回送運行許可番号標

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回送ナンバーを取り付けて走行する、架装前のトラックシャーシ。この後工場にて、荷台の設備を取り付ける。見辛いが赤枠のナンバーを取り付けてある
回送ナンバーを取り付けて回送中の消防車。見辛いが赤枠のナンバーを取り付けてある

回送運行許可番号標(かいそううんこうきょかばんごうひょう)は、日本で使われる仮ナンバー(正式な車検を受けずに特定の目的のために公道を走行するためのナンバープレート)の一種で、自動車メーカー・架装メーカー・販売店間の輸送や納車時に用いられる、業者用ナンバー。個人では取得できないことから、ディーラーナンバーの通称がある。見た目は赤枠に縦書きの地名、数字4桁。

特徴[編集]

回送運行許可は、ふつう臨時運行許可によって運行するような、車検や登録を受けていない自動車をひんぱんに回送する事業者のため、業務の簡便化を図る許可制度であると言える。そのため、回送運行許可が下りた場合は、番号標等を同時に複数枚、それも最大5年間という長期にわたって貸与される。

車両回送は、ふつう複数の自動車を積んで走る大型積載車によって行われるため、回送運行許可の出番は多くない。しかし、トラック・バスシャーシの架装メーカーへの陸送など、積載車を使うことが出来ない大型車両の輸送は、この回送運行許可制度に基づいて行われることになる。

工場と輸出入港湾を結ぶ道路や工業地帯を走る道路、そのほか様々な場所でたまーに見かけることがある。

現在はキャブ(運転席)部分が完全に完成した状態で、シートにビニールカバーがかけられた新車の状態で陸送するが、かつてはキャブさえない吹きっ晒しの中に仮設のイスを据え雨風打たれながらの陸送も行われたらしい。とんだ命知らずだ

なお、設計上本来あるべき後方部分の装備が全くない状態であるため、後輪のグリップが効かないなど、現在でも危険を伴う運転であることには変わりない。

制限[編集]

回送運行許可番号標を交付される業者は、次のいずれかに限られる。

  • 自動車製作業…月平均の製作実績が運輸局によって定められた基準を超えている事
  • 自動車販売業…月平均の販売実績が運輸局によって定められた基準を超えている事
  • 自動車陸送業…自動車製造業者等と回送運輸契約を結んでいたり、月平均の回送実績が運輸局によって定められた基準を超えている、もしくは回送に携わる運転者が一定数雇用されている事
  • 自動車解体業…解体のための月平均臨時運行許可番号標使用実績が運輸局によって定められた基準を超えている事

これらの基準を満たしたうえで、管理責任者の選定や取扱規則の設定等を行い、運輸局に申請する。

根拠法令[編集]

道路運送車両法 第三十六条の二「回送運行の許可」
自動車の回送を業とする者で地方運輸局長の許可を受けたものが、その業務として回送する自動車(以下「回送自動車」という。)で、次に掲げる要件を満たすものを、当該許可の有効期間内に、当該回送運行許可証に記載された目的に従つて運行の用に供するときは、第四条[引用注 1]、第十九条[引用注 2]、第五十八条第一項[引用注 3]及び第六十六条第一項[引用注 4]の規定は、当該自動車について適用しない。
一 回送運行許可番号標を国土交通省令で定める位置に、かつ、被覆しないことその他当該回送運行許可番号標に記載された番号の識別に支障が生じないものとして国土交通省令で定める方法により表示していること。
二 回送運行許可証を備え付けていること。
2 前項の許可の有効期間は、五年を超えてはならない。
3 第一項の許可には、条件を付し、及びこれを変更することができる。
4 前項の条件は、第一項の許可を受けた者が行う自動車の回送が適切に行われるために必要とする最小限度のものに限り、かつ、当該許可を受けた者に不当な義務を課することとならないものでなければならない。
5 地方運輸局長は、第一項の許可を受けた者に対し、その申請に基づき、必要と認められる数の回送運行許可証を交付するとともに、これに対応する数の回送運行許可番号標を貸与するものとする。
6 回送運行許可証には、交付年月日及び第一項の許可の有効期間の満了の日、回送の目的並びに当該回送運行許可証に係る回送運行許可番号標の番号を記載しなければならない。
7 第一項の許可を受けた者は、当該許可の有効期間が満了したとき又は次項の規定により許可を取り消されたときは現に交付を受けている回送運行許可証及び現に貸与を受けている回送運行許可番号標(以下この条において「交付を受けている回送運行許可証等」という。)の全部を、同項の規定による命令を受けたときはその命令に応じ交付を受けている回送運行許可証等の全部又は一部を、その日から五日以内(同項の規定により許可を取り消されたとき又は同項の規定による命令を受けたときにあつては、その通知を受けてから五日以内)に、それぞれ地方運輸局長に返納しなければならない。
8 地方運輸局長は、次に掲げる場合においては、第一項の許可を受けた者に対し交付を受けている回送運行許可証等の全部若しくは一部の返納を命じ、又は同項の許可を取り消すことができる。
一 回送運行許可証又は回送運行許可番号標が回送自動車以外の自動車のために利用されたとき。
二 回送運行許可証に記載された回送の目的に従わないで回送自動車を運行の用に供したとき。
三 第三項の規定により許可に付した条件に違反したとき。
9 地方運輸局長は、前項の規定による命令を受けた者に対しては、六月以内の期間を定めて、回送運行許可証の交付及び回送運行許可番号標の貸与を行わないことができる。
10 地方運輸局長は、第八項の規定により許可を取り消された者に対しては、その取消しの日から二年を経過する日までの間は、新たな第一項の許可を行わないものとする。
道路運送車両法施行規則 第二十六条以下
第二十六条(回送運行の許可の申請)
法第三十六条の二第一項(法第七十三条第二項において準用する場合を含む。)の許可(以下「回送運行の許可」という。)を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を地方運輸局長に提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所
二 営業所の名称及び所在地
三 現に営んでいる事業の種類及びその概要
2 地方運輸局長は、必要があると認めるときは、前項の申請者に対し、自動車の回送を業とすることを証する書面の提出を求めることができる。
第二十六条の二(許可基準)
地方運輸局長は、回送運行の許可をしようとするときは、次の基準に適合するかどうかを審査して、これをしなければならない。
一 法及び法に基づく命令の規定を遵守して回送自動車を運行の用に供すると認められること。
二 回送運行許可証及び回送運行許可番号標を適切に管理すると認められること。
三 自動車の製作、陸送、販売又は分解整備を業とする者であること。
第二十六条の三(回送運行許可証の交付の申請等)
回送運行の許可を受けた者は、回送運行許可証の交付及び回送運行許可番号標の貸与を受けようとするときは、次に掲げる事項を記載した申請書を運輸監理部長又は運輸支局長に提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所
二 営業所の名称及び所在地
三 回送の目的
四 交付を受けようとする回送運行許可証及び貸与を受けようとする回送運行許可番号標の数(回送運行許可番号標にあつては、金属製のものか合成樹脂製のものかの別を含む。)
2 運輸監理部長又は運輸支局長は、必要があると認めるときは、前項の申請者に対し、前項第四号の数の回送運行許可証及び回送運行許可番号標を必要とすることを証する書面の提出を求めることができる。
第二十六条の四(回送運行許可証の記載事項)
回送運行許可証には、法第三十六条の二第六項に規定する事項のほか、前条第一項第一号及び第二号に掲げる事項をも記載しなければならない。
第二十六条の五(回送運行許可証の表示等)
第二十三条[引用注 5]の規定は回送運行許可証の表示について、第二十四条[引用注 6]の規定は法第三十六条の二第一項第一号(法第七十三条第二項において準用する場合を含む。)の規定による回送運行許可番号標の表示について準用する。
第二十六条の六(回送運行許可証等)
 回送運行許可証は第四号様式、回送運行許可番号標は第五号様式による。
2 回送運行許可番号標は、次の各号に適合するものでなければならない。
一 金属製のもの又は合成樹脂製のものであること。
二 使用に十分耐える厚さを有するものであること。
三 金属製のものにあつては、使用に十分耐える硬度を有するものであること。
四 腐食、さび又は亀裂の生ずるおそれの少ないものであること。
五 塗装の色が変わり又はあせるおそれの少ないものであること。
六 塗膜の剥げ落ち又は亀裂の生ずるおそれの少ないものであること。

以下条文引用文中…部は省略を示す。

  1. 自動車…は、…登録を受けたものでなければ、これを運行の用に供してはならない。
  2. 自動車は、…自動車登録番号標交付代行者から交付を受けた自動車登録番号標を国土交通省令で定める位置に、かつ、被覆しないことその他当該自動車登録番号標に記載された自動車登録番号の識別に支障が生じないものとして国土交通省令で定める方法により表示しなければ、運行の用に供してはならない。
  3. 自動車…は、…国土交通大臣の行う検査を受け、有効な自動車検査証の交付を受けているものでなければ、これを運行の用に供してはならない。
  4. 自動車は、自動車検査証を備え付け、かつ、国土交通省令で定めるところにより検査標章を表示しなければ、運行の用に供してはならない。
  5. 臨時運行許可証(有効期間を記載した裏面に限る。)は、自動車の運行中その前面の見やすい位置に表示しなければならない。
  6. 第八条の二第一項及び第二項の規定(引用者注:法第十九条(自動車は、…自動車登録番号標を国土交通省令で定める位置に、かつ、被覆しないことその他当該自動車登録番号標に記載された自動車登録番号の識別に支障が生じないものとして国土交通省令で定める方法により表示しなければ、運行の用に供してはならない。)に基づく自動車登録番号標の表示の方法の規定)は、…臨時運行許可番号標の表示の位置及び方法について準用する。…