読書傾向

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読書傾向(どくしょけいこう)とは、ある個人がどのような書籍を好んで読むか、を示す情報。よく読むジャンルやお気に入りの著者などは読書傾向のひとつ。個人の趣味や思想などが色濃く現れる場合もあるため、図書館などでは個人情報として扱われることもある。

読書傾向の例としては、「SFファンタジーものの小説がメイン」「冒険もののノンフィクションが好き」「ある著者の歴史シリーズをよく読む」など。「本はあまり読まない」というのも読書傾向のひとつといえる。

概要[編集]

個人にはひとりひとり趣味や苦手なものがあるように、読書の際のチョイスにも特徴があり、それを読書傾向と呼ぶ。有名なシリーズを一通り読む人や、自分の気に入った本を繰り返し読む人など、読書の仕方は人によってさまざまで、時には自分の趣味や興味、あるいは思想や信条が明確に分かる場合もある(歴史ジャンル・科学ジャンル、あるいは政治や宗教の分野など)。

図書館学の分野では、この読書傾向を個人情報として扱っており、正当な目的なく特定の個人の貸し出し履歴を調べたり、他人に教えたりすることは禁止されている。これは「図書館の自由に関する宣言」(日本図書館協会により1954年採択)の第3条「図書館は利用者の秘密を守る」、副文「読者が何を読むかはその人のプライバシーに属することであり、図書館は、利用者の読書事実を外部に漏らさない」と定められている通り[1]

読書傾向が個人情報とされる理由は、読書傾向から特定の個人の思想や信条を分析し、あるいは公然にしていない秘密や過去を暴き、その人にとって望ましくない評価につながったり、危害を加えられることを防ぐためである。たとえば社会的に良く思われていない団体であったり、秘密にしたい身体・精神的な病気や性格、またいじめなどの悩みのために、本などで調べることも十分に考えられる。

最近では、学校図書館・図書室などで、貸し出し履歴などの情報をどのように扱うべきかが話題となることもある。図書館の原則として読書傾向は個人情報として扱われるべきであるのに、貸し出し履歴を利用することを前提とした本の推薦や指導が行われたり、あるいは貸し出し履歴から生徒の悩みを類推し、適切なサポートやアドバイス、必要であればカウンセリング等を行う、などである。確かに読書傾向から適切なサポートが行えることは望ましいが、本来は禁忌にもあたる行為であり、効果と情報の保護を天秤にかけて慎重に行うよう、ガイドライン等の策定も模索されている。

読書傾向の活用[編集]

読書傾向は、さまざまな場面から収集できる。書店の販売履歴(ポイントカードなどで特定の個人の購入履歴も収集できる)、図書館の貸し出し履歴、通販の購入履歴など。

特に通販サイトでは、購入履歴に基づいてパーソナライズされたおすすめ商品などが表示される。たとえば特定のシリーズが好きな人に、新刊をおすすめすれば、続きを読もうと購入されやすい。あるいは、ダイエットに関する本を購入した人に、ダイエット器具をおすすめすれば、利用者の好みに合ったものを購入してもらいやすくなるかもしれない。このように、特に分かりやすい活用方法といえる。

もちろん書店や図書館、あるいは出版社でも(特定の個人ではない、世間全体の)読書傾向から、どのような本が好まれ(売れ)やすいかを調べ、販売部数や印刷部数を決めることができる。また、有名な賞をとった本は人気になるだろうから、大目に入荷・印刷しておくこともできる(読書傾向の先読み)。

脚注[編集]