トランジスターグラマー
トランジスターグラマーは、小柄だがグラマーな女性を表す和製英語である。トラ・グラともいう[1]。1959年(昭和34年)の流行語である[2]。
1955年(昭和30年)、日本初のトランジスタラジオが発売されるが、これは従来の真空管ラジオに比べて急速な小型化であり、あわせて音質も極めて向上した。そのような時代を背景に誕生した俗語である[1]。
1959年(昭和34年)、児島明子が日本人として初めてミス・ユニバースで優勝する[3]が、国内のファッション界ではその反動で小柄なモデルがもてはやされたという文献もある。八頭身よりも「3C(ちいさい・かわいい・かっこいい)」が重視され、日本人らしい、小型でも高性能のモデルをトランジスターグラマーと呼ぶこともあった[4]。
2004年(平成16年)にはこの言葉に由来するTOKIOの楽曲「トランジスタGガール」がリリースされた。
その他[編集]
福田逸(1948年1月31日 - )は、小学校四年生当時の思い出として「当時はやっていたトランジスタ・グラマーという言葉」などと後に記している[5]が、これは本当であろうか。
本人は「多分昭和33年のこと」と述べている。家族で大磯ロングビーチクに行った時の記憶として、たまたま出くわしてしまった平岡瑤子(三島由紀夫夫人)の水着姿についてトランジスターグラマーという感想を抱いたとのことだが、小学校四年生というのが本当ならば1957年4月1日から1958年3月31日の出来事となる。可能性が高いのは1957年(昭和32年)夏。昭和32年の時点でこの言葉は使われていたのだろうか。昭和33年以前に限定してデータベースを全文検索したところ、国立国会図書館デジタルコレクション、ヨミダス歴史館、朝日新聞クロスサーチ、毎索、大宅壮一文庫雑誌記事索引検索ではヒットなし。
注釈[編集]
- ↑ a b 小松 2000, p. 593.
- ↑ 米川明彦 『日本俗語大辞典』 東京堂出版、2003年11月10日、440頁。ISBN 4-490-10638-6。
- ↑ 「アルバム 生いたち 宇宙一の美女が生れるまで」、『週刊サンケイ』第8巻第37号、産業経済新聞社、1959年8月25日、 31-32頁。
- ↑ 「一九五九年(昭和三四)」『20世紀のことばの年表』 加藤廸男、東京堂出版、2001年11月5日、142-143頁。ISBN 4-490-10567-3。
- ↑ 福田逸 『父・福田恆存』 文藝春秋、2017年7月30日、第一刷、158頁。ISBN 978-4-16-390688-1。「小学校の四年だった私は、かなり強烈な印象に目を眩ませられた――三島にではない、夫人の弾けんばかりのグラマラスな水着姿にである。当時流行のトランジスタ・グラマーといふ言葉を子供ながらに思ひ浮かべたものだった。」
参考文献[編集]
- 小松奎文(編著) 『いろの辞典』 文芸社、2000年7月3日。ISBN 4-8355-0045-8。