エルキュール・ポアロ
エルキュール・ポアロ(Hercule Poirot)は英国の作家アガサ・クリスティが創作した架空のベルギー人私立探偵である。
登場する時代[編集]
ブリュッセル警察の元刑事という。警察署長の後、退職した。ドイツ軍の侵攻に伴い、イギリスに亡命した。ベルギー南部のフランス語圏に生まれたので、フランス語を話せる。身長は低く、緑の眼に卵型の頭・黒髪が特徴である。原作では1920年代から1070年代で描かれるが、テレビドラマでは1930年代に固定されている。エルキュール(Hercule)とはヘラクレスのことなので、大男のはずだが、それを小男にしたのは、イギリス流のユーモアであろうか。番組では部屋の装飾品から自動車、列車、町並みまでイギリスの当時の時代考証がしっかり行われている。
テレビドラマ[編集]
イギリスのロンドン・ウィークエンド・テレビ(London Weekend Television)が製作したテレビドラマである。日本ではNHKにより日本語版吹き替えで1990年からNHK総合テレビと衛星放送で放映されている。
なぜベルギー人か[編集]
ポアロはベルギー人として描かれる。フランス人では英国では複雑な感情を持たれるが、ベルギー人はそのようなことはない。ベルギーは大戦中ドイツに支配されるものの、英国が支援し中立を守ろうとした。亡命政府がロンドンに作られている。そのため多くのベルギー人が英国に亡命しており、ポアロもその一人であった。英国でも知られているホームズとは正反対の印象を与える小男にした。印象的なキャラクターにするため英国人の中ではやや違和感のある外国人とし、英国人の常識を外から見る視点で考える外国人探偵に設定した。クリスティ自伝に「ベルギー人の相当な亡命者集団が教区に住んでいた。様々な亡命者の中で、あまり若くない引退した警察官」を思いついたと語る。フランス人と一緒にされるのを嫌うプライドの高さ、あか抜けない田舎者という印象が表現される。
灰色の脳細胞[編集]
小説でもドラマでも「私の灰色の脳細胞」という台詞がよく登場する。原文は「グレイ・マター("gray matter")」または「小さな灰色の細胞(little gray cells)」である。英語では「頭脳・知能・知力」を想起させ、優れた洞察力を持つ頭脳を指している。英語で「use one's grey matter」といえば、脳細胞を使用せよ=「頭を使え」という意味になる。