戦艦学園のグラムリッター

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戦艦学園のグラムリッター』(せんかんがくえんのグラムリッター)は、手島史詞による日本ライトノベル作品。イラストはカスカベアキラ

概要[編集]

2015年9月19日に富士見ファンタジア文庫より刊行された。『黒の夜刀神』に続く来生直紀による作品。

ドラゴンマガジン2015年11月号に短編が収録されている。

ストーリー[編集]

魔法という限られた一部の魔導士とは別に「カガクシャ」と呼ばれる存在がいた大昔。カガクシャは、魔力という感じることができない力を「龍」という装置で集めて操れるようにした。その中でもグラムは魔力を操る古の魔法使いに近い存在であり、グラムリッターは魔導士と呼ばれるようになる。そして、ファフニールと呼ばれる災厄に襲われた人類は、龍甲艦と呼ばれる空を浮遊する船に乗って生活を送るようになる。

小鳥遊蒼真は、とある事件によってバッドルーザーと呼ばれてしまうようになり、龍甲艦学園ヒリュウの指導官として赴任する。そこで少女たちをグラムリッターとして育成するようになる。

登場人物[編集]

ヒリュウ[編集]

高等学校1年生11班[編集]

小鳥遊 蒼真(たかなし そうま、Souma Takanashi)
本作の主人公。三年間の軍隊生活を送った後、ある事件によって退役魔導士になる。そして、戦えなくなったことによって15歳にしてヒリュウの整備官として赴任するはずだったが、ヒリュウの指導官として赴任したことになっており、戸惑いつつも生徒の指導を行うことになる。
女子校ということで、あまり女性と接する機会が少なかった蒼真は慣れないながらも、立派な指導官であろうと務めていく。
グラムリッターとなったのは、第三十四期特別徴収魔導士として、戦龍限定の徴兵のような制度のため。11歳という史上最年少のグラムリッターとなる。父親もグラムリッターで他界している。軍部にいたころは、戦龍(バトルシップ)級グラム<封槍(フソウ)>を使っていた。戦龍級グラム<禁郷(コンゴウ)>の護送任務で、アドミラル級の伝説のファフニールと遭遇。戦龍でありながらも、グラムリッター26名と龍甲艦<ショウホウ>乗組員三千人を守れずに、自身も戦う力を失ってしまったことで、軽蔑の意味で「愚劣な敗者(バッドルーザー)」と呼ばれてしまう。コノハにバッドルーザーのもう一つの意味「負けず嫌い(バッドルーザー)」と言われたことで、蒼真自身がそのとらえ方を変える。
アドミラル級との戦闘で戦龍を酷使したことで、人としての寿命を使いきって投薬と検査によって長らえている。そのため、衛生兵として特別な才能があった火来が治療を担当している。そのため、みんなを守るために再び封槍を使って死の淵に立たされるが、コノハによって一命をとりとめる。
戦龍(バトルシップ)級グラム<封槍(フソウ)>
蒼真が使って板グラム。退役した後も次のグラムリッターが決まるまで、龍甲艦<ヒリュウ>地下第三甲板格納庫にある。
御国 コノハ(みくに コノハ、Konoha Mikuni)
身長:157cm / スリーサイズ:B85・W57・H86 / 血液型:A
蒼真が指導官として赴任してきた日にヒリュウへ転入してきた少女。蒼真の乗る輸送機がファフニールに襲われた際に、グラムを使って蒼真たちを助けた。
他人を拒絶しているわけではないが、どう話したらいいのか分からずに相手を怒らせるようなことを言ってしまって、後悔することが多い。特にマリーのことを怒らしてしまうことが多く、よく一人で反省している。
デストロイヤー<アカツキ>近距離中戦型
コノハの使うグラム。コノハの専用機。
柊 葉月(ひいらぎ はづき、Hadsuki Hiiragi)
身長:154cm / スリーサイズ:B90・W61・H87 / 血液型:B
蒼真の義理の妹。兄の蒼真がグラムリッターだったこともあり、グラムリッターを目指す。
デストロイヤーでグラムの許容量を超える魔力を持ち、加減を間違えるとオーバーヒートさせる。そのため、オーバーヒートさせないように撃墜する訓練を行い、調整できるようになった。
デストロイヤー<ムラクモ>遠距離攻撃型
葉月の使うグラム。
ハイデマリー・フォルツハイム(Heidemarie Pforzheim)
身長:163cm / スリーサイズ:B78・W59・H80 / 血液型:O
愛称は「マリー」。一年の首席。扱いの難しいタチカゼを使いこなすなど、戦闘能力は高い。周囲と比べて胸の大きさが小さいわけではないが、コノハや葉月の巨乳をみて自分の胸が小さいと気にしてしまっている。
コノハとの模擬戦で負けて、蒼真に「御国の方が強い。」とはっきりと言われたことで、蒼真とは少し距離ができてしまう。一番でなければ蒼いグラムリッターを追いかけることはできないという思いから、蒼真の言うことが正しいと理解しても悔しさをぶつけてしまう。蒼真が11班のみんなに食事を奢ったときに謝罪して和解した。
コノハとは反りが合わずに喧嘩しつつも、コノハが昨日と同じ下着を着ていたために着替えがないのではと心配して買い物に付き合うなど面倒見の良い性格。また、コノハが実は自分の言いたいことをうまく伝えられていないことも知っており、本心からコノハを嫌っていたわけではない。ただ、コノハの言い方にカチンとはきており、毎回喧嘩になってはしまっている。
13歳のころにエンジントラブルで艦がファフニールの巣に接近。ファフニールによって、友人や家が蹂躙されてマリーも殺されそうになったときに蒼いグラムリッターに助けられた。そして、蒼いグラムリッターは皇国のグラムリッターであることを知り、皇国に留学。魔導士としての才能は高くなく、辺境の弱将校であるヒリュウに入学となったが、強くなれば蒼いグラムリッターに会えると必死に努力した。留学で母親に資金で無理をさせたため、収入の多くは実家に仕送りしている。
蒼真がカーネル級のファフニールの襲来を知って、11班を守るために「戦龍(バトルシップ)級グラム<封槍(フソウ)>」を使って駆け付けたときに、自分を助けてくれた蒼いグラムリッターが蒼真だと知る。
デストロイヤー<タチカゼ>近接戦型
マリーの使うグラム。刃は銃としての機能を持つ。
花房 響(はなぶさ ひびき、Hibiki Hanabusa)
蒼真に憧れてグラムリッターとなった一人。一人称は「ボク」。幼く見える割に胸は大きい。ヒリュウの遥か前方にいたところを後に蒼真が倒したアドミラル級に最初に飲みこまれて死亡したと思われていた。だが、奇跡的に生還。朱鷺岡機動部隊唯一の生き残りとなる。
ずっと意識不明で蒼真と同じ病院に入院していた。ある日、意識を取り戻して蒼真のベッドに潜り込んで1年生11班と初めて出会う。ファフニールに飲みこまれたことで、髪は白色となって記憶喪失となってしまう。同時にグラムリッターとしての適性もできて、蒼真に封槍の後継者として育てて欲しいという依頼が来ることとなった。
記憶喪失だったが、憧れの存在だったためなのか蒼真の名前は覚えていた。蒼真に最初から懐いて「響」と呼んでもらっている。そして、学園にリハビリもかねて通うことになる。

生徒[編集]

天川 鈴音(あまかわ すずね、Suzune Amakawa)
身長:145.5cm / スリーサイズ:B76・W56・H79 / 血液型:O
ヒリュウの生徒会長。15歳だが、飛び級で三年生。三年のカリキュラムもほとんど終わっており、先生の手伝いもしている。
学園のことが大好きであり、学園存続のために蒼真に学園対抗戦に勝てるように指導を頼む。学園を守るために蒼真を整備官から指導官に引き抜いた本人でもある。そのため、蒼真に対して罪悪感を抱いていたが、蒼真には責任を感じる必要はないと言われる。
ミコトの厳しい視線を受けても前にしてもいつも通りに話すことができる。
ラストクルーザー<イスズ>
鈴音の使うグラム。他の指導官と同様に蒼真に良い感情を持っていない。

教員[編集]

火来 のどか(かく のどか)
実習主任の女性。20代と若い指導官で、一年生を担当している一人。戦線から転属になったグラムリッター。元々は衛生兵で、ヒリュウで唯一の意志の資格を持っている魔導士。
蒼真の主治医を担当している。
須東
一年生を担当している一人。

卒業生[編集]

シェリル
褐色の顔に快活な笑顔を浮かべる20歳前後の女性で作業服からハミ出そうな大きな胸をしている。輸送機にはアルファベットで大きく「CHERYL」とペイントしている。
蒼真をヒリュウまで輸送機で運んでいたが、途中でファフニールに遭遇。ピンチに陥るが、蒼真やコノハによって無事にヒリュウまでたどりつくことができた。
ヒリュウの卒業生で鈴音の一年の頃の先輩で顔見知り。ヒリュウの近くにアドミラル級のファフニールが出現した際に、蒼真を現場まで運ぶ。

朱鷺岡機動部隊[編集]

ヘビイクルーザー二隻、ライトクルーザー三隻、デストロイヤー十隻のグラムリッターのみで構成された15名からなる強襲部隊。ヒリュウの遥か前方を飛行していたところをアドミラル級によって隊は全滅する。

朱鷺岡(ときおか)
隊長の男性。
花房 響(はなぶさ ひびき)
蒼真に憧れてグラムリッターとなった一人。新人。ヒリュウの遥か前方にいたところをアドミラル級によって死亡したと思われていた。詳しくは高等学校1年生11班の項目を参考。

その他[編集]

天川元帥(あまかわげんすい)
皇国のグラムリッターの総司令官。
ミコト
コノハの実姉。〈皇国〉第二皇女。皇国最強のグラムリッター。鋭い眼差しの持ち主。蒼真を部下にしていた時期がある。
戦龍(バトルシップ)級グラム<八万都(ヤマト)>
ミコトの戦龍。最強のグラムと称される十二隻の戦龍級の中でも頂点に君臨する。

用語一覧[編集]

龍機士(グラムリッター)
機械でできた人間にとっての災厄である化け物「ファフニール」を破壊するために強化外骨格(グラム)を纏って戦う魔導士。多くは数年のうちに退役する。それはグラムを扱う力の代償が使用者の命なためで、通常は本当に寿命が縮む前に退役することになっている。
ファフニール
人類にとって脅威となる機械でできた化け物。
アドミラル級
小型の龍甲艦に匹敵する巨体。カーネル級をも遥かに圧倒する火力と装甲を誇る。架空の存在だともされていたが、ひと月前に現れる。
カーネル級
アドミラル級がひと月前に観測されるまで最強のファフニールとされていた。
キャプテン級
サージェント級のさらに上の脅威となるファフニール。
サージェント級
ファフニールの中では比較的下位。
龍甲艦(りゅうこうかん)
ファフニールが現れて人が大地を捨てて暮らすことになった空に浮かぶ船。かつての大地には龍甲艦が降りられる場所は既になく、動力が止まるだけで自重に耐えられずに圧潰する危うい存在。
龍甲艦学園ヒリュウ(りゅうこうかんがくえんヒリュウ)
蒼真が指導教官として赴任することになった学園。女子校。中型に分類される龍甲艦で、十一隻(デストロイヤー級十隻とクルーザー級一隻)と所有するグラムは少ない。そのため、次の学園対抗戦に負けると廃校になってしまう危機となっている。
グラムリッターの指導官
グラムリッターを育成するための指導官。退役の魔導士から指導官を選ぶのが軍部の常套手段となっている。
戦龍(バトルシップ)級グラム
皇国最強のグラム。そのため、敗れてはならないとされて、負けた場合は使用者が余程の失態を犯したということにされる。グラムリッターが敗北しても戦龍は破れないという絶対の安心を与えるためであり、戦龍もそれを理解して戦っている。
鱗界(りんかい)
かつて結界・障壁と呼ばれていた力場の盾。高度は鋼鉄を遥かに凌いで、形状を自在に変えられる。外骨格は鱗界を発生させる装置となっている。龍甲艦も恒常的に鱗界を展開して、外敵から守るだけでなく寒さや気圧からも艦を守る。艦で生活する住民一人一人からほんの少しずつ魔力をもらうことで鱗界を維持している。
学園対抗戦(がくえんたいこうせん)
民間の龍甲艦同士でグラムリッター候補生たちがする試合。勝った学園は賞品として倒した学園から一隻だけ好きなグラムを徴収できる。候補生の段階からグラムリッターの練度を高めるための制度。何年も負け続けるとグラムがなくなるところもあり、その龍甲艦と学園は解体されて軍の直轄艦(ちょっかつかん)となってしまう。
皇国
龍甲艦三十隻を誇る大国。グラムリッターの練度では世界最強とまで呼ばれる。皇国を治める皇族は、原初の龍に列なる魔導士で、戦龍を操るグラムリッターで戦場で先陣をきる将。
帝国(ていこく)
皇国の同盟国。マリーの出身国で、無数の龍甲艦を有する。

単行本[編集]

富士見ファンタジア文庫富士見書房)より刊行。

タイトル 初版発行日 ISBN その他 サブタイトル
戦艦学園のグラムリッター
問題児な魔道士と愚劣な指導官
2015年9月25日(2015年9月19日発売) ISBN 978-4-04-070729-7
  • プロローグ
  • 第一章 暁の龍機姫(あかつきのグラムメイデン)
  • 第二章 飛龍の少女たち(ひりゅうのしょうじょたち)
  • 第三章 愚劣な敗者(バッドルーザー)
  • 第四章 蒼いグラム(あおいグラム)
  • 第五章 金色の空の彼方で(こんじきのそらのかなたで)
  • エピローグ
  • あとがき
戦艦学園のグラムリッター2
転落の魔道士と迷える皇女
2016年1月25日(2016年1月20日発売) ISBN 978-4-04-070730-3
  • プロローグ
  • 第一章 蒼いグラムの後継者(あおいグラムのこうけいしゃ)
  • 第二章 惨敗の味(ざんぱいのあじ)
  • 第三章 惑いの夜(まどいのよる)
  • 第四章 再戦の空(さいせんのそら)
  • 第五章 狂える戦龍に付き立てる槍(くるえるバトルシップにつきたてるやり)
  • エピローグ
  • あとがき

外部リンク[編集]