セットバック

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建築基準法上、建物の建設には、幅4m以上の道路に接している必要があるが、既存の道路が幅4mに満たない場合には、敷地の一部に一切の構造物を設置することができず、道路として扱わなければならない。これをセットバックと呼ぶ。

セットバックされた部分や、セットバックの必要な道路には、行政の指定した赤い十字入りの杭や、矢印の入ったプレートが埋められ、境界が明確にされている場合もある。

1919年に制定された市街地建築物法では、建物は幅員2.7m以上の道路に面している必要があった。しかし1950年に施工された建築基準法では、救急車や消防車といった緊急自動車の通過、また災害時の避難のために、必要な幅員が4mに拡大され、既に市街地が形成されている地域では、既存の建物の建て替えなどが出来ない規制となってしまった。これを救済するため、指定された道路の中心から2m以内に構造物を設けてはいけない規定を導入し、既に市街化している地域であっても建て替えを行えるようになった。この道路を2項道路と呼ぶ。

この規定を設けることで、幅員4mに満たない市街地の道路であっても、既存建築物の建て替えが進むにつれて、幅員4mとすることができる。

セットバック範囲の制限[編集]

セットバックによって、建築が制限された敷地については、公共の道路として扱われる。非課税とされるが、基本的に土地所有者の自由に使える土地ではなくなる。また、建築物の建蔽率・容積率の算定に用いることができず、狭小な土地では、建築できる建物が更に小さくなる。そのため、建て替えではなく改築のみで凌ぎ、セットバックを行っていない例も多くみられる。

セットバック範囲の指定[編集]

基本的には、2項道路として行政が指定している道路の、中心から2mの帯状の範囲は、みなし道路として扱われ、これがセットバックすべき範囲となる。ただし、建築する土地の、道路を挟んだ向かい側が、川や崖であるなど、道路として拡幅される見込みがない場合は、道路の幅4mを確保するため、川や崖側の道路端から4mがセットバックすべき範囲となる。

行政の指定によっては、幅員6mの道路を確保するため、中心から3m(もしくは道路の反対端から6m)の範囲となる場合もある。