アメリカ式和音記号
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アメリカ式和音記号は英語圏で一般的に使用される和音記号の体系である。コードネームではない。
概略[編集]
シュテファン・コツカ(Stefan Kotska)を含む執筆陣がTonal Harmonyで完成させた記号である[1]。アメリカ合衆国もフランス人のナディア・ブーランジェに師事したウォルター・ピストン、Robert W. Ottman他によってドイツのザーロモン・ヤーダスゾーンの記譜法から派生した独自の記譜法が探られていたが、数字付き低音とローマ数字を共に書く記譜法を日本と同様に編み出した。アメリカ合衆国を含む英語圏では広く使用されている記譜法であり、Sky MacklayのMany, Many Cadences[2]では楽譜にその記号が記載されている。
特徴としては、セブンスコードのタイプへ非常に細かく記号で[3]定義付けを行っている点、大文字と小文字のローマ数字をフォントの大小で使い分ける点、四声体和声に言及されてはいるが学習の最終目的ではない点である。現在もコツカの和声学は版を重ねて販売されている。最新版は2017年に発売された第8版。
日本の受容[編集]
中田喜直の「実用和声学」、あるいは全音楽譜出版社刊ドビュッシーのピアノ楽譜の解説他で松平頼則が使用した和音記号はこのシステムに近似している。数字付き低音とローマ数字の合体、という点においてはウォルター・ピストンほかの発想と大差ない。ただし、数字の位置や大文字と小文字の区別など、微妙に逸れる点も多い。池内友次郎は数字付き低音とローマ数字を共に書く記譜法を採用しているが、システムは異なる。
脚注[編集]
- ↑ “Reviewed Work: Tonal Harmony, with an Introduction to Twentieth-Century Music by Stefan Kostka, Dorothy Payne Review by: Ann K. McNamee Journal of Music Theory Vol. 30, No. 2 (Autumn, 1986), pp. 309-314”. www.jstor.org. 2019年4月23日確認。
- ↑ “Many, Many Cadences”. www.youtube.com. 2019年4月18日確認。
- ↑ Tonal Harmony Seventh Edition, p.40-41 ハーフ・ディミニッシュの場合は〇に横棒を通す記号を用いている。
参考文献[編集]
- Stefan Kostka, Dorothy Payne, Byron Almen; Tonal Harmony Seventh Edition
- Stefan Kostka, Dorothy Payne, Byron Almen; Tonal Harmony Eighth Edition
- Walter Piston&Mark Devoto; Harmony Fifth Edition