伊佐沼弁
伊佐沼弁とは、埼玉県川越市にある大字伊佐沼周辺で話される日本語の方言である。
概要[編集]
各地で見られる「単語自体が変わる」のもあれば「原型を留めた変化形」も存在する。
旧伊佐沼村では村内全域で話され、昭和30-40年代までは村民のほぼ全員が話せたが現在(2021年6月)では一部の高齢者のみが日常会話で話される。
埼玉弁との類似性が高い。しかしながら伊佐沼弁にしか見られないような単語(以下*)があり話者が文献や郷土誌などに残すことがない。また高齢者からの口伝や伝達などはほぼ皆無で、現時点では若い世代(10-50代)への浸透率は極端に低い。(これは、高齢者の話者が方言を日常的に使ってはいてもその対象が同世代の人間に限定されている場合が多い為)
単語例[編集]
あ行[編集]
あがり口*=玄関から一番近い段差
あがる=入る(家)
あしわすら=足を動かす
いんごっぱち=頑固者
いら*=たくさん、とても
うっちゃる・ほっぽる=捨てる
うでっこき=思いっきり
うっかす*=草を刈る
うむす=蒸す
うっぱしる=大急ぎで走る
うなう*=耕す
おだあげ=無駄話
おっぺす=押す
おらがう(ん)ち=自分の家
おくり*=うしろ
か行[編集]
かんます*=混ぜる
かったりー=だるい
かむ*=匂いを嗅ぐ
けめるい=羨ましい
けちまずく=転ぶ
けっぱる=蹴り飛ばす
こわい=硬い
さ行[編集]
ささらほーさら*=めちゃくちゃ
せど*=裏の家
そらっぺ*=ほらふき
た行[編集]
ちっとんべえ=少し
つっかぶす=かぶせるの意味
つーペー=おあいこ
とっぽい*=のろまな
は行[編集]
はすった*=田んぼのようなぬかるんだ土地
はくたもん*=馬鹿者
はしり口*=月の終わり(月末)
〜ばい=〜ばかり
ひゃくまんだら*=うそ
ひっかく*=割る
ぶっくらす=ぶっとばす
ふく=沸騰する
ぼっこす*=壊す
ま行[編集]
ものぐさ=まぬけな
もす*=燃やす
や行[編集]
ゆわく*=結ぶ
よかんべえ=良いだろう
文例[編集]
「おらがんちはよ、おめえんちのせどにあってちっとんべえおくりにあるんだよ=(私の家はあなたの裏にあって少し奥の方へ行った所にあります。)」
「ひっかいたけどつーペーにしてくんない?=(割ってしまったんだけれどおあいこにしてくれませんか?)」
「ゴミばいもしてたら父ちゃんにぶっくらされるぞ=(ゴミばかり燃やしてたらお父さんにぶっ飛ばされるよ!)