大宝寺本堂
ナビゲーションに移動
検索に移動
大宝寺本堂(たいほうじほんどう)は、愛媛県松山市南江戸の仏堂。国宝。
桁行三間、梁間四間、単層、寄棟造二軒、本瓦葺(元は茅葺)である。様式は和様で、柱はすべて円柱で、柱上は斗栱を用いず、四隅の柱上にのみ簡素な舟肘木が置かれる。明確な建立年代は不明であるが、垂木間隅が柱間ごとに違うことなどから、平安時代末期の阿弥陀堂形式を踏襲した鎌倉時代初期の建築と考えられている。屋根は茅葺から延享2年(1745年)の修理で瓦葺に改めたと推察される。簡素ながらよく均整がとれた、愛媛県内最古級の建築として貴重であり、貞享2年(1685年)再興の銘ある修理棟札とともに国宝に指定されている。正面の3間には蔀戸を、両側面南端と背面中央に板扉を持ち、内部は床はが板張りで、南側1間を少し下げて外陣とし、その奥を内陣としている。堂内は四本の柱が建つが、それらは外周の柱と一列に通らない特徴を持っている。このため柱間隔は6通りに分類されるが、これらが、7尺、7尺半、8尺、9尺半、10尺、13尺と規則的な尺度で構成されていることが判かる。この尺度は定説では江戸時代中期に出現したとされ、又四郎尺と呼ばれてきたが、鎌倉時代初期に用いられていたことは注目される。
堂内の厨子は寛永8年(1631年)の作で、正面3間、軒唐破風付、柿葺、和様に禅宗様の手法を加味した折衷様の優作でともに国宝に指定されている。四国地方でも同じく国宝に指定されている高知県長岡郡大豊町寺内の豊楽寺薬師堂に次ぐ古い建築とみられる。