魔の11分間
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魔の11分間(魔の11分とも)は、航空機の運航上もっとも事故が起こりやすいとされる、「離陸直後3分、着陸直前8分」の総称。英語ではCritical Eleven Minutesと呼ばれる。統計的には、全航空事故の内離陸時に発生するものが21%、着陸時に発生するものが48%とのこと。[1]この11分間に事故が集中する理由としては、速度が遅く、揚力が十分に得られない、あるいは不安定になったり、鳥との衝突(バードストライク)の危険性がある、オートパイロットからマニュアル操縦に切り替えられる時にミスが起こりうることなどが挙げられる。[2]
離陸時の危険性[編集]
離陸は、地上に静止している状態から、エンジンをフルパワーで駆り立て、翼に揚力を得て空中に浮きあがる行為である。しかも、その加速度や離陸に必要な速度は非常に大きく、パイロットはいかなる異常も見逃すまいと神経を張り詰めらせている。[3]この最中に起こりうる事故としては、次のようなものが挙げられる。カッコ内はそれを原因とする事故の例。
- 離陸中に滑走路内に他機や整備車両が居た(テネリフェ空港ジャンボ機衝突事故)
- 離陸用の高揚力装置の設定ミスにより揚力を得られなかった(LAPA 3142便離陸失敗事故)
- 離陸時にエンジンに鳥を吸い込み、エンジンが動かなくなった(USエアウェイズ1549便不時着水事故、いわゆるハドソン川の奇跡)
- 離陸中あるいは離陸後に計器故障が判明しパイロットを混乱させた(バージェン航空301便墜落事故、大韓航空8509便墜落事故)
着陸時の危険性[編集]
着陸は、それまで安定した揚力を生んでいた速度を殺し、高揚力装置をいっぱいまで出しながら限界まで減速しつつ、狭い滑走路へと滑り込んでいく、かなり神経を使う行為である。この最中に起こりうる事故としては、次のようなものが挙げられる。カッコ内はそれを原因とする事故の例。
- 悪天候や強い局地的な下降気流のため高度を失ったり失速し、墜落に至った(デルタ航空191便墜落事故)
- 着陸時の旋回・降下地点を間違え、滑走路とは関係のない地点に接地・墜落した(アメリカン航空965便墜落事故、クロスエア3597便墜落事故)
- ブレーキ設定を間違え、滑走路をオーバーランした(アメリカン航空1420便オーバーラン事故)
出典[編集]
- ↑ [1]より 日航ジャンボ機墜落事故みたいな飛行中の故障は少数派なのだ
- ↑ コトバンク
- ↑ "離陸3分 着陸8分"どちらがより危険か?