共立出版、2014年4月25日。ISBN 978-4-320-01895-2
  • Bettina Richmond、Thomas Richmond 『A Discrete Transition to Advanced Mathematics』3、American Mathematical Soc.〈Pure and Applied Undergraduate Texts〉、2009年。ISBN 978-0-8218-4789-3