夏姫

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夏姫(かき)は、中国春秋時代の女性。7人の男を夫とした悪女とも、運命に翻弄された悲劇の女性ともされる。

異母兄に犯される[編集]

夏姫は、穆公と少妃姚子のあいだに生まれた。彼女は、切れ長の瞳に、杏の花のように白い肌と桃のように紅潮した頬で知られる絶世の美少女だった。これに目をつけた異母兄の公子蛮は、わずか10歳ほどの夏姫に性的な関係を強要した。公子蛮はその後も夏姫と姦通を続けたが、3年ほどすると亡くなった。伝説ではこの頃に夏姫は夢のなかで仙人と交わるとともに、男の精気を吸うことで10代後半のもっとも魅力的な容色と肢体を保つ術を学んだとされる。

陳において3人の男の性奴隷とされる[編集]

夏姫は隣国の夏御叔に嫁ぐと、9ヶ月もしないうちにその子どもの夏徴舒を産んだ。やがて夏御叔は死んだ。これは夭子蠻という人物が夏姫を犯すために殺したという説もある。その後も夏姫は陳国に留めおかれた。そして、息子の夏徴舒が官位を保つことができるようにするため、陳の大夫孔寧と儀行父の2人にいまだ美しい肢体を差し出した。やがて陳の霊公も加わって夏姫を嬲るようになり、夏姫は3人の性奴隷も同然の境遇となった。霊公、孔寧、儀行父は朝議の席において夏姫の下着を見せびらかすなどして、夏姫を弄んだ。

楚に囚われ、夫の息子の妾とされる[編集]

紀元前600年、息子の夏徴舒はこの境遇に耐えかね、陳の霊公を殺害して叛乱を起こした。しかし、荘王によって陳国は滅ぼされ、夏徴舒は誅殺された。夏姫は荘王の前に引きずり出され、荘王や子反の妾とされそうになるが、彼らは巫臣の諫言に従ってこれを諦めた。そして老いた臣下の襄老に夏姫を娶らせた。しかし、襄老もまたまもなく戦死した。襄老の息子である黒要は、夏姫を犯して妾とした。

巫臣との結婚[編集]

夏姫を救うため、巫臣は彼女とともにひそかに楚を脱出すると、鄭国へと逃れた。巫臣は鄭の襄公から婚姻の許可を得る。2人は、そしてに行った。夏姫は妊娠し、女児を出産した。この娘もまた美女として評判となり羊舌肸(叔向)の妻となった。