名古屋1997

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名古屋1997』(なごや1997)は高井信によるSF小説。

1985年(昭和60年)の『月刊小説』8月号に掲載された短編小説『名古屋一九九七』を加筆・改稿したもので[1]、1987年(昭和62年)に徳間書店トクマ・ノベルズ・ミオから刊行された。高井にとっては初の長編小説である[1]。なお、カバーイラストと本文挿絵はスージィ甘金が担当している[2]

あらすじ[編集]

戸田恵介は22世紀の未来からタイムマシンで1997年の東京都に送られる筈が、名古屋市に到着する[3]。この時代、名古屋は「排他都市」を宣言して事実上の鎖国状態にあった。生粋の名古屋人だけの土地となっている名古屋で生き延びるため、恵介は記憶喪失を装う。偶然にも親切な住民に救われた恵介は、名古屋弁をマスターして、よそ者と見抜かれることなく市内に出かけられる程に。こうして1ヶ月の研修期間を終了した恵介は出発した2182年に戻った。

22世紀に戻ることが出来た恵介だったが、1ヶ月の名古屋での生活により名古屋弁でしか喋れなくなっていた。会社からは回復するまで出社不要を言い渡され、標準語への矯正訓練も失敗。絶望した恵介は最後の手段として「名古屋に戻る」ことを決断し、恋人の桃子を拉致してタイムマシンを動かすが、彼らが到着したのは「よそ者ハンター」が名古屋人以外を強制的に逮捕・排除する様になった1999年の名古屋だった・・・

主な登場人物[編集]

  • 戸田 恵介(とだ けいすけ) - 本作の主人公で、西暦2157年生まれの24歳。新入社員研修の一環として1ヶ月間のサバイバル生活を経験するべく1997年の東京に送られる筈だったが、マシントラブルで同年の名古屋に到着する。
  • 加賀 敦夫(かが あつお)- 記憶喪失の(振りをした)恵介の面倒を見る気の良い人物。5年前に交通事故で妻子を亡くしている。
  • 鈴木 忠秋(すずき ただあき)- 加賀たちが住む町の町内会長。恵介に名古屋弁を教授する。
  • 間瀬 桃子(ませ ももこ) - 恵介の恋人。一旦は名古屋弁しか喋れなくなった恵介を振ったが、1999年の名古屋に連れ去られる。

書誌情報[編集]

  • 高井信『名古屋1997』徳間書店、1987年9月30日、ISBN 4-19-153518-8

脚注[編集]

  1. a b 名古屋1997(1987)、P.215
  2. 名古屋1997(1987)、P.5
  3. 作中で加賀が「極楽」と発言しており、名東区極楽と思われる。