膵臓癌

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膵臓癌(すいぞうがん)とは、膵臓及びその周辺にできるのことである。膵癌(すいがん)とも言われる。この癌は2019年現在で年間3万2000人が発生し、癌による死者では第4位に上昇している。なお、数ある癌の中でも特に根治しにくい上に進行が早く、予後が悪いことで有名で、「癌の王様」の異名を持っている。

概要[編集]

膵臓と膵癌について[編集]

膵臓はの後ろにある細長い臓器であり、右側は膵頭部、中央部を膵体部、左側を膵尾部という。膵頭部は十二指腸に囲まれており、胆汁の通り道である胆管も膵頭部を通っている。膵臓の周囲には小腸肝臓への重要な血管が近接しており、発見時にこれらの血管に仮に癌が浸潤していたり、他の臓器に遠隔転移していたりして、既に手術不能の状態で発見される場合が多い。実際、初期状態における膵癌は何の自覚症状も無く、発見された段階で手術が不可能な人は3割を数えているという。

膵頭部に発生した場合は癌の浸潤によって胆管が狭窄し、黄疸を発症して皮膚の色が黄色くなることで周囲の人に気づかれて発見されることが多い。ただ、膵体部や膵尾部に発症した場合は黄疸は現れず、なかなか別の症状も現れないため、発見が遅れることが多いのである。

なお、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)という疾患がある。これは膵臓内に粘液を産生する腫瘍が発生し、たまった粘液のために嚢胞(液体の溜まりのこと)ができたり膵管が拡張する疾患のことで、大半は良性病変であるが、年間数パーセントの割合で膵癌が発生するとされている。IPMNが見つかったら必ずしも治療が必要というわけではないが、癌になりつつあるときには嚢胞内に小さな塊ができたり、膵管が太くなったりする癌化の兆候も表れるため、検診などでIPMNを見つけてかかりつけ医や専門医療機関で定期検診を行い、これらの癌化の兆候を見つけて適切な時期に手術を行なえば、癌の一歩手前の腺腫、もしくは癌になっていたとしても比較的に早期とされる上皮内癌や微小浸潤癌の状態で治療できる場合が多く、早期発見できて治る可能性の高い膵癌ということになる。

治療[編集]

膵癌の治療法としては以下のものが挙げられる。

このうち、手術以外の治療法で根治できる可能性は非常に低い。手術があくまで根治の基本である。ただ、前述しているように膵臓が重要な臓器と近接していることから、手術が手遅れになる場合が多いのである。

なお、膵臓癌は予後が非常に悪いため、ある程度進行してしまうと手術を行えたとしても、癌の再発率が他の癌に較べて非常に高い。そのため、手術後に再発予防のための術後補助化学療法を半年間行なうことになる。また、近年は医療の発達もあり、これまでは治りにくいとされていた一部の進行膵癌(切除可能境界膵癌)に対して、手術前に化学療法や放射線治療を先行して行なうことで、手術後の生存率が改善されることが明らかになっている。そして、膵体尾部の癌であれば、傷が小さくて負担の少ない腹腔鏡下手術も2016年からは保険診療で行なえるようになっている。このように近年は癌の王様である膵癌に対しても治療成績が改善されている。

予防[編集]

膵癌は他の癌より予後は悪いため、早期発見が重要で、検診やかかりつけ医などで定期的に腹部エコー検査などを行う必要性がある。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]