特許協力条約
特許協力条約(とっきょきょうりょくじょうやく,Patent Cooperation Treaty)は特許の先行技術調査、審査に関する合理化を図る国際出願制度を定めた国際条約である。「PCT」と略される。
概要[編集]
パリ条約の特別な取り極めの一つとして締結された条約である。パリ条約では、出願人は、外国出願しようとする際、各国に各国の特許法に基づき、国ごとに定められた様式の出願書類を、各国ごとの言語により作成しなければならなかった。しかも、その作業はパリ条約で認められる12か月の優先期間内に行わなければならなかった。各国特許庁においては、特許文献、技術文献の情報の収集、先行技術の調査等をそれぞれ行うため、それぞれの国で重複して行っていた。そこで出願人及び各国特許庁の重複作業を減らすためにPCTによる国際出願制度が生まれた。
ひとつの出願願書をPCTに従って1ヵ国だけに提出することによって、PCT加盟国のすべての国に同時に出願したことと同じ効果を得られる出願制度である。
国際出願日[編集]
国際的に統一された出願願書をPCT加盟国である自国の特許庁に対して、その特許庁が定めた言語(日本国特許庁の場合は日本語若しくは英語)で作成し、1通だけ提出すれな、その時点のすべてのPCT加盟国に対して「国内出願」を出願することと同じ扱いになる。受理日は「国際出願日」と認定される。「優先日」は基礎となる出願の日であり、国内出願から12ヶ月以内に、パリ条約の優先権主張を伴う PCT 国際出願を行わうことになる。「国内段階」への移行期限は、優先日から30ヶ月以内である。
国際調査[編集]
国際出願では出願した発明に類似する発明が過去に出願された(公知となった)ことがあるかの調査(「国際調査」)が、すべての国際出願に対して行われる。その際には、その発明が進歩性、新規性など特許取得に必要な要件を備えているか否かについて審査官の見解が出される。結果は、出願人に「国際調査報告書」として提供される。
特許独立[編集]
PCT国際出願は国際的な「出願」手続であるため、国際出願した発明が、特許を取得したい国のそれぞれで特許として認められるかどうかは、最終的には各国特許庁の実体審査に依存する。
国内移行[編集]
「各国の国内手続に係属させる」手続をPCTでは、「国内移行手続」という。優先日から30ヶ月の期限が満了する前に、権利を取りたいPCT加盟国が認める言語に翻訳した翻訳文をその国の特許庁に提出し、その国が求める場合には手数料を支払うことになる。
国際公開[編集]
優先日から1年6ヶ月を経過した後、国際事務局により国際出願の内容が一般公開される。
日本国内手続きの法的根拠[編集]
日本国内では、特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律が法的根拠となる。特許協力条約(PCT)に基づいて特許の国際出願、国際調査及び国際予備審査の手続について定めた日本の法律である。1978年(昭和53年)4月26日に公布された。略称は「国際出願法」。
関連項目[編集]
- ハーグ協定のジュネーブ改正協定 - 国際意匠出願に係る協定