地面師

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

地面師(じめんし)とは、他人の不動産の所有者と偽り、詐欺によって第三者から金銭をだまし取るものをいう。地上げと異なり、詐欺という犯罪をはたらく。

概要[編集]

土地を探す役割、書類を偽造する役割、客を探す役割、売主になりすます役割など組織化されているのが特徴である。住宅地図により土地を探すことから始まる。これは図面師の役割である。土地が見つかれば、その実地踏査が行われ、売りやすい土地を候補地に選定する。候補地の中から、さらに登記所で謄本を閲覧し持主が住んでいない、または高齢者の所有地を選ぶ。売主やその代理人を偽装し、不動産業者に仲介を依頼する。売主の住民票やパスポートを偽造して司法書士や買主をだます。取引が成立すると、金を取って姿をくらます。

積水ハウス事件[編集]

住宅メーカの積水ハウスが地面師から約55億5000万円を騙し取られた事件である[1]。 JR五反田駅から徒歩3分にある旅館「海喜館」が舞台で、目黒川沿いの敷地面積600坪の土地であった。海喜館は大正10年に開館した旅館で、土地の所有者は海喜館の三代目の女将であった。平成29年4月24日売買予約により、IKUTA HOLDINGS、同日売買予約により積水ハウスへと、所有権移転請求権仮登記がなされていた。引き渡しには所有者(73歳)に扮した女性が、偽造印鑑証明書と偽造パスポートを持参した。当日、立ち会いの弁護士と司法書士は、見抜けなかった。積水ハウスは6月1日に、購入代金70億円のうち63億円を支払った。IKUTA HOLDINGSは地面師グループの会社であり、実態のないペーパーカンパニであった。

所有者は同年6月24日に死亡し、相続登記は2名の男性(所有者の実弟)に同年7月4日に登記され、7月25日に所有権移転請求権仮登記は抹消された。積水ハウスは6月9日に法務局から登記申請却下の連絡を受け、さらに自社が購入したはずの土地が2人の男性に相続登記されていることから、騙されたことを認識した。

2017年8月2日に積水ハウスは所有権を移転する一連の登記申請において、所有者の提出書類に真正でないものがあったため、登記申請が却下され、所有者と連絡が取れなくなったことを公表した。

脚注[編集]