チ・血・チ・チャット
チャットとは、公共料金(現春戸あき氏)が製作したFLASHムービー作品である。当項目はYoutube等の掲載タイトルで知られる『チ・血・チ・チャット』で表記する。
概要[編集]
2002年頃に作られたFLASHムービーであり、ビールが開設したホームページに設けられたチャットルームに、ネットサーフィンでたどり着いた恵(本名「恵太」)が入室し、話が進むと最悪の隣人トラブルを迎えるいわゆるホラー系FLASH作品である。
公開当時のインターネット利用者も「六次の隔たり」が出来ないぐらいの少ない数であり、「ありえなくはないが現実離れしすぎている」という『世にも奇妙な物語』的な作品として捉えられていた。
しかし現代のインターネット事情を考慮すると、むしろこうした問題は起こり得る可能性がかなり高くなっており、チャットという文化ではなくTwitterなどのSNSといった形で実際にトラブルとして現れている。
また今も変わらないリアバレの概念と特定のパターン、偽性別のネカマ、レオパレスなどを代表する壁の薄い物件、そして集合住宅におけるスラング「壁ドン」などは、現代にも通じる内容でもある。
ムービーには当時運営していたホームページのURL「http://kigaru2.kakiko.com/spoon/
」が記載されている。(現在はドメインごと消えている模様)
登場人物[編集]
ビール[編集]
アパートの106号室でホームページを運営する男性。 ホームページでは女性を演じるネカマであり、趣味のパチンコや回転寿司巡りなどを日記にして公開していた。
普段の仕事の関係で深夜2時頃にアラム・ハチャトゥリアンの『剣の舞』を大音量で流すという壁ドン案件まっしぐらの近所迷惑騒音行為をしながらホームページの運営作業やチャットを行っていた。
隣の105号室に居る恵太のことはよく知らないらしく、チャットで根暗社会人と評したり、自らの体力に自信があるなど、今で言う陽キャに近い性格を持っている様子である。
作品の描写からして、恵太からのうらみである包丁リア凸によって物理的に報復されたと思われる。 ちなみに料理には興味がないのか、恵の押し売りに嫌悪感を示していた。
恵(恵太)[編集]
アパートの105号室でビールのホームページをたまたま発見した男性。 ビールが女性ということもあって恵太も女性の恵としてチャットルームに入室したが、ビールの発言と前に見た日記から「いつも隣でうるさい隣人」と特定し、最終的には報復行為に出る。
普段は営業マンをやっているらしく、自身の自炊技術を押し売りするような勢いでビールにレシピを教えていたぐらいである。
隣の106号室に居るビールのことは「隣のうるさいクソ」としか思っていないが、実際の姿はあまり見ていない模様。 また、普段からのクセなのか、インターホンのボタンを3回押すということを予告したり、それをちゃんと実行するという礼儀正しさもある。
結局報復行為が成されたのか逆に返り討ちに終わったのかは不明だが、少なくとも惨劇回避とはならない状況であることは確定的と言える。 また、ビールが言っていた「普通は大家さんに言うことだろ」というド正論も突っぱねていた。
どうすればよかったのか[編集]
少なくとも近所迷惑の騒音撒き散らし行為の観点から100%の割合でビールが悪いのだが、この行為に対して正しい行動を取らなかった恵太にも問題はあるとし、いわゆる「イキスギ両成敗」の一種として考えるべきである。
当時のラジカセやイヤホンの事情を考慮しても、ビールは少なくとも近所に気を配るぐらいの行動は取れるだろうし、ド正論である「まずは大家に報告」や「酷ければ警察へ通報」という選択肢も残されていた。
その観点から考えれば、どちらも行き過ぎてしまって結果両成敗の状況下に陥ったと考察出来る。
事前の対策[編集]
もちろんビール側に対して騒音をまき散らさないための対策もあるのだが、ここではそれ以外の観点でも述べておく。
開示する情報の制限[編集]
現代における「特定」の手法にも関係するが、少なくともインターネットにホームページを公開している以上は誰からも見られるという観点を踏まえて、特定されるような情報の開示は絶対レベルで禁止すべきである。
今回の場合、ビールは「パチンコや回転寿司などの新装開店情報」や「近くにあるスーパーマーケット名」だけでなく、「自分が住んでいるアパートの大家や家賃」という致命的すぎる情報を開示していたようである。
少なくともそうした情報を開示していなければ、偶発的に地震が同時に発生しても違う場所でたまたま起きていたんだなとしか思えないのである。 またそれによって音楽の趣味もクラシックという偶然度が高いので、そこから特定される可能性も低いといえた。
近年こうした特定される行為(いわゆる「リアバレ」)はテレビ等でも注目されており、その度に「Twitterやめろ」や「インターネットやめろ」の画像が投稿される毎日となっている。
最悪SNSを使わないのであれば使わないのも立派な戦略と言えるが、デジタルネイティブの時代でそれを行うのは人によっては無理ゲーと言えるレベルであり、だからこその特定されるような情報を開示しない正しい情報リテラシーの獲得が急務とされている。
手紙などによる個人レベルでの警告[編集]
それこそレオパレスウォールで日夜起きている「壁ドン」というのは個人レベルでの警告の象徴でもあるが、そうでないにしても手紙をポストに入れたりドアの前に警告文を貼るなどは可能である。
場合によってはイヤホンを使うといったことでイヤホンをプレゼントしたり、現代においては防音対策を一緒に考えるという高度で建設的な対策も取れたと言える。 チャットで言ってしまうのも手ではあるが、情報漏洩の観点から手紙等で警告するのが安全だろう。
この作品から得られた教訓と未来[編集]
今でこそホームページもチャットも文化的に存在しないことが多いが、逆にTwitterといったSNSで同じようなケースが起こりうる可能性がかなり高くなっている。 特に近年はそうしたトラブルが無いのにも関わらずリア凸される危険すら存在している。
いきなりのダイレクトメッセージやリプライが届いてくる可能性も0%ではないため、利用する時はそのリスクも検討すべきである。 また、FacebookやYoutubeではもっとそのリスクが高くなることは留意すべきである。
また、不幸にもレオパレスウォールの薄い壁を持った物件の場合、隣人には届かない場所へ音源を別に移したり壁などに防音素材やシートを貼るといった対策をしたり、場合によっては物件そのものを変更するといった行動も必要となってくる。
近年のテレワークによる巣篭もり事情を考慮すると、こうしたトラブルはもっと増えるだろうから、これから建設される建造物は最初から防音対策がなされている物件を求められるため、必要ならJISなどに掛け合う必要も出てくるかもしれない。
関連作品[編集]
海外のBruno Bozzetto氏が制作したFLASHムービー作品であり、こちらもアパートの騒音問題をメインに扱った作品となっている。
当作品ではより一層の問題性を出すために、すぐ近くに空港があって騒音対策がなされていないクソ物件の仕様で、ペットや楽器の持ち込みが可という、リア凸絶対不可避床しかないので壁ドン無しという最悪な設定になっている。
偶然にもこの作品でも殺人に発展しているのだが、明確な描写で全員お陀仏になっていたり、そもそもチャットで出会ったという話ではないなどの違いは多い。(ほぼ間違いなく偶然の産物と思われる)