救急カート
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救急カート(きゅうきゅうカート、英語ではCrash Cart)とは、病院内での心停止など病状急変に対し、迅速に二次救命措置活動を行うための薬剤・器材を揃えたカート。キャスターの付いた棚のような見た目で、判別しやすいよう赤などの塗装がされることが多い。
心停止、呼吸停止、意識障害、ショック状態といった急変発生時には、館内放送などで応援が要請され(いわゆるコードブルー)、即座に院内最寄りの救急カートを現場に移動、各種薬剤の投与や器具の使用を速やかに行えるようにする。
搭載物[編集]
搭載される薬剤や器材は、以下のように、急変対応を見越したものとなる。救急カートに搭載される物品や器具は、基本的に施設内で共通の基準を設け、不足がないかこまめに確認することが必要である。もちろん緊急時に薬剤の不足があってはならないし、不慣れな場所での対処で手間取っていると命にかかわるため、常時即座に使用できる状態にしておくためである。
毒薬指定の筋弛緩剤などをカートに備える場合があるが、薬事法第48条によると毒薬の保管には施錠が求められる。そのためICカード等で素早く解錠できる救急カートを用意したり、毒薬のみを別に保管するなどの対応が求められる。
- 救命措置に使われる各種の薬剤や器材
- 胸骨圧迫に使う背板
- 除細動器(AED等)、心電図、人工呼吸用マスク(BVM: バッグバルブマスク)
- 蘇生用のアドレナリン注射液、低血圧に適応するノルアドレナリン注射液ほかの緊急用薬剤
- 一般的な医療器具
- 点滴セットや生理食塩液(薬剤注入用の経路確保としても使われる)
- 膿盆
由来[編集]
米国で初めての救急カートは、心疾患専門の集中治療室を初めて設けたカンザスシティのベサニー医療センターが、1962年に設置したものである。バッグバルブマスク、除細動パッド、気管内チューブなどが搭載され、まさに現在の救急カートのはしりである。
現在のかたちの救急カートが設計開発されたのは、1965年、ジョエル・J・ノーベルがペンシルベニア病院にて外科の研修医として勤務していた際の「MAXカート」である。これは緊急時の処置効率と時短に成果を上げ、救命率の向上に寄与した。