西武池袋線小林事件

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

西武池袋線小林事件(せいぶいけぶくろせんこばやしじけん)とは、2005年に起きた痴漢事件。有罪が確定した男性は、無実を訴えて、再審請求した。

概要[編集]

2005年3月18日に西武池袋線石神井公園駅を下車したK(当時62歳)は、西武池袋駅22時35分発の飯能行きの急行電車にて女性Aの下着に手を入れ指で膣内に3分間に渡って出し入れしたなどとして、男性Bに私人逮捕された。Kは、逮捕後から一貫して、男性Bが証言していた犯人とは違う場所にいたと供述するなど犯行を否認。33日間に渡って拘留された後に、2013年4月20日、強制わいせつ罪で起訴された。

裁判経過[編集]

弁護側は、女性A・男性B共に犯人の顔を見ていないことやKが女性Aの供述を知る前から犯人とは違う場所にいたことを主張していること、女性Aの主張する犯人の身長とKの身長は明らかに違うことなどから無罪を主張。また、男性Bが犯人の服装についてお尻が隠れるハーフコートと証言していたが、Kが着用していたのはお尻が見えるジャンパーであることや、犯人の服の色に関する目撃証言とKの服の色は違うこと、女性A・男性B共に移動した犯人を見失った可能性があることなどから、女性Aと男性Bが犯人を誤認していると主張した。また、膠原病の一種である全身性強皮症を患っており、指に障害があって関節を曲げたりできず、犯行は不可能だとした。

2007年2月27日、東京地裁白坂裕之裁判長)は、懲役1年10月の有罪判決を言い渡した。判決では、男性Bが供述した犯人の服装とKの事件時の服装が、違う点について服装がよく見えなかった可能性があるとした。また、膠原病を患い、指の関節が曲げられないため犯行が不可能という主張に対しては、診断書に右手中指のことが記載されておらず、 人差し指なら不可能でも中指ならできる可能性はあるとして、犯行は不可能という医師の証言を否定。この判決に対して弁護側は控訴。

2008年1月17日、東京高裁阿部文洋裁判長)は、弁護側の控訴を棄却。判決では、目撃証言で犯人の上着の色は白かクリーム色となっているが、Kの上着は真っ白だったことについて、色は照明によって変化するとした。また、女性が最初に痴漢されたときは下着の上から軽く触られて、その後に下着に指を入れられ陰部を触られたという一連の行為について、一審の同一人物という認定を取り消して同一人物ではない可能性があるとして、犯人と身長が違うという主張を退けた。

2010年7月26日、最高裁第一小法廷は、上告棄却。懲役1年10月の有罪判決が確定した。

再審[編集]

2011年2月14日に再審請求。膠原病を患った指では犯行が不可能という主治医の意見書や、女性Aや犯人を逮捕した男性Bの供述の信用性についての鑑定書、女性が供述に基づく犯人の身長とKの身長が異なることの実験したDVDを新証拠として提出。再審請求後の2012年1月26日にKは仮釈放されている。

2013年8月28日、東京地裁(細田啓介裁判長)は、再審請求棄却の決定が言い渡した[1]。判決では、「指を動かすことができたとする確定判決の判断に疑問は生じない」と結論付けた。弁護側は、判決を不服として即時抗告した。

指摘されている問題点[編集]

  • 痴漢時にDNA鑑定が行われておらず、繊維鑑定が行われているが、警察のサンプルの採取方法に問題があり、鑑定不能となっている。
  • 第一審の裁判長だった白坂裕之裁判長は、検察から裁判所との交流のために裁判官になっており、この判決の1ヵ月後に再び検察官になっていることから、弁護側の間で裁判の不当性が訴えられている。

脚注[編集]