初期微動継続時間
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初期微動継続時間 (しょきびどうけいぞくじかん) とは、地震波のP波の到着時刻とS波の到着時刻の差のことである。「S-P時間」とも呼ばれる。英語では「duration of preliminary tremors」という。
概要[編集]
初期微動継続時間は、P波とS波の速度差に由来する。そのため、震源が遠いほど初期微動継続時間は長くなる。逆に震源地直近においては、ほとんど初期微動継続時間はなくなる。初期微動継続時間の秒数に8をかけると、ほぼ震源距離 (観測地点から震源までの距離・km) になる。例えば、初期微動継続時間が20秒のとき、震源距離はおよそ160kmである。このため、1つの地震計波形からその観測点と震源の距離を概算したり、少数の地震計波形から震源の位置を決定する際にも、初期微動継続時間は有用である。
応用例[編集]
防災の面からは、この初期微動の時間は、有効なものとされている。初期微動は、S波による地震動より相対的に小さいものであるために、この微動の時間においては避難も容易であり、地震警報システムやエレベーターのP波センサ付き地震時管制運転のイニシャルタイムとしても使われる。
大森公式[編集]
1899年に、地震学者の大森房吉が発表した「大森公式」は、初期微動継続時間から震源距離を求める式である。 震源距離を 、P波の速度を 、S波の速度を 、初期微動継続時間を とすると、
- P波の到着にかかった時間
- S波の到着にかかった時間
- 初期微動継続時間t
予想される震源距離÷地震波(初期微動)でt波の訪れを予測できる
- 震源距離
は通常6 - 8 km/秒で大森係数 と置かれ、大森公式は
である。