不安全行動

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
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不安全行動(ふあんぜんこうどう)とは、おもにブルーカラー作業における労働時に、安全でない、事故につながるとされる行動のこと。偶発的な行動を、ヒューマンエラーとして区別し、意図的なもののみを不安全行動と呼び分ける場合もある。

特に大型機械や高圧電力を扱う場では、ひとつの不安全行動が重篤な事故を引き起こす可能性があるため、厳に慎むべきものである。

安全に対する配慮を欠いた行動は、原因別(安全性を担保できない作業環境(不安全状態)に起因するもの、との2種の原因に分類した)労働災害の統計で、実に原因の90%以上に含まれ、不安全行動の徹底した排除が、労働災害減少に欠かせない。

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不安全行動の例としては、次のようなものが挙げられる。

  • フォークリフト等が行き交う物流拠点で、決められた作業用通路を使わず、近道をした。→作業用通路外は車両が通行するので、接触などの危険がある。
  • かんたんな異物を取り除きたいが、電源を切るのが手間なので、作動中の機械に直接触った。→回転体や刃物に触れると、怪我をしたり、身体が巻き込まれる危険がある。
  • 慣れた現場だから、あるいは短時間の作業だからと、高所にも関わらず安全帯などの装備を怠る。→1メートルは一命取る、との言葉通り、墜落災害は労働災害による死亡原因の多くを占める。落ちたら死ぬ。

原因[編集]

原因は、次のように分類できるとされる。

  • 心理的側面→手抜きや怠慢、あるいはうっかりミス。または、安全対策の忘却、性格、競争心など。
  • 生理的背景(身体的側面)→疲労や二日酔い、体調不良。または、体力の問題や、加齢などでの身体機能低下。
  • 管理面→現場におけるコミュニケーションの不足や、現場の忙しさ、慌ただしさ。あるいは、管理者の安全に対する意識不足。
  • 教育訓練→安全教育の不足、効果の低い教育。
  • 作業者の技能→訓練の不足、あるいは熟練故の慢心。
  • 作業所の設備→安全装置の不備や不足、装置や器具の使いにくさ。あるいは、作業手順における複雑な動作の要求、無理な姿勢の要求。
  • 作業所の環境→適切な明るさでない(暗すぎる、あるいは手元だけ明るく足元などが見えづらい)、通路が確保できないなど整理整頓の不足。または、気の散るような音、匂いなど。
  • 生活上の背景→不安や悩み事の存在など。あるいは、疲労や二日酔いに繋がる通勤手段、飲酒。

対策[編集]

安全教育の徹底を計ったり、危険予知活動を通じて、作業員と管理者双方の、安全管理意識を強めていくしかないとされる。教育用のツールは、事故事例ビデオ、VR墜落体験など、危険性をより実感できるよう進歩している。

また、管理者が作業員毎の個性をつかみ、作業員同士で注意をかけ合える、風通しの良い職場作りも有効とされる。

結局の所、人間が実作業を行う以上、気の緩みやうわの空になる状態を完全に無くすことは難しいため、安全対策をより進化させていく必要がある。