覆面パトカー

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覆面パトカーは、警察が所有するパトロールカーのうち、外見上一般車両と区別がつかないように装備を隠した車両のこと。対義語として、通常の白黒塗装で赤色灯を固定したパトカーを、その色から「パンダ」と呼び分けることもある。覆面パトカーはその用途によって、以下のように分別できる。

  • 交通取締用覆面車 - 道路上の速度超過や交通違反などを専門に取り締まるための覆面パトカー。交通機動隊が所有する。
  • 刑事捜査用覆面車 - 刑事捜査における張り込みなど、容疑者に判別されると都合の悪い場合に用いられる。機動捜査隊や刑事部が所有する。
  • 要人警護用覆面車 - 要人警護時に、要警護者の乗り込む車両を囲み警護するための車両。警備部が所有し、警備部SPが乗り込む。

装備[編集]

覆面パトカーもパトロールカーの一種であり、特殊な装備を有する。

赤色灯
パトカーにおいて最も目立つ装備であるが、覆面パトカーはその特徴上外部から判別しにくい状態であることが求められる。そのため、緊急走行時を除き、赤色灯は車内に収納される。
交通取締用覆面車・要人警護用覆面車の場合、反転式警光灯と呼ばれる赤色灯を装備している。車内の操作器より「上昇」ボタンを押下することで、自動的に車両天井から赤色灯を上昇させ、点灯させる。同時に、全面吸気グリル内の赤色灯も連動して点灯する場合もある。赤色灯を点灯させることを、灯火を上昇させることから「赤上げ」と呼ぶこともある。
刑事捜査用覆面車の場合、助手席側から天井にマグネットで手で取り付けるタイプの赤色灯を備えている。専ら張り込みなどに利用する車両の場合、赤色灯を装備しない場合もある。
無線機器
車内から関係各所と連絡を取るための無線機器、アンテナを装備している。無線機はおもに助手席側に装備され、車両後方に特徴的なアンテナが装備され、覆面パトカーの特徴として知られていた。近年は隠匿性の高い、一般車のラジオ受信アンテナに似せたアンテナが積極的に使われている。
同時に、警察本部に対して車両位置を送信するカーロケーター・システムを備え、車両から発せられる電波を受信することで判別可能な場合もある(但し通信内容はデジタル化されていることが多い)。
速度測定装置
交通取締用覆面車には、スピード違反を取り締まるための速度測定装置を備えている。被疑車両を等速度追尾し、車両速度を計測するためのものである。測定速度が正確になるよう、定期的に較正が行われる。
後方LED表示板
交通取締用覆面車には、違反者を停止させるため「左に寄れ」「パトカーに続け」といった指示を表示したり、事故処理などで「通行止め」などと表示するためのLED表示板が装備される。

そのほか、運転席および助手席の双方から後方を確認するため、2段になったルームミラーが装備されることも多い。

車種[編集]

交通取締用覆面車の場合、速度超過車両に追いつき追尾する必要があるため、スポーツタイプのセダン車が選定されることが多い。また、違反者を後部座席に座らせ違反処理手続きを行うことから、2人乗りの車は使わない。

刑事捜査用覆面車の場合、一般車に紛れ込むため、車種を問わず、セダン、ミニバンなど様々な車種が選定される。

要人警護用覆面車の場合、要警護車と一体となって進行するため、高級車が選定される場合も多い。

かつては赤色灯を固定するため特種用途自動車(8ナンバー車)に分類され、ナンバープレートから容易に判別可能であったが、捜査上隠匿性をより高めるため、現在は通常の3ナンバー・5ナンバーとなっている。