名鉄モ770形電車

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

名鉄モ770形電車(めいてつモ770がたでんしゃ)は、かつて名鉄岐阜市内線系統で使用されていた路面電車車両の1形式。本項では、福井鉄道770形電車についても記述する。

登場の経緯[編集]

岐阜市内線の揖斐線谷汲線直通対応車両には昭和初期に製造されたモ510やモ520といった半鋼製の吊り掛け車が運用されており、老朽化も著しく進んでいた。そこでこの状況を打開するために、美濃町線向けに投入されていたモ880をベースに高速運転に対応した車両として2車体連接車4本が1987年に投入された。

構造[編集]

先行して登場したモ880に準じた全鋼製車体を備えるが、窓を一段下降式に変更され、車体幅も岐阜市内線の急曲線に対応すべく同系に比べて130mm狭くなっている。

内装はロングシートでトイレもないが、600V線区で初めて冷房が取り付けられた。

主電動機は38kW級の直流モーターに中空軸平行カルダン駆動の組み合わせだが、揖斐線の急行運転に最高時速70kmに対応すべく弱め界磁制御が設置された。ブレーキ方式もSMEとなっている。

車体塗装はスカーレット1色であったが、後にモ780に準じた塗色に改められた。772Fのみは1994年から3年間だけブルーライナー塗色となっていた。

運用[編集]

主に名鉄岐阜市内線 - 揖斐線の直通運用に使用され、急行運用では弱め界磁を駆使し最高時速70kmの性能を遺憾なく発揮した。一方で、電圧降下が激しく、新性能電車の運用に向かない揖斐線末端区間や谷汲線の運用に入ることはなかった。

2005年の岐阜市内線の全線廃止まで使用され、廃止後は全車が福井鉄道に譲渡された。

福井鉄道770形電車[編集]

譲渡は2005年内に行われ、譲渡前に塗装の変更、およびマスコンの交換や弱め界磁率の変更が名鉄側でなされている。ブレーキ方式はSMEのまま変化はない。

2005年9月から10月にかけて搬出され、2006年4月1日に運用を開始したが、ホーム高さが切り下げられているため、名鉄揖斐線内で使用された高床ホーム用のステップを使用する機会はない。

2016年よりえちぜん鉄道三国芦原線との直通運転が開始され、全車が対応改造を受けているが、収容力の問題からF1000形FUKURAM全車が計画変更で改造対象となり、以降は福武線内完結運用に就いている。

関連項目[編集]