峠に哭いた甲州路
峠に哭いた甲州路(とうげにないたこうしゅうじ)とは、時代劇ドラマ木枯し紋次郎の中で特に衝撃的な物語である。
ストーリー[編集]
冒頭[編集]
紋次郎は旅の途中、酔っ払った侍に喧嘩を売られるが、簡単に相手を倒す。
それを見ていた源太という片腕の無い渡世人に声を掛けられる。源太によると、源太の恋人お絹が女郎屋に売られることになり、女郎屋に売られるならばと源太はお絹の処女を奪ってしまう。その後、お絹は崖から飛び降り自殺する。
村人たちは「お絹が自殺したのは源太に手込めにされたからだ」と言って、源太をリンチし、源太の片腕を鎌で切り落としてしまう。源太によると、お絹が自殺したのは自分のせいではなく、女郎屋に売られるのを苦に自殺したのだとのこと。
源太は「五両払うから村人を皆殺しにするのを手伝ってくれ」と言う。紋次郎は「自分には関係がない」と言って、それを断る。
宿屋の娘お妙[編集]
紋次郎は村の宿屋に泊まる。宿屋の娘のお妙(おたえ)は若く美しい女性だったが片足がなかった。幼い頃イノシシに食いちぎられたとのこと。
村人は余所者の紋次郎に冷たかったが、お妙だけは紋次郎を手厚くもてなす。お妙は村から出たことがなく、旅人の話を聞くのが唯一の楽しみだったのである。お妙は紋次郎に「話をしてくれ」と頼む。それまで旅人たちは、気の毒なお妙を喜ばせようと、大袈裟な話を聞かせていたようであった。峠の向こうも山ばかりで小さな村が点在している程度なのだが、お妙は峠の向こうには江戸のような大都会があると思い込んでいた。
ことの真相[編集]
源太が渡世人たちを雇って村人を皆殺しにしたとき、お妙は「お絹は『江戸に嫁入りする』と言った。(嘘である。本当は女郎屋に売られる)お絹は嫁に行き、もう自分とは遊んでくれなくなる。それが許せなくて自分がお絹を崖から突き落としたのだ」と真相を明かす。
それを聞いた源太は長ドスでお妙に斬り付ける。お妙は致命傷を負い、紋次郎は源太を斬り殺す。お妙が死ぬ前に峠の向こうを見せてやろうと思って、紋次郎は、お妙を背負って峠に登るのだが・・・