大阪府泉大津市コンビニエンスストア1万円窃盗事件
大阪府泉大津市コンビニエンスストア1万円窃盗事件(おおさかふいずみおおつしコンビニエンスストアいちまんえんせっとうじけん)は、2012年6月にコンビニエンスストアから現金1万円が盗まれた事件。
概要[編集]
2012年6月に大阪府泉大津市のコンビニエンスストアで、店員がレジを開けたすきに現金1万円を盗んだとして男性Aが逮捕・起訴された。
刑事裁判[編集]
検察側は、犯人と思われる男が逃走時に自動ドアの出入り口を手で開ける様子が防犯カメラに映っていたことやコンビニのドアに残されていた指紋が男性と一致したとして、男性Aを2012年8月に起訴。
弁護側は、2012年10月に事件5日前に男性Aがドアの同じ部分を触る様子を写した防犯カメラの映像を検察に開示させる。また、男性Aは事件発生時に友人と自宅にいたとするアリバイを主張。これらのことから無罪を主張した。これに対して検察側は事件前の店員の清掃で5日前の指紋は消えたと主張した。2013年6月に男性Aは保釈されている。
2014年7月8日、大阪地裁岸和田支部(渡辺央子裁判官)は無罪判決(求刑・懲役2年6月)を言い渡した[1]。判決では、店員の清掃で指紋が消えたとする検察側の主張を退けて5日前についた指紋である可能性があるとした。また、アリバイの主張に対しても不自然な点はないと述べる。
大阪地検岸和田支部は7月22日、控訴を断念したと発表[2]。無罪判決が確定した。
民事裁判[編集]
2014年9月18日付で、無罪が確定して刑事補償法に基づき補償を請求していた男性に大阪地裁岸和田支部は勾留されたことに対する補償金として377万5000円を支払う決定をした[3]。男性は2012年8月の逮捕から約300日勾留されており、渡辺央子裁判官は「歌手デビューを目指して所属していた芸能プロダクションを辞めざるを得なかった」として、法の上限となる1日あたり1万2500円の交付を決定した。
無罪判決確定後、男性は大阪府と国を相手に慰謝料など計約1060万円の賠償を求めて大阪地裁に提訴[4]。男性側は「捜査当局は自らに不利な事実を隠した」と主張して、「タレント養成所を退学せざるを得なくなった」と慰謝料を請求[5]。大阪府は「逮捕したのは相当の容疑があったため」と違法性を否定。2015年4月17日の第1回口頭弁論で、国と大阪府は請求棄却を求めた[6]。その後、慰謝料を求めた訴えは棄却されている。
別の容疑者浮上による大阪府警による謝罪[編集]
2022年8月4日、大阪府警はAとは別の男性Bを窃盗容疑で書類送検したと発表してAは誤認逮捕だったと認めて謝罪する[7]。
大阪府警は時効を前にした2021年10月に現場に残された指紋を登録システムで照会したところ、レジカウンター付近に落ちていたポリ袋に付いていた指紋が別の男性Bのものと一致して事情聴取を行って、2022年8月4日に男性Bを窃盗容疑で書類送検したが、窃盗罪の時効が過ぎており不起訴となったという[8]。
関連項目[編集]
脚注[編集]
- ↑ 2014年7月8日、毎日新聞「無罪判決:コンビニ窃盗の23歳男性に 地裁岸和田支部」
- ↑ 2014年7月22日、msn産経ニュースWEST
- ↑ 産経ニュース「無罪確定男性に377万5千円の刑事補償 大阪」
- ↑ 2015年4月17日、朝日新聞DIGITAL「コンビニ窃盗無罪の男性が提訴 国などに賠償求める」
- ↑ 2015年4月17日、産経ニュース「「タレント養成所の退学余儀なく」窃盗無罪の男性、国賠提訴 大阪地裁」
- ↑ 2015年4月17日、YOMIURI ONLINE「コンビニ窃盗無罪で賠償提訴…国と大阪府相手に」
- ↑ 2022年8月4日、中国新聞「無罪男性の誤認逮捕認める12年の窃盗、大阪府警が謝罪」
- ↑ 2022年3月4日、朝日新聞「10年前の強盗容疑、大阪府警が誤認逮捕認める 別人を送検、不起訴」