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帰納的集合
帰納的集合とは、分野によって異なるさまざまな意味で使われる数学用語である。
無限公理[編集]
無限公理が存在を保証している集合、つまり論理式で書くと∅∈I∧∀x(x∈I→x∪{x}∈I)という性質を満たす集合Iを、帰納的集合(英語: inductive set)ということがある。この意味の帰納的集合はすべて無限集合である。自然数全体の集合ℕはこの意味の帰納的集合の一例である。
ツォルンの補題[編集]
ツォルンの補題の前提、つまり任意の全順序部分集合が上界を持つという条件を満たす半順序集合を帰納的順序集合(英語: inductively ordered set)または帰納的集合ということがある。1番目の意味の帰納的集合が集合一般に対する定義であるのに対して、帰納的順序集合は半順序集合に対してしか意味をなさないことから、異なる意味であるのは明らかである。たとえば自然数全体の集合ℕに通常の順序を入れたものは帰納的順序集合ではないが、ℕに
- 0≻n (n>0の場合)
- m≻n (m>n>0の場合)
のような順序≻を入れたものは帰納的順序集合である。このように同じ集合でも入れる半順序によって帰納的順序集合となるかどうかは異なる可能性がある。
記述集合論[編集]
筆者は詳しくないが、記述集合論でも前2者と異なる定義の帰納的集合があるらしい。英語版ウィキペディアのinductive setはこの意味の帰納的集合に関する記事だが、前2者の定義についても多少の説明がある。
有限集合[編集]
こちらのブログ記事で、有限集合を定義するために前3者のいずれとも異なる「帰納的」の定義が行われている。この定義は冪集合の部分集合に対してしか意味をなさない。このブログの筆者が勝手に考えた定義ではなく、参考文献のいずれかに書かれていると思われるため取り上げた。なおフォン=ノイマンの構成ではこのブログ記事で定義しているIₙ={0,1,...,n-1}はnに他ならないが、自然数の構成方法に依存しない議論を行っているとみられる。また、このブログ記事の途中で証明している定理(あるIₙとの全単射が存在すること)のほうを有限集合の定義とすることも多い。
数理論理学[編集]
数理論理学や計算機科学において、特性関数が再帰的な集合のことを帰納的集合または再帰的集合(英語: recursive set)という。英語では単語が異なるので混同することはないが、日本語では(帰納的集合と訳した場合)紛らわしい。伝統的にinductiveとrecursiveはどちらも帰納的と訳されてきたが、近年は混同を避けるためか後者を再帰的と訳すことも増えてきた。有限集合はすべて再帰的集合である。日本語版ウィキペディアの帰納的集合は再帰的集合に関する記事である。