SCP財団日本支部CCL誤認騒動
SCP財団日本支部CCL誤認騒動とは、2024年7月22日に共同創作コミュニティ「SCP財団」日本支部で、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(通称:CCL)の部分適用におけるサイト方針の変更をめぐる一連の騒動である。 本項ではサイト方針に巡るコミュニティ(動画解説界隈ならびTRPG界隈)の動きについて取り扱う。
経緯[編集]
SCP財団日本支部(通称:SCP-JP)は、11月20日に日本の動画共有サービスである「ニコニコ動画」で、実況者であるガッチマンがフリーゲーム「SCP Containment Breach」の実況動画が投稿されたことを起因にブームが起き、2013年12月2日に本家SCP財団コミュニティによって公認され、現在に至るまで若者層に注目されているコミュニティとして知られている。また、解説朗読や記事の翻訳を中心とした動画が主流であり、ブームに便乗する形でクトゥルフ神話TRPG(通称:CoC)でも、SCP財団を題材にしたシナリオやリプレイ動画などが多く投稿されていた。
2024年7月22日午後7時にSCP-JPのサイト管理人である島民アイランズが、クリエイティブ・コモンズ・ジャパンによる質疑内容を公表したことにより、コミュニティで物議を醸すこととなった。
SCP財団で公開されているコンテンツは、ごく少数の例外を除きCC BY-SA 3.0または4.0を付与されており、サイト内・外を問わず、その派生作品にもCC BY-SAライセンスの適用が求められます。
ただし、CC BY-SA 3.0ライセンスには『ライセンスを適用する作品を用いて複数の作品が含まれる編集物を作成した場合に、作品のライセンスを編集物全体に適用する必要はない』という規定があり、
スタッフはこの規定を根拠に、「SCP関連コンテンツとそうでないものを組み合わせた作品は編集物にあたり、したがってSCP関連コンテンツの含まれる部分のみをCCライセンスで提供すれば、
それ以外の部分は「CCライセンスを付与しない/できないコンテンツでも問題ない」とみなしてきました。
しかしながら、今回CCジャパンから得られた回答によれば、
(1) CCライセンスが付与されたイラストの上にそのイラストに関連する文章を載せている場合
(2) CCライセンスが付与された動画に音楽を組み合わせる場合
のいずれも翻案物にあたる可能性が高く、これらの作品においては、文章やBGM等も含め、作品を構成するすべての要素に対してCCライセンスまたはそれに類するライセンスの付与が必要になると考えられます。
上述の内容を考慮し、スタッフはCCライセンスの部分的な適用に関する解釈の変更と、それに伴うライセンスガイドの更新を行いました。
— 投稿者:島民アイランズ:2024年7月22日(月)、『CCライセンスの部分適用に関するサイト方針の変更のお知らせ』
具体的には、2023年9月のライセンスガイド改訂において「二次創作者に向けたガイド」内のCCライセンスの部分的な適用に関する記述が更新され、
『単一の著作物について、SCPに関連する内容が含まれる一部分についてのみCCライセンスを適用することはできない』旨が明記されました。
これまでは、SCP財団のコンテンツと他コンテンツを組み合わせた場合、他コンテンツに対してはCC BY-SA 3.0が付与されないというのがSCP-JP内の共通見解だったが、クリエイティブ・コモンズ・ジャパン担当者の見解では翻案物の定義を参照した場合、自動的にCC BY-SA 3.0が付与されるため、SCP-JPの共通見解に誤りが生じる形となった。見解内容は以下の通り。
Q2. 映像作品について、CC BY-SA 3.0でライセンスされた動画のBGMとして、非CCライセンス下の音楽作品を利用した場合、音声にのみCC BY-SA 3.0ライセンスを適用しないことは可能か。
A2. 翻案物(Adaptation)の定義を参照すると、作品が動画と時間的に同期するものは翻案物とみなされると記述されている。
このため、明確に断定できるものではないが、動画がCC BY-SA 3.0ライセンスで提供されている場合、そこに音楽を組み込むと、その結果作成された音楽付き動画にもCC BY-SA 3.0ライセンスを付与する必要があると考えられる。
この場合は、使用される楽曲全体が必ずしもCCライセンスで公開されている必要はないが、楽曲のうち少なくとも動画に使用されている部分については、CCライセンス下で公開される旨の同意が必要であると考えられる。
— 投稿者:島民アイランズ:2024年7月22日(月)、『CCライセンスの部分適用に関するサイト方針の変更のお知らせ』
ただし、動画の利用方法として、公に配布・公開する等ではなく特定少数の範囲内で使用・共有する場合には、(利用許諾自体は当然必要であるにしても) 使用楽曲自体にCC BY-SAライセンスでの公開の同意は必要ないと思われる。
公表後、ニコニコ動画では、「【門番と妹】ゆっくりSCP-CN紹介シリーズ」、「紅魔風SCP紹介」、「ゆっくりどいちゅSCP紹介」、「時止めゆかりさんのSCP解説」などのSCP財団を主体とした解説シリーズがライセンス上の問題により、動画の非公開化を宣言する事態となった。また、この出来事により、合成音声での規約上の問題も浮上したことも大きな要因である。この影響を受け、同年8月14日にサイトモデレーターであるbeing241によって、SCP-JP公式チャットにて「ライセンスに準拠した外部創作検討プロジェクト」が立ち上げた。このプロジェクト自体は現状把握のために設けられたものであり、使用できる素材といった情報を共有する場として利用されている。
同年9月27日にアメリカの動画共有サービスである「YouTube」にて、投稿者であるSCPとかが「SCPライセンス問題解説】SCPはもうゆっくり解説できなそう あと今後のチャンネル運営について」を投稿をしたことで騒動が再燃し、10月2日には、CoCシナリオ頒布者である鈴星がこの騒動に触れたことにより、TRPG界隈でクトゥルフ神話TRPGやシノビガミを中心にシナリオの非公開化の流れを広まる形となった。