旅券
旅券(りょけん)とは、自国籍民に対して発行する国外旅行用文書である。この項では日本国のパスポートに関して解説する。
種類[編集]
現在日本には4種類のパスポートがあり、それぞれ発給対象者が異なる。
普通旅券[編集]
一般の日本人が外国に渡航する際に発券される、このページのサムネイルのパスポートも一般旅券の5年用である。
5年用と10年用があり、それぞれ発行手数料が異なるが18才以下は5年用のみしか発券できない、これは未成年者は容姿の変化が激しいからとされている。
通常は渡航先がすべての国家と地域になっているが、検察庁から訴訟を受けていたり、仮釈放中の場合は渡航先が制限されたパスポートが発行されたり申請を拒否されることがある。
5年用は表紙は紺・10年用は赤。
公用旅券[編集]
英語での表記は「OFFICIAL PASSPOR」国会議員や各省庁の職員、海外派遣任務にあたる自衛官(防衛駐在官には後述する外交旅券が支給される)などが公務で海外に渡航する際に支給される。
一般旅券とは記載内容も異なっており、身分証欄には名義人の官職名や旅行目的(普通は「政府(所属機関)の命による」である)が記載されている。
基本的に赴任と帰国時のも有効な一時旅券が原則であるが、渡航が頻繁な者のみ数次旅券が支給される。表紙の色は緑
外交旅券[編集]
英語での表記は「DIPLOMATIC PASSPOR」主に外交官や内閣総理大臣、皇族(天皇と皇后は除く)、防衛駐在官などに支給されるパスポート
「注意」の欄には、旅券法違反時の罰則についての説明書きがないのが最大の特徴である。
基本的に赴任と帰国時のも有効な一時旅券が原則であるが、渡航が頻繁な者のみ数次旅券が支給される。表紙の色は茶
また外交旅券と公用旅券は個人での申請は不可能である。
緊急旅券・帰国のための渡航書[編集]
緊急旅券は 在外公館に設置された旅券作成機が、故障等で交付が不可能で、なおかつ、本国外務省での旅券交付を待機する時間的余裕がない場合や、帰国のための渡航書の交付基準に該当しない者に交付される。
一般旅券と機能的な違いは無いがIC旅券ではないため一部の国では査証免除取極の適用対象外となる。また空港の自動化ゲートも使用できない。
表紙の色は外交旅券と同じ茶で有効期限は1年
帰国のための渡航書は日本国外の領域に居住・滞在する、日本国籍の在外日本人で、日本国旅券を盗難・紛失・損傷・失効し又は所有していない者が、やむを得ない理由により緊急に世界から日本に帰国する必要が生じた場合に 発行される片道有効の渡航文章。英語での表記は「TRAVEL DOCUMENT FOR RETURN TO JAPAN」
詳細は帰国のための渡航書を参考
記載事項[編集]
- ここでは普通旅券の内容を紹介する
- 一ページ目「保護要請文」
- 一ページ目には日本国外務大臣の印が押された保護要請文が記入されている
- 日本語
- 『日本国民である本旅券の所持人を通路故障なく旅行させ、かつ、同人に必要な保護扶助を与えられるよう、関係の諸官に要請する。 日本国外務大臣(公印)』
- 英語
- 『The Minister for Foreign Affairs of Japan requests all those whom it may concern to allow the bearer, a Japanese national, to pass freely and without hindrance and, in case of need, to afford him or her every possible aid and protection. 』
- 二ページ目「顔写真ページ」
- 本籍地や旅券番号や性別、氏名、生年月日、有効期限、本人自書が記載されている。
- 三ページ目「渡航先」
- 通常は「This passport is vaild for all countries and areas unless otherwise endorsed」(このパスポートは全ての国と地域で有効です)である。
- 四・五ページ目「追記」
- 通常は無記載
- 六~三十六「査証」
- 証印はここに押される。背景には冨嶽三十六景の浮世絵が採用されている。書いてある絵は以下の通り(5年用)。
- 江都駿河町三井見世略図→江戸日本橋→隠田の水車→御厩川岸より両国橋夕陽見→凱風快晴→上総ノ海路→礫川雪ノ且→神奈川沖浪裏→甲州犬目峠→甲州石班澤→甲州三坂水面→甲州三嶌越→五百らかん寺さざゐどう→山下白雨→下目黒
- 最後には旅券法に基づく警告と緊急時連絡先のページがある。また19ページにICが仕込まれている。