デアドラ
デアドラ (Deirdre)[1]はケルト神話の悲劇のヒロイン。預言によって、幼い頃から王の性奴隷となるべく育てられていた。
生涯[編集]
災いを招く美少女[編集]
アルスター王国に、一人の女の子が生まれた。この子どもの父は、吟遊詩人フェリミ・マック・ディル。王に仕える人物だったとはいえ、特別な男ではなかった。しかし、ドルイド僧のカスバドは、この子どもの将来についてこう予言した。「この子はとても美しい少女になる。しかし、彼女は国に大いなる災いをもたらすだろう」と。
そのため、この子どもは「デアドラ」すなわち「災い」という名前をつけられることになる。そして、貴族達は後難を恐れて、デアドラを殺そうとした。
性奴隷候補[編集]
ところが、アルスター王コンホヴァル・マク・ネサはデアドラを殺すことに反対した。王は粗野な人物であり、領内の気に入った処女の少女を、初夜権によって犯していた。敵国の王女四姉妹を奪い、無理やり妃ともしていた。それどころか彼は酔った挙句に美人の姉ディアヒネを無理やり犯し、妊娠させたと噂されていたのである。
好色な王は予言のうち「デアドラが美少女になる」という部分が気になった。「それほど美しい娘なら、抱いてみたいものだ」と考えたのだ。そこで、彼は大勢の妻のいる身でありながら、成長した少女を妾とすることに決めた[2]。
貴族たちや父の吟遊詩人はこれに逆らうことはできなかった。デアドラは塔に監禁された。そして、宮廷に仕える女賢者が彼女を育てることとなった。
予言通り、デアドラは美しく成長した。年頃の少女となったデアドラは、王の慰み者となる未来を嫌った。そして、育ての親である女賢者に「わたしは黒髪のかっこいい男の人と恋愛をしてみたかったの」と言った。しかし、少女が王に犯されるのは時間の問題だった。
女賢者はデアドラを哀れに思った。デアドラは、女賢者によって、ノイシュという少年に引き合わされた。彼は優秀な戦士であり、黒髪の爽やかな容姿をしていた。たちまち、デアドラはノイシュと恋に落ちた。二人は駆け落ちすることを決めた。
卑劣な罠[編集]
王は逃亡した二人を捕らえるように命じた。追手の捜索は過酷を極めたが、デアドラはノイシュとともに遠く離れた地に逃げ延びることができた。
二人は束の間の平穏を享受した。だが、その生活には苦労が多かった。やがてデアドラとノイシュは、王が二人を赦免する旨の命令を出したことを知る。王はこの命令を翻さないことを神に誓って約束した。ノイシュはこれを喜び国に帰ろうとしたが、デアドラは悪い予感がした。 デアドラの必死の反対にもかかわらず、ノイシュはデアドラを連れて国へ帰ることにした。
二人を待っていたのは、破滅だった。王はイーガンという戦士にノイシュを殺すように命じていた。ノイシュはデアドラの目の前で惨殺された。そして、少女は捕らえられた。その夜、デアドラは王に襲われた。
恋人を殺した憎い男にレイプされ、デアドラは涙を流したが、どうすることもできなかった。彼女は以前と同じように砦に閉じ込められたが、しかし待遇は大きく異なった。デアドラは王の妾とされたのである。美しいデアドラは王に毎晩のように犯され、その未成熟の体を蹂躙された。
最期[編集]
こうして性奴隷としての日々を送ったデアドラだが、彼女はいつも悲しみに沈んでいた。一年ほどたったある日、デアドラは王に「おまえはいつも憂鬱な顔をしているな。何が嫌いなのだ?」と尋ねられた。少女は答えた。「わたしは、わたしの恋人を殺した陛下とイーガンのことが嫌いなのです」と。
王はこの答えを不愉快に思った。そこで王は少女に罰を与えることをした。イーガンにも彼女を犯す権利を与えたのである。王とイーガンはかわるがわるデアドラを強姦した。そして、王はデアドラを嘲り、こう言った。「おまえの憎む二人に嬲られる気分はどうだね?」と。
もはや、デアドラはこの境遇に耐えることはできなかった。デアドラは岩場に身を投げ、自らその命を絶った。
王はこの一件で国中からの信望を失った。やがて大きな戦乱が起こり、国王は戦死し、多くの者が殺された。こうして予言通り、ディアドラの存在はアルスター王国に大きな災いをもたらしたのである。