摩周湖の巨大ザリガニ

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摩周湖の巨大ザリガニ(ましゅうこのきょだいざりがに)は、摩周湖で発見されたザリガニである。最大の特徴は全長1メートルもある巨大な体躯で、2024年現在標本は現存しない。いわゆるUMAに分類される。

沿革[編集]

摩周湖に正体不明の巨大ザリガニが生息することは、地元の人々の間ではよく知られた事実である。ただし摩周湖には漁業権が設定されておらず、また環境保全のためカルデラ内壁部への立ち入りが禁止されているため巨大ザリガニについて公表されることはなかった[注釈 1]。1926年以降摩周湖にはウチダザリガニ[1]やニジマスが放流され、1968年にはヒメマスが放流されている[2]。北海道立水産孵化場は毎年刺し網を使って追跡調査を行っているが、巨大ザリガニが捕獲された例はない[3]

1975年8月、当時小学校5年生だった川井唯史(現・国際ザリガニ学会事務局長)は、同級生の父親が巨大ザリガニを捕獲したと聞きつけ見にいった。そこで見せられた2個体のうち大きい方は頭胸甲長[注釈 2]が47センチあった。本人によると「腰が抜けた」状態にあったため、全長は測定しなかったが1メートルくらいあった(尾節と異様に大きな紺脚を地面につけて古タイヤの上に横たわっていた)。譲渡を断られたため標本は残っていない。また、1985年8月に川井は密猟者の網にに頭胸甲長30センチ程度のザリガニがかかっているのを目撃する。この時も譲渡を断られた[3]

その正体について、水産大学校増殖学科講師の濵野龍夫(現・吉備国際大学農学部海洋水産生物学科教授)らは1992年の論文の中で、ウチダザリガニが巨大化したものではないかと考察している。なお、それ以外の種が巨大化したという可能性も否定していない[4]。世界最大のザリガニであるタスマニアザリガニは最大で全長76センチ・体重4.5キロに達するが、原産国のオーストラリアからの持ち出しは禁止されており、摩周湖に放流されたという記録もない[5]。オカルト評論家の山口敏太郎も「巨大化したウチダザリガニであることはほぼ間違いない」と述べている[6]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ヒメマスやニジマスの密猟者によって混獲されていたらしい
  2. 眼寓後縁頭胸甲上から頭胸甲背部後縁までの長さ

出典[編集]

  1. Usio N、中田和義、川井唯史、北野聡「特定外来生物シグナルザリガニ†(Pacifastacus leniusculus)の分布状況と防除の現状」、『陸水学雑誌』第68巻第3号、日本陸水学会、2007年、 471-482頁、 doi:10.3739/rikusui.68.471ISSN 0021-5104
  2. 長内稔 「秋季摩周湖産ニジマス(スチールヘッドトラウト)及びヒメマスの産卵生態調査(予備試験)」『昭和45年度事業成績書』 北海道立水産孵化場、1971年、153-158頁。doi:10.11501/2520680
  3. a b 浜野et al. 1992, p. 74.
  4. 浜野et al. 1992, p. 84.
  5. Pierre Horwitz (1988). “Freshwater crayfish in Tasmania”. Tasmanian lnland Fish. Comm. Newsletter 17 (1): 3. https://web.archive.org/web/20230317150333/https://www.ifs.tas.gov.au/media/publications/IFS_Newsletter_VOL17-_NO1-_MARCH_1988.pdf 2023年3月17日閲覧。. 
  6. 山口敏太郎 (2023年10月13日). “「摩周湖の巨大ザリガニ」霧立ち込める神秘の湖に生息する巨大生物とは”. 東スポWEB. 2024年11月8日確認。

参考文献[編集]

  • 濵野龍夫、林健一、川井唯史、林浩之「摩周湖に分布するザリガニについて」、『甲殻類の研究』第21巻、日本甲殻類学会、1992年12月31日、 73-87頁、 doi:10.18353/rcustacea.21.0_73