クイックディスク
クイックディスク(quick disk)とは磁気ディスクの一種である。ファミリーコンピューターのディスクシステムで用いられたディスクカードはこのクイックディスクを基に作られている。
概要[編集]
1984年にミツミ電機が発表した磁気ディスクである。当時は5インチフロッピーなどがすでに普及していたものの高価であった。そのため個人的な使用については]]カセットテープ]]などの磁気テープが主流であった。そのパーソナルユースのストレージ需要を満たすために開発されたメディアがクイックディスクである。3.5インチフロッピーディスクドライブが7万円弱であったところ、クイックディスクのドライブが2万4千円、接続のためのインターフェイスが1万円弱、ディスク1枚当たり200円と、3.5インチフロッピーディスクドライブに比べて半値に近い価格で手を出しやすいものであった[1]。MSX用のドライブとしても採用されたこともある。
一方、フロッピーディスクのようにランダムアクセスはできず、磁気テープと同様にシーケンシャルアクセスであった。当時は扱うデータ容量も少なく、磁気テープに比べれば格段に高速であったものの、すでにフロッピーディスク搭載のパソコンが比較的安価に出回りはじめていたこともあってか広く普及することはなかった。
特徴[編集]
2.8インチの磁気ディスクであり、5インチフロッピーのようにシャッターのないプラ製のジャケットに包まれている。容量は片面64キロバイトとされており、裏返すことでもう片面の利用も可能。
前述のように、シーケンシャルアクセスのディスクである。これはハードディスクドライブやフロッピーディスクのような同心円状のトラックではなく、1本の渦巻き状のトラックしか持たないことに起因する。
ディスクシステム[編集]
1986年に任天堂から発売されたファミリーコンピュータ ディスクシステムにおいて、クイックディスクを基にしてディスクカードと呼ばれるものが開発された。ジャケットの形状や素材こそ違うものの、ランダムアクセスはできずにシーケンシャルアクセスのみ、両面112キロバイト、読み込みは必ずA面からなど、クイックディスクの性質がそのまま残っているものである。そのためクイックディスクドライブを用いたソフトのバックアップ法などが巷に広まることになった。任天堂もソフトのダビングなど受け、基盤の変更などで対策を実施。それすらもかいくぐるものもあったようだが、スーパーファミコンの発表などで次第に忘れられていったものである。