カスケード保護
MediaWiki において、カスケード保護(カスケードほご、cascading protection)は、あるページを全保護(以下単に保護)したときに、当該ページがトランスクルージョンページそのものを自動でまとめて保護する機能を指す。
概要[編集]
カスケード保護されたページが読み込む一切のページは保護される。従って、下級一般利用者は、カスケード保護されたページ面をいかなる方法を用いても改変することができない。
保護の対象には、テンプレートやローカルウィキでホストされているメディアも含まれる。ただし、ローカルウィキ外のウィキにアップロードされたメディアが使えるように設定(wp:mw:Manual:Image_administration/ja#Foreign Repositories を参照)されているウィキ、例えばウィキメディア・コモンズが使えるウィキペディア (日本語版)では注意が必要である。なぜなら、カスケード保護はローカルウィキ内でのみ有効であり、外部ウィキの画像は保護対象とならないからである。
かつては、カスケード半保護 (cascading semi-protection) もできた。しかし、半保護ページ編集権を持つ非管理者ならだれでも、カスケード半保護されたページにおいて任意のページを読み込ませることで、任意のページに全保護[2]をかけることができる、という裏技が見つかってしまったため、現在はできなくなっている[3]。
注意[編集]
前述の通り、外部ウィキの画像でホクホクしているウィキは画像の改変に注意せねばならない。メインページから読み込まれているメディアを数十メガバイト級の画像に置き換えてしまえば、メインページはブラクラに早変わりしてしまう。英語版ウィキペディアでは、カスケード保護されたページで使われているコモンズの画像を、コモンズのカスケード保護されているページでも使って、コモンズでも編集できないようにしている[4]。
また、カスケード保護は即時に行われるわけではなく、読み込み先ページの保護から数時間経って、ようやく、読み込み元ページがカスケード保護されるということもあるようである。
関連するバージョン履歴[編集]
- バージョン1.10.0(2007年5月9日[5]) - カスケード保護の機能が導入される[6]。当時は、ウィキの設定でカスケード保護機能を無効とすることもできた[6]。既定値は有効 (true)[6]。
- バージョン1.13.0(2008年8月14日[7][8]) - カスケード保護機能のオンオフを設定する引数が除去されて、カスケード保護機能を無効とすることができなくなった[8]。
- バージョン1.14(2009年2月22日[7]) - 保護されたページの一覧から、カスケード保護がかかっているページだけを抽出できるようになった[9]。また、カスケード保護を設定する際に移動保護を別に追加する必要がなくなった[9]。
- バージョン1.22.0(2013年12月7日[7]) - カスケード保護によって保護が拡大されたページが編集できる利用者グループを管理者以外に設定できるようにした[10]。これ以前は、管理者以外の利用者は編集できないようにされていたが、この設定の登場により、ウィキごとでカスケード保護されたページの保護レベルを変更できるようになった。
例[編集]
- 英語版ウィキペディアのメインページ (Main Page) は、カスケード保護されている。
- Template:Remove file prefix 自体はなんの保護もかかっていないにも関わらず、メインページから読み込まれているというだけで編集できない。
- Template:Remove file prefix/doc は、Template:Remove file prefix からは読み込まれているが、<noinclude>...</noinclude>で囲まれており、メインページでの読み込みになんの影響も与えないため、保護はかからない。
- Module:String は、カスケード保護されているページ (Main Page) が読み込んでいるテンプレート (Template:Remove file prefix) が読み込んでおり、メインページに影響を与えるため、編集できない[11]。
- Wikipedia は、メインページからリンクされているが、読み込まれているわけではないため、保護はかからない。
- Template:POTD protected/2024-12-21 は、メインページから読み込まれているため、保護されている。
- Template:POTD protected/2024-12-20 は、昨日はメインページから読み込まれていたため保護されていただろうが、今日は読み込まれていないため保護はかからない。
- Template:POTD protected/2024-12-22 は、今日はメインページから読み込まれていないため保護されていないが、明日は読み込まれるだろうから、明日は保護される。
- Template:Remove file prefix 自体はなんの保護もかかっていないにも関わらず、メインページから読み込まれているというだけで編集できない。
註釈・出典[編集]
- ↑ この画像はテンプレートのプレビューでとどめているため、実害は出ていません、念のため
- ↑ カスケード半保護で拡張される保護レベルは、半保護であるべきだったが、別なバグによって、どういうわけか全保護となる。
- ↑ Semi-protection should not cascade
- ↑ wp:c:Commons:Auto-protected files/wikipedia/en
- ↑ Release notes/1.10/ja
- ↑ a b c Manual:$wgEnableCascadingProtection
- ↑ a b c MediaWiki version history
- ↑ a b Release notes/1.13#MediaWiki 1.13.0
- ↑ a b Release notes/1.14
- ↑ Manual:$wgCascadingRestrictionLevels/ja
- ↑ ただし、Module:String 自体も保護を受けているため、メインページのカスケード保護とは別に保護されている。
参考文献[編集]
- Wikipedia:Protection_policy#Cascading_protection(2017年8月17日閲覧)