わがままボディ

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
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わがままボディとは、女性(特にグラビアアイドル)の体型を評するときに用いるフレーズである。定義はあいまいであり「ボン・キュッ・ボンの体型」を指すこともあれば、「ぽっちゃりした体型」を指すこともある。

概要[編集]

以下の説明の大半は、2024年5月17日放送のテレビ番組『私のバカせまい史』(フジテレビ系)で解説された内容によっている。

番組が調べた限り最も古い用例は、1994年の『ヤングジャンプ』に掲載された女性K(現在は一般人)のグラビアに使われたものであった。彼女は身長171センチ、バスト85センチ、ウエスト59センチ、ヒップ88センチという体型であり、贅肉のついていない「ボン・キュッ・ボン」である。そう、一番最初は「ボン・キュッ・ボン」に対して使う言葉であったのだ。

それ以前のグラビア界のキャッチコピーを振り返ってみると、1970年代のアグネス・ラムの「ダイナマイトボディ」、榊原郁恵の「青春ボディ」、林寛子の「純情ボディ」、80年代のかとうれいこの「スーパーボディ」「ファンタスティックボディ」「パーフェクトボディ」のように、「ポジティブな言葉+ボディ」という組み合わせが一般的であった。「わがまま」という少しネガティブな響きの言葉が付けられるのは、それまでになかった傾向である。この言葉が生み出された詳細な経緯は不明である。[1]ただ、女性Kは「将来の希望は(中略)オードリー・ヘプバーンのような女性になりたい」という、まだ売れていないグラビアアイドルとしてはやや尊大な夢を語っており、ここから雑誌編集者が思いついたのではないかと推測できる。女性の外見からキャッチコピーをつけるのではなく、女性の人格に根差したキャッチコピーがつけられた点でエポックメイキングであるといえよう。

当初は「ボン・キュッ・ボン」の引き締まった女性に使われたこの言葉だが、時代を経るにつれて「ぽっちゃり気味のグラビアアイドル」を指すようにもなった。(代表例は磯山さやか。)言語学者の齋藤孝教授は「わがまま、というのは自分の身体も男性の目線を気にしないということ。自己肯定。好きなライフスタイルをやらせてもらってますという1つの堂々とした宣言。」という風に解釈が変わってきたのだろう、と解説している。(また、現代に生まれた言葉で30年以上使われ続けているものは珍しいため、「広辞苑に1歩ずつ近づいている」とも語っている。)

2000年代後半に入ると、ピン芸人のいとうあさこがブレイク。浅倉南のモノマネ(?)ネタで、自分のだらしない体を自虐するフレーズとして「わがままボディ」という言葉を多用した。これにより、自虐的なニュアンスでの「わがままボディ」が再度、日本中に広まったと思われる。

かくして現在では、

  • (1) ボン・キュッ・ボンの引き締まった体型
  • (2) ぽっちゃり気味の(だが魅力的な)体型
  • (3) 単にだらしないだけの体型(自虐的表現)

という全く異なる意味で「わがままボディ」という言葉が使われるカオスな事態になってしまったわけである。

ちなみに、ピクシブ百科事典の記事では (1)+(3)の意味だけが説明されており、(2)の意味はまったく説明されていない。しかし、『私のバカせまい史』の出演者たち(霜降り明星・せいや、さらば青春の光・森田、バカリズム)のあいだでは (2) の意味こそ一般的であり、(1) の用法のほうが意外だという反応であった。このあたり、年齢層や触れてきたメディアによって、見えている世界がかなり違いそうである。

脚注[編集]

  1. 「豊満」と「放漫」をかけた言葉遊びというもっともらしい説がネット上で流布しているが、出典は不明である。俗説の域を出まい。

関連項目[編集]