切り取り円錐

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
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切り取り円錐 とは、直円錐(circular straight cone)の一部分を切り取った部分円錐(partial cone)。[1][2]

体積の計算式[編集]

ここでは、斜めに切り取った部分円錐(partial cone)の体積の計算式を提供する。中でも殆ど世に知られていない斜め切りの場合を中心に述べるが、実際に使う際の利便性のために、関連として、既に知られている垂直に切り取った場合についても表現方法を統一してまとめて併記する。

計算式提示の目的

 水を入れた洗面器や バケツ、油を充填した電力用ブッシング、そして宇宙ロケット用燃料タンクに至るまで、回転対称体容器は世の中に広く用いられており、それらが任意の角度に傾けられた時に中に収納された液体の液面がどの位置に来るかを計算で求められるようにすることは有益である。そのために必要な部分円錐の体積計算式に関する情報はNet上に断片的に散見される(1)~ (7)が、様々な条件の計算をひっくるめて取り扱えるだけのまとまったものがなく、不便な状況にあるので、ここにそれらのすべてを一つの資料に整理してまとめて提示する。

体積計算に必要な諸元

  底面円の半径R   底角δ  切断角γ  切断位置Θ (底面円上の角度座標で表示)

  (注) 各諸元の定義については図1参照

底面円に斜めに交差する平面で切り取った部分円錐の体積Vの計算式   

底面円に斜めに交差する平面で切り取った部分円錐の体積の基本式は、下記 式(1)(5), (6), (7)である。

    ----- (1)

     ここに、

      

の値はθ=0~Θの定積分計算で算出されるもので、切断角度γの値と底角δの値の

大小関係によって全く様相の異なる下記3A, 3B,および3Cの3種類の数式に分かれる。           

3A. 切断角度γが底角δよりも小さい場合の計算要素Fの値 (図2 Aの場合)

   (数式 A)(5)


ここに、

    

    

(注) この場合において、切断角γ<0の時にはVの計算結果は負の値で算出される。

従って、体積としては、その絶対値を採る必要がある

3B. 切断角度γが底角δに等しい場合の計算要素Fの値 (図2 Bの場合)

(数式 B)(6)

ここに、

3C. 切断角度γが底角δよりも大きい場合の計算要素Fの値 (図2 Cの場合)

(数式 C)(7)

           ここに、

                     

 

      

  

(注) この場合において、例外的に切断角度γ=π/2[rad]すなわち垂直に切断する場合は、式(1)、(C)は用いることができず、

体積Vの計算には全く異なる次の3D項の数式を用いねばならない。


3D. 底面円に垂直(γ=π/2)に交差する平面で切り取った円錐の体積の計算式 (図Dの場合)(3)


これは、本書で新たに示すというより、参考文献(1)に示されている数式を元としているもので、それを本書2項に示す「体積計算に必要な諸元」での定義様式に合わせて変形したものである。

(注) 参考文献(1)に示された数式では、切断位置Θが0~π/2までの範囲という制限があるが、ここで示す式(2)ではそういった制限は無い。

3E. 底面円の端に斜めに接して通る平面で切り取った円錐の体積の計算式 (図Eの場合)(4)

特殊な場合として、以上のいずれでもない、すなわち切断平面が底面円と交叉しないで、その端に斜めに接して通る切り方の場合についての計算式は次の通りに与えられる

これも、本書で新たに示すというより、参考文献(2)に示されている数式を元としているもので、それを本書2項に示す「体積計算に必要な諸元」での定義様式に合わせて変形したものである。

切り取った部分の体積Vと、切り取りにより残された部分の体積Vuは以下に示す数式で計算される。

 ここに、

   

    

数式が誤っているとの誤解を生みやすい事象発生と それを避ける対策について

上記3A⇒3B⇒3C⇒3Dと切断角γを連続的に変えて体積Vの値の変化具合を見ようとする場合、各々の境界領域すなわちγがδまたはπ/2に極めて近い値をとる時には、式中で(0に極めて近い数値)×(無限大に近い数値) という演算が生じるので、実際の計算において有効数字桁数が十分でない場合には無視できない大きな誤差が出る結果となり、数式はあくまで正しいのに、数式そのものに誤りがあるのではとの誤解を生みやすい。そのような誤解を生む事態を避けるための目安として、有効数字桁数を15桁以上、望ましくは18桁以上とする演算が推奨される。その推奨に従えば、工業的に十分な計算精度が常に確保される。

数式の正しさの裏付け

百科事典Wikipediaは記載情報の信頼性が大事である。記述内容に万一でも間違いがあってはならない。そのために、第三者執筆による情報を元として照合できることが望ましい。

その観点で、上記の式(2), (3), (4)については、Casio Keisanサイト(b)で正しさが十分に検証された参考文献(1), (2)の内容との整合性が確認できることより、正しさが客観的に裏付けられる。

しかし、上記の式(1)およびそれに続く式(A)、(B)、(C)については、同サイトに掲載はあるものの(5)~(7)、サイトの付記として「本ライブラリは会員の方が作成した作品です。 内容について当サイトは一切関知しません」との断り書きがあり、正しさが保証されるほど十分な検証がなされているとは言い難く、現時点では第三者的客観性による裏付けを示すことはできない。

但し、数式の正しさを裏付ける証拠となる数式導出証明書が外部リンク(a)に示される。

その内容構成は、長文ではあるが特別に難解でもない普通の数学的積分計算により正当な手順を用いて導かれた数学的証明式の展開であるので、高等数学の知識をもってすれば、正当性は納得される。その中には、数式(2), (3), (4)の証明も併せて記述されている。

数学における数式展開というものは、本来それ自体 客観性を持っているので、第三者的客観性はなくとも客観的裏付けになり、正しさの確認には十分である。

参考 数式の正しさの簡便な確認方法

数式の正しさの確認には、上記導出証明書(a)を読解して確認するのが本筋ではあるが、同証明書は数式の展開部分だけでも10頁に及ぶ大巻であるため、それを最初から最後まで逐一検証するのは尋常でない長時間の労力が強いられ、その点が利便性を重視する百科事典としてのWikipediaの特質にはそぐわない。もっと簡便な確認方法が示されることが望ましい。また、本筋とは別の方法による念押し確認のあることが信頼性をより高めるとの観点から望ましい。

その趣旨に添い、数式の正しさの確認をより簡便にポイントチェックできる別方案と、その実行例を以下に提示する。

体積計算式を簡便なポイントチェックで確認する方法

ここで示す確認方法は、円錐の一部を切り取った部分の体積を一種の近似数値積分で求めてその値を上記数式(1)、 (A)、 (B)、 (C)での計算結果と比較し、よい一致を見ることで行うものである。一度の計算で一条件しか扱えず、あらゆる切断条件を包括して扱うことはできないが、任意のどんな切断条件においても共通に適用でき、かかる手間も比較的に少ないので、十分に多くの切断条件での計算を実施してみることが現実的に可能である。そのすべてが上記数式(1)、 (A)、 (B)、 (C)での計算結果とよい一致を見れば、それらの数式の正しさの傍証となる。

近似方法は以下の通りである。 例えば、図3左端に図示する切り方をした部分円錐の体積を計算する場合、同図の真ん中に図示するように近似する。

切断面頂部よりも上の部分は円錐形であるので、円錐体積の普通の計算式を用いて体積を算出する。

それよりも下の部分は水平に数十等分割してできる多数の薄い弓形板に近似する。この薄い弓形板の体積の値は、よく知られた弓形面積の計算式に厚みΔtを乗ずれば得られる。その計算式を構成する半径rと角度θは、ここでは記述を省略するが、高さxの簡単な一次関数となる。

確認計算の実行例

この方法は、筆者自身が上記数式の正しさ確認の念押し傍証として様々な切断条件にて実施し、結果、そのすべてにおいて、数式(1)、 (A)、 (B)、 (C)による体積計算値と近似積分によるそれとが非常に高い精度で一致する(両者の差は1万分の1未満である)ことを確認できている。表1にそれらの確認計算の中の代表例を示す。

そのような高い精度での一致具合から、数式(1)、(A)、(B)、(C)は正しいものと判定できる。

参考文献[編集]

(1) 著者名不詳: 「一部が欠けた直円錐の体積」, keisan 生活と実務に役立つ計算サイト

(2) 著者名不詳: 「斜切円錐の体積」, keisan 生活と実務に役立つ計算サイト

(3) J007BOND: 「円錐の切り取り 体積計算 1. 縦切り」

(4) J007BOND: 「円錐の切り取り 体積計算 2.切断面が底面に接する斜め切り」

(5) J007BOND: 「円錐の切り取り 体積計算 3A. 斜め切断角度が底角より小」

(6) J007BOND: 「円錐の切り取り 体積計算 3B. 斜め切断角度=底角」

(7) J007BOND: 「円錐の切り取り 体積計算 3C. 斜め切断角度が底角より大」

外部リンク[編集]

脚注[編集]

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注釈[編集]

出典[編集]