二毛作 (ネットスラング)
二毛作(にもうさく)は、過去に自分がその業種で金を稼いでおきながら別名義として、またはその業種を批判する立場として更に金を稼ぐ一連の行為を指すインターネットスラング。
農業における「二毛作」が、1年の間に同じ土地で2つの作物を育てるため、その様子から連想された。
性的搾取としての「二毛作」[編集]
被害者が過去に、自らの意思で援助交際などに手を染めることで稼ぎ、それからしばらく経過して「性加害を強要された」「性的搾取された」などと主張し、加害者側の過去の行為を週刊誌などで公表・政治活動などを行うことで、情報提供料や加害者からの慰謝料など、更なる稼ぎを要求する行為を指す。これらは俗に「被害者ビジネス」「リベンジハラスメント」とも呼ばれる。
こうした行為はしばしば批判の対象となり、HIKAKINの週刊誌報道では、結婚の4年以上も前の内容であったことなどから、報じた週刊文春側に懐疑的な声が寄せられている[1]。
一方、松本人志の性加害疑惑についての文春報道はやり過ぎだとの批判はあるものの[2]、2009年5月に結婚し同年10月に長女を儲けた松本にとっては、2015年~2019年の事件は不倫問題でもあることで、松本に対する世間の非難の声は大きい。また、告発女性の人数の多さ・実名顔出しの告発者の存在・家族等第三者の証言まであることから、松本の事件については女性らの証言は信憑性は高いという弁護士の指摘がある。
昨今は週刊誌以外にも、暴露系と呼ばれるYouTuberによる私刑も相まって、こうした被害者側による「二毛作」行為は加速度的に増しているとされている。
関連として、2016年には、NPO団体Colaboによる企画展「私たちは『買われた』展」が開催された。この企画展はテレビや新聞などで取り上げられるほどの注目を集めた[3]が、女性被害者が、男性加害者から一方的に性的搾取されたとする展示手法については疑問の声も多く[4]、「典型的な男性差別であり問題提起になっていない」「そもそも(売春という字のごとく)売ってなければ買えない」など、SNS上では批判が殺到した。
また、こうした「二毛作」行為が横行することで、本当の意味で一方的に性的搾取され、情報公開しようとしている被害者に対して誹謗中傷などが増加するなど、社会問題となっている。
芸能活動としての「二毛作」[編集]
過去に芸能活動を行っていたが、スキャンダルなどを理由に芸能事務所からの解雇・芸能界を引退した後、別名義で活動を始めることで、更なる稼ぎを要求する行為を指す。
ここ数年、不祥事を起こし事務所から解雇されたVTuberが、別名義に「転生(名前や容姿を変えて新規活動する)」することで、かねてからのファンを転生先に誘導させる手法が目立っており、「二毛作」と呼ばれるようになった。こうした行為は、VTuberのコンテンツ上「中の人」を示唆するなどで批判の対象となる一方で、「転生」自体は単なる転職活動の一つであるとの見解もある[5]。
脚注[編集]
注釈[編集]
出典[編集]
- ↑ “ヒカキン、文春砲に「シロでも謝罪」の大きな違和感-週刊誌報道、世間の人々、司法の課題と現実”. 東洋経済オンライン. (2024年1月25日)
- ↑ “松本人志氏追い込む文春報道に見えてきた"異変" - 長く苦しい裁判闘争のカギを握る「世間の声」”. 東洋経済オンライン. (2024年1月19日)
- ↑ “『買われた』展 少女の"売春"の背景に何が”. NHK生活情報ブログ. (2016年8月24日)
- ↑ “改めて問う。「私たちは『買われた』展」に意味はあったのか?”. BEST!TIMES(ベストタイムズ). (2017年2月6日)
- ↑ “Vtuberは何故転生するのか|六時間”. note. 2024年1月27日確認。