人材育成
人材育成(じんざいいくせい)とは、組織を維持・発展させる人物を人材として捉え、そのような価値観を共有化できる人物を育成する手段のこと。他の人には代えがたい人を育てるという意味で「人財育成」と書くこともある。
概要[編集]
人は、家族の枠を超えて社会性を持って生活を営む上で、地域あるいは職場などの組織(コミュニティー)に属して、自分以外の人との価値観の差異を認識(我慢)しながら共存しなければならない。小さな組織では町内会や子供会や趣味等のクラブ、あるいは近隣の商店街組合や宗教団体など、その他職場では顧客や関連先やOBの様子まで含め、また子供でさえも学校のクラスメイトなど、さらに大きくなれば地方自治体や政府という組織規模にもなって社会性が求められる。
その際、組織の目的が組織内で共通化されていれば、人は進んでその差異を受け入れ他者に対しても組織への理解と帰属を求めていく。あるいは、組織の将来性が見られなければ、その組織への加入者は増えなくなる(国家においては晩婚化や少子化の発生など)。
目的の共通化に際しては、組織の維持における新たに属することとなった人への周知(知識の伝承)に加えて、組織の発展においては規模の拡大化や次代に即した修正も必要となり、その経過で、従来の作法に関した問題点と新たな改善案とのギャップを埋める作業を行う人が求められる。この作業を進んで行う人を育成することが「人材育成」である。
人材育成の定義の例[編集]
- 職員一人ひとりがそれぞれの役割に対応した能力を備えられるようにするとともに、職員の意欲に対応して、各人の能力を最大限に開発・伸長することにより、都の組織力を一層強化していかなければならない(東京都)
- モノづくりは人づくり、人づくりは「価値観の伝承」であり「ものの見方」を伝えること(トヨタ)
- 使命感と熱意を持ち、自ら考え行動できる職員の育成(静岡市)
- 跡を継いで将来を担う次代の「徳を備えた人材」の育成(静岡県・川勝知事)
組織の継続に際しての反作用[編集]
ある組織が問題点を認識して改善策を図る際に、その進め方によっては反作用が働き、組織が硬直化して問題点が増える場合もある。例えば、これまでは手書きの文書であったものを誤字脱字を減らそうとワープロ等で書式化しようとし、新しく比較チェック部門とワープロ教育部門が必要になり、字の上手なものが不要になって代わりに管理職を増やすこととなったりワープロの操作が出来る即戦力を採用しなければならなくなって、しかし誤字脱字が減っていない等、組織維持の目的も全く異なっていくこともある。また、電算化やIT化と称してデータベースを構築するようになって、その維持管理に多大な費用や時間や専門の労力を要することとなったりもする。
人材に関する格言等[編集]
- 人は城、人は石垣、人は堀(甲陽軍鑑)
- 設備投資や人材育成よりも優秀な人間が集まる環境を(ビル・ゲイツ)
- リスクを取る勇気がなければ、何も達成することがない人生になる(モハメド・アリ)