触車
触車(しょくしゃ)とは、何かが、車(車両)に触ること。ここで言う車とは、タイヤや車輪で走る乗り物のことである。車両のどの部分に、何が触ろうが、触車である。一般に、鉄道人身事故をオブラートに包んだ表現であると解されている。ここでは電車に対する触車を解説する。
最も軽度な触車は、よろけた乗客が、動き始めた電車に手を付いてしまった、という程度のものが考えられる。おそらく、触車という字面からイメージされるのは、そのような光景であろう。
最も重度の触車は、線路上に横たわった「お客様」が、急ブレーキむなしく車輪に「触り」、「お怪我」をしたために「救護」が必要となる案件である。
このような事象を直接的に表現してしまうと、ショッキングであるため、この様に言い換えて案内している。(多少衝撃的である方が、遅延で苛立つお客様の溜飲も下がるかもしれない。)背景には、WHOによる自殺対策に関するガイドラインの規定がある。
やってはいけないこと
- 自殺に用いた手段について明確に表現しないこと
- 自殺が発生した現場や場所の詳細を伝えないこと
鉄道人身事故では、いわゆる「飛び込み自殺」など、自殺目的での事故発生の割合が少なくない。この状況を事細かに伝えてしまうと、自殺志願者に対して「いつ・どこで・どのように」飛び込めば、目的を完遂できるのか情報をもたらすことになる。これを防ぐため、直接的な表現を使わないものと思われる。
救護[編集]
列車に触ってしまったお客様の救護は、消防庁の救助隊が初動対応する。
お客様が高度に列車と触っている場合は、四肢・頭部・胴体をそれぞれ発見するまで、捜索・救護を行う。しかし、そのような状態のお客様は、社会一般常識的に、救護後治療の見込みがあるとは考えられない。そのため、救急隊、救助隊は「社会死状態」にあると判断し、「不搬送」要救助者を病院に搬送しないという決定を下す。この場合、お客様は不審死を遂げており、警察が体幹を回収し(俗に言う肉拾い)、遺体搬送車によって運搬する。救急車は用いない(サイレンを鳴らさず帰還)。
体幹が切断されていないなど、不搬送判定要件に合致しないならば、高エネルギー外傷(高エネルギーが人体に対してかかったような、内臓損傷の可能性のある外傷)としてロード&ゴー(現場での応急措置を最低限として即座に病院搬送を行う)が宣言され、救急車で搬送する。