ニクトグラフィ

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
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「ニクトグラフ」の復元品。大きさの比較のために5ユーロセント(直径21.25mm)が隣に置かれている。

ニクトグラフィ(nyctography)とは、ルイス・キャロルのペンネームで知られるチャールズ・ラトウィッジ・ドジソン氏が1891年に発明した、速記術の方法である。

ニクトグラフィは、同じくドジソンが発明した「ニクトグラフ」(nyctograph)という道具を用いて記述される。左上隅にある点から出発して点または滑らかな線を描く。ニクトグラフを使えば、素早くアイデアをメモしたり、照明器具がなくても文字を書き記すことができる。

ドジソンは、しばしば夜中に急いで書き留める必要があるアイデアを思いついて起きることがあった。そのとき、どうせすぐに消しなおすことになる照明をつけるための手間を億劫に感じた。この手間を解消するために、ニクトグラフとニクトグラフィが発明された。

この装置は、16個の正方形が配置された格子状のボードと、後日通常の英語に翻訳し直せるようになっているドジソン独自のアルファベットのデザインを表す符号、から成り立っている。

彼ははじめtyphlographと命名したが、ある同僚研究生の提案によりnyctographyに改名した。[1]

ドジソンは最初、暗闇のなかで書くのを助けるための中央部が切り落とされた長方形のボードを用いていた。[1]しかし書かれた文字が読みにくく満足のゆくものではなかった。新しい最終的なニクトグラフのバージョンについては、1891年9月24日の彼の日記に記されている。また、同年10月29日に雑誌"The Lady"に送られた手紙のなかで触れられてもいる。

私がしばしば経験しているような、真冬の午前2時にベッドから起き、照明をつけ、書き留めておかなければ多分忘れてしまうだろう楽しい思いつきについて記録する、という手間を経験したことのある人なら誰でも、それが非常に快適でないという私の意見に賛同してくださるでしょう。いま、私が目を覚まして記録したい何かについて考えるとき、私がする必要のある全てのことは、枕元から、私の開発したニクトグラフを含むメモ帳を引き抜いて、数行あるいはせめて数ページを、寝具の外に手を出すことなく書きとめ、そしてメモ帳を元に戻し、また眠りにつく・・・というたったそれだけの手順なのです。―――私は、それぞれ1つの文字が割り当てられた正方形の四角の列(その四角形は4分の1インチで、これは私がとても使いやすいと思うサイズです)を作りました。この道具は従来の書き留める方式よりもずっといいアイデアですが、文字が依然として読みにくくなりがちでした。そのとき私は「そうだ、隅の点だけを使った四角形のアルファベットや側面に沿った線を発明すればいいんじゃないか?」と気付きました。私はすぐに、書かれたものを読みやすくするためには、それぞれの四角形がどこから始まっているのか知る必要があると気付きました。この私は、すべての四角形の文字がN.W.の隅の大きな黒い点を含んでいるべきだというルールを確信していました。―――[私は]文字の明瞭な類似点を表現することのできる23の[四角形の文字]を得ることに成功しました。盲目の人が何もせずに過ごす孤独な数時間のこと、また彼が喜んで自らの考えを記録するときのこと、を想像してみてください。祝福されたあなたが、四角形の穴の列を含むボール紙でできた、小さな「消えない」メモ帳を彼に与え、そして四角形の独自のアルファベットを教えてあげることによって、より大きなものを彼にあげられることに、気付くはずです。

この説明によって、ドジソンのニクトグラフとは、1つのボードから切り落とされた16の穴の列であったことが分かる。彼は、それぞれの穴に独自に開発した符号のひとつを当てはめて、それからボードを次の行へと動かしていき(たぶん暗闇のなか当て推量で動かす必要があったろう)、その過程を繰返したと思われる。

ニクトグラフィによって記された、とはっきり分かる文章は現存していない。しかし、個人的な日記を含む彼の何らかの著作物のうちに、一度ニクトグラフィで書き留めた内容を書き直した文章が含まれている可能性はある。

出典[編集]