ケアメンテ

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ケアメンテとは、京都府宇治市にある企業「ハッピー」が提供する服再生産サービスの名称である。 低価格・短納期の競争が激化する一方で、“シミや汚れが落ちない”“預かり衣服の紛失”“風合いの劣化”といった消費者の要望に対応できないクリーニング品質の低下状況を克服すべく「再生産産業=ケアメンテ」として確立された新業態である。

概要[編集]

一般のクリーニングサービス(特にドライクリーニング)や、部品を交換するリペア・修理サービスと異なり、劣化が進んで本来は捨てざるを得ないような衣服を、新たな原材料を使わずに“新品の状態や形態に戻す・維持させる=再生産”することで、長く着続けられるようにするサービスをいう。

語源[編集]

ケアメンテ(Carementeh)とは、日本の伝統文化とも言える「京都のおもてなし(Care)」と「心(Mente)」であり、Care+Mente+hの3つの要素で構成されている。 ケア(Care)には英語の〝手入れ〞の意味に加え、“配慮”“気遣う”の意味が込められている。メンテ(Mente)は、イタリア・スペイン・ポルトガル語で“メンテ”や“ミンテ”と発音され、英語のmindと同様、ラテン語のmensを語源とした“心(魂)”の意味がある。  末尾のhは発音しないが、株式会社ハッピーの社名および創業者である橋本英夫氏の頭文字を表している。

特徴[編集]

事業の仕組み[編集]

営業店を持たず、全国の顧客、提携している百貨店や有名ブランドアパレルメーカーから宅配便等で直接本社工場に送られてくる衣服について、1点ずつその状態を専門の担当者が診断して電子カルテを作成する。 電子カルテに基づいて顧客にカウンセリング(衣服の状態説明、最適なメンテナンスメニューの提案、顧客の要望確認、納期の確認等)を行った後にメンテナンス作業を施し、仕上がり品を顧客に返送する。

独自技術の開発[編集]

衣服の繊維を保護する独自のサイジング加工技術「レシリアン」を開発し、水性と油性の汚れを同時に処理する独自の「アクアドライ」という洗浄技術を軸にしている。 さらに、一般のクリーニング店ではドライクリーニングでないと対応が難しいと言われるウールやシルクといった動物繊維をはじめとするデリケートな繊維素材・生地であっても水で洗うことを可能にした「無重力バランス洗浄」を発明して洗浄装置の実機化に成功。この発明により、“繊維へのダメージは少ないが洗浄力が乏しい「ドライクリーニング」”、“繊維へのダメージが大きいが洗浄力が高い「水洗い」”、それぞれの洗浄における二律背反を克服した。 また、クリーニング店では対応が難しいとされる、酸化が進んだシミ汚れ・黄ばみを除去する技術をはじめ、風合い戻しや染め直し等の再生産技術「リプロン」、衣類本来のシルエットと風合いを再現するアイロン仕上げ技術「シルエットプレス」、衣服に新たな機能性を付与する撥水・抗菌・UVカット・色止めなどの加工メニュー「バリューON」、摩擦により剥げ落ちた革の表面を再現して塗色する「レザーGRAIN再現加工」など、独自の再生技術を開発して、クリーニング業界の抱えている技術的な課題を克服することを再生産「ケアメンテ」という。

自社開発のITシステムによる一元管理[編集]

「ケアメンテ」は、ICTシステムによって、顧客情報管理、工程管理、予算管理、労務管理等を一元化し、作業工程の見える化で管理者不要のマネジメントを行っている。また、電子カルテデータベースに蓄積されたビッグ・パーソナル・ディープデータを活用して顧客への情報開示、販促活動、作業の効率化等に結びつける以下のようなシステムを構築して従来のクリーニングサービスとは異なる高付加価値のビジネスを生み出し、サービス生産性向上と顧客満足度向上を実現している。

ケアメンテ電子カルテシステム(基幹システム)=おもてなしIoT[編集]

電子カルテの役割は、生産性向上の算式における分子の付加価値と分母の効率(売上総利益=付加価値高)を循環する“串刺し”マネジメントのシステムである。この電子カルテが、多次元的アプローチを生成しているICTの基幹システムになっている。 顧客から預かった衣服の工程管理による業務の効率化及び情報の共有化(フロントオフィス― バックオフィス ― 顧客間)を目的として開発。預かり時点における衣服の状態、作業工程、納期、現状、請求金額、入金状況などの全業務を一元管理することで、リアルタイムに情報共有ができるため、管理コストおよび二次入力等の作業コストを削減し、業務全体の効率化を実現させた。マネジメント項目数は約1000項目に及び、全業務を蜘蛛の巣状にマネジメントしている。

カウンセリングシステム[編集]

診断によって作成された電子カルテに基づき、顧客に対する情報開示と説明責任を、正確かつ効率的に行うためのカウンセラー専用システム。

ラポールCRMシステム[編集]

蓄積されたカルテデータベースに基づき顧客ターゲットを絞り込むことで、効率的な販促アプローチを可能にしたシステム。広告宣伝費を縮減させながら売上を増大させることに貢献した。

販促司令塔システム[編集]

ラポールCRMシステムにおいて顧客ターゲットを絞り込むために、形態素解析(自然文検索を含む)による条件検索機能を拡充させたシステム。

受注・売上予測システム[編集]

受注状況(電話・ネット等受注方法の内訳)・入荷状況・新規顧客とリピーター顧客の利用状況・入荷状況・売上金額と達成率・昨年対比などをリアルタイムに管理することで売上を予測し、販促企画に活用するシステム。

生産調整システム[編集]

依頼品の難易度を数値(ポイント)化し、技術者の技能力と換算して可変的に流動性をもたせた変換システムを構築することにより、入荷量の変動に対して生産調整を可能にしたシステム。また、ムリ・ムダ・ムラのない適正な人員配置ができるため一人あたりの人件費(所得)を増やすことを可能にしている。

ナレッジ混流生産方式システム[編集]

生産の同期化をするためのICTシステムであり、衣服それぞれについての各工程における作業進捗状況をバックオフィス内の各工程の作業現場にテレビモニターで表示(見える化)するシステム。衣服のボタンは、その衣服のデザイン(価値)を決定付ける重要な副資材であるが、ボタンは洗浄時にもっともダメージを受けやすく、これを防ぐためには取り外して洗浄するのがもっとも良い。よって、ケアメンテでは、天然素材などデリケートなボタンは洗浄前にすべて取り外し、洗浄後に再び取り付ける。 取り付けの際には、糸の色や太さ、糸の掛け方(取り付け方)をデータベースで確認し、 元通りに取り付けなければならない。ボタン等の副資材に限らず、顧客からの依頼品は、ベルト類・裏ライナー類・フード類・そのほか本体から外れるものにいったん分解される。 これらの付属物は洗浄工程において分解・分離された衣服のパーツを状態変化に応じて個体別・顧客別・配送地域等によって同期化し、依頼品を仕上げる順番をディスプレイ表示する。これによりジャストインタイミングで仕上がった衣服が顧客ごとに滞留することなく揃うため、効率的な梱包・出荷作業を可能にしている。

洗浄仕分けシステム[編集]

個々の衣服の洗浄処理についてその方法と結果をデータベースに記録するシステム。とくに危険度が高いアイテムや特徴的なアイテムに関してデータを蓄積する。素材・ブランド名等の各種キーワードの組み合わせ検索により、蓄積されたデータから必要なデータを抽出し、次回の洗浄処理に活用できる。

検品教育システム[編集]

仕上げ作業を録画し、検品結果に基づいて該当アイテムの仕上げ映像を再生して見直しができるシステム。 個々の作業場に設置されているテレビモニターに、返品原因となったアイテム部位の過去の統計が、マトリクス上に表示されるため、自らの弱点を自らで確認し補強・克服することで、仕上げ作業の品質を安定させている。また熟練者の技能力である暗黙知を形式知に変換し、技術として平準化する役割を果たしている。

出荷/ロジスティックスシステム[編集]

ナレッジ混流生産方式システムによる顧客単位の依頼品の同期化により、ジャストオンタイミングで仕上がった衣服を滞留させることなく効率的に梱包作業を進めることができるため、ムダな梱包スペースをつくらない。ITによる徹底したチェック機能により、万一、ヒューマンエラーによる梱包ミスがあった場合でも配送伝票は出力されず、誤配を防ぐことができる。

担当者別会計仕分システム[編集]

資材等の発注者自らが、会計入力と連動した納品入力を行うシステム。過去の発注履歴からの条件検索機能によって、発注サイクルや総費用等が自動計算により確認できる。会計における二次入力を省くとともに、適正な発注時期や数量が分析できるためコストの削減を可能にしている。

キャッシュフローシステム[編集]

財務・会計の予算管理と日々の現金収入を連動させて、資金計画を自動的に構築するシステム

管理会計システム[編集]

月次・日次決算や種々の計画予算と実績の差異を分析するシステム。

原価計算(人件費)予測システム[編集]

当月の製造原価(人件費)計画と日次の時間外人件費を対比させて、売上総利益計画と誤差が出ないように管理するためのシステム。

ケアメンテワードローブシステム[編集]

ケアメンテが完了した依頼品を除菌クリーンルーム(温度23℃、湿度30〜50%)で保管し、インターネット上で保管衣服の画像の閲覧や取り出し指示ができるシステム。顧客は、預けた洋服の画像が携帯電話・スマートフォン・パソコンで見ることができ、必要に応じてワードローブから取り出して、出張先や冠婚葬祭先などに自由に送ることができる。季節の衣替えに利用できる。

パラメータ作成システム[編集]

撮影した依頼品画像をHP掲載用に画像を別途に加工したり、二次入力したりすることなく、その商品画像に関連する情報(汚れの状態を示すカルテ・繊維素材・ブランド名・ケアメンテに要した費用・寸法データ等)を電子カルテから自動的に抽出し、ケアメンテ検索エンジン「さがす」WEBサイトに順次アップするためのシステム。

参考文献[編集]

  • 中小企業庁『中小企業白書』 2016年。
  • 経済産業省『METI Journal』 2016年8・9月号
  • ビジネス情報誌・月刊『石垣』2016年5月号。
  • JBCCホールディングス株式会社『「きづく」「つなぐ」「すすむ」 半歩先を行くビジネス 』2015年5月。
  • 繊維製品消費科学会誌『繊維製品消費科学』 Vol.53, No.7, p.530 2012年。
  • 野村総合研究所 システムコンサルティング事業本部『図解CIOハンドブック 改定4版』2012年12月。
  • 繊維機械学会誌『せんい』 Vol.60, No.4, p.209 2007年。
  • 中小企業庁『中小企業白書』 2010年。

外部リンク[編集]