ほしまるくん

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ほしまるくんは、魚の干物製造機。高さ155cmの「大」と118cmの「ミニ」がある[1]。回転速度は70rpmで、天然冷風乾燥方式。これにより2時間で200枚の一夜干しができるようになった。

長崎県の対馬では、カゴの周囲に魚を固定し、カゴを回転させて作る干物製造機が広く使われてきた。しかし騒音が大きいうえに故障も多かった[1]厳原町の大信鉄工所は従来より簡略化した機械でイカや小魚を乾燥させることができるように製造機を改良、「ドライスター」と名付けて2002年に販売を開始した[2]。この年の第50回県発明くふう展で乾燥機に使用した減速伝動装置が受賞したものの[3][4]、対馬では販路も限られていた。

この干物製造機に、新潟県出雲崎町で魚介類料理店地魚レストラン 海彦を運営する高橋芳彦が注目した。高橋は健康器具の製造会社を経営していたが、1996年に出身地の新潟県出雲崎町で海彦を開店した。店の魚を確保するため魚市場に出入りしていた高橋は、豊漁時に地元では魚を消費できず、価格が暴落することに気付いた。魚を高級干物に加工して販売することで漁獲過剰に対応しようと考えていた高橋が着目したのが対馬の干物製造機であった。高橋は多種の魚が獲れる出雲崎の特性に合わせてカゴを改良し、大信鉄工所から独占販売権を得た上で、「ほしまるくん」と名付けて販売を始めた[1]

2003年6月に食品加工機械の見本市に出展したが、成約は3台とふるわなかった。しかし小規模な水産加工業者への販売に集中することにしたところ、広告だけで半年で100台以上が売れる好成績をあげている[1]

脚注[編集]

  1. a b c d 「全国縦断「ニッチのつわもの」~[回転式干物製造機]」『日経ベンチャー』2004年3月号60ページから63ページ
  2. 「小型回転式乾燥機を販売 従来品を改良 一夜干し簡単に 厳原町の大信鉄工所 コストダウンと省エネ化を実現」『西日本新聞』長崎県南版2002年2月15日30ページ
  3. 「県発明くふう展」『西日本新聞』長崎県南版2002年11月28日22ページ
  4. 「発明協会長崎県支部、発明くふう展で2件にウイニング賞」『日刊工業新聞』2002年12月20日35ページ