スティーヴンイワサザイ

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スティーヴンイワサザイ(Xenicus lyalli 英:Stephens Island Wren)はニュージーランドに位置する1.5k㎡ほどの小島、スティーヴンス島で発見されたスズメ目の鳥類。一匹の猫によって1894年に発見され、同じ年にその猫の手によって絶滅した。

我が国にはスチーフンイワサザイの名で最初紹介されたためにその表記を採用する書籍も多い。

概要[編集]

剥製と生前の想像図。

体長10センチほどで茶褐色~鶯色の地味な体色であったとされ、現行スズメ目の鳥類としては唯一飛べない鳥であった。発見と同時に絶滅したため生態も全くの不明である。

灯台がこの島に建設されると1892年の4月に3家族17人が移住、何やらミソサザイらしき鳥がいることに気が付いたが、誰も気にしなかった。1894年1月に灯台が運転を開始し、2月には下手人たるメスの猫「ティブルス(Tibbles)」が島に持ち込まれた。6月にはティブルスがその"ミソサザイ"をくわえて飼い主であるデイヴィッド・ライオール(David Lyall)の元へやってきた。彼はこの見たことのない鳥を英国の鳥類学者ウォルター・ブラー(Walter Buller)に送り、7月にはブラーによって新種であると認定された。ブラーは9匹の標本を大富豪で鳥類マニアのウォルター・ロスチャイルド男爵に売却し、内臓のアルコール漬け標本などもライオールから送らせた。

1895年2月、英国の研究者トラヴァース某を含む4名がスティーヴンス島で調査を行うが一匹も発見できず、3月16日の新聞でこの種が絶滅したと結論付けた。12月にもう一度調査に訪れたが島中野良猫だらけで結局発見できず、15標本を残してこの鳥は地球上から姿を消した。

考察[編集]

猫によって絶滅させられた本種であるが、猫が最終的に捕獲した15~16羽というのは明らかに種を保ちうる個体数ではない。スティーヴンス島は本島から3.2キロメートルの海上に位置しており、研究者たちは氷河期に少数の個体が凍った海上を渡って島に定着したのではないかと推測している。本島の個体は飛べないゆえに天敵などによって既に絶滅させられており、わずかに残ったスティーヴンス島の個体が猫一匹によってとどめを刺されたのではないかという考察もできる。

その後[編集]

  • 1925年、この島の野良猫も絶滅した。