シ♭
シ♭(シのフラット)とは、西洋音楽における音名の一つ。幹音上の音程から見て、ドから♭7度=短7度に当たる。黒鍵の音の一つ。楽譜上の音符のシの位置を変えずに半音下げた音。チューニングの基準音「440Hz」より半音上に当たる。
各言語の音名[編集]
「シ♭」はイタリア音名、日本音名は「変ロ」、英語音名では「B♭(ビーフラット)」、ドイツ音名では「B(ベー)」。「シ♭=シb」「B♭=Bb」。オクターブ表記における音名は、英語音名を用いる。
ここで、ドイツ音名のBには問題がある。Bは、英語音名では「シ♮=ロ音」であるが、ドイツ音名では「シ♭=変ロ音」であり、音名のBは、「シ♮=ロ音」と「シ♭=変ロ音」の2種類の音高の表記が存在するので、「シ♮=ロ音」と「シ♭=変ロ音」が混同しやすく、「シ♭=変ロ音」「シ♮=ロ音」か区別できず、どっちか迷ってわからなくなり、混乱を招く。ドイツ音名では、Bは「シ♭=変ロ音」、「シ♮=ロ音」はHというのが、まさに変則的なルールになっている。
移調楽器の表記では、「シ♭=変ロ調」は、英語音名の「B♭管」のみ用いる。
音高\各言語 | イタリア音名 | 日本音名 | 英語音名 | ドイツ音名 |
---|---|---|---|---|
シ♭=変ロ音 | シ♭ | 変ロ | B♭ | ★B |
シ♮=ロ音 | シ♮ | ロ | ★B | H |
異名同音は「ラ♯」。
音高\各言語 | イタリア音名 | 日本音名 | 英語音名 | ドイツ音名 |
---|---|---|---|---|
シ♭=変ロ音 | シ♭ | 変ロ | B♭ | B |
ラ♯=嬰イ音 | ラ♯ | 嬰イ | A♯ | Ais |
──────┐ シ♭■──┤ ■──┤ ■──┤ ──────┤ ■──┤ ■──┤ ──────┤ シ♭■──┤ ■──┤ ■──┤ ──────┤ ■──┤ ■──┤ ──────┘
各オクターブのシ♭[編集]
オクターブ表記 | 周波数 | ノートナンバー | 備考 |
---|---|---|---|
B♭-2 | 14.56761755Hz =約14.57Hz |
10 | |
B♭-1 | 29.13523509Hz =約29.14Hz |
22 | コントラファゴットの最低音の実音、Bb管チューバの最低音の実音 |
B♭0 | 58.27047019Hz =約58.27Hz |
34 | ユーフォニアムの最低音の実音、ファゴットの最低音の実音 |
B♭1 | 116.54094038Hz =約116.54Hz |
46 | |
B♭2 | 233.08188076Hz =約233.08Hz |
58 | オーボエの最低音の実音 |
B♭3 | 466.16376152Hz =約466.16Hz |
70 | テナーバストロンボーンの最高音の実音 |
B♭4 | 932.32752304Hz =約932.33Hz |
82 | |
B♭5 | 1864.65504607Hz =約1864.66Hz |
94 | |
B♭6 | 3729.31009214Hz =約3729.31Hz |
106 | |
B♭7 | 7458.62018429Hz =約7458.62Hz |
118 |
音階上の位置[編集]
このページでは、「シ♭」のみについて説明しています。異名同音の「ラ♯」は、別のページになります。
- 変ロ長調の第1音
- 変ロ短調の第1音
- 変イ長調の第2音
- ト短調の第3音
- 変ト長調の第3音
- ヘ長調の第4音
- ヘ短調の第4音
- 変ホ長調の第5音
- 変ホ短調の第5音
- ニ短調の第6音
- 変ニ長調の第6音
調性の役割では、「シ♭」は、調性の基準音にすることができ、その調名は、「調号♭2個」で、「変ロ長調」である。変ロ長調の構成音は「シ♭.ド.レ.ミ♭.ファ.ソ.ラ.シ♭」。もし、変ロ長調の基準音「シ♭」を、異名同音の「ラ#」に変換し、「嬰イ長調」にすると、調号の数は「#×10個」になり、ファ・ド・ソがダブルシャープになり、嬰イ長調の構成音は「ラ♯.シ♯.ドx.レ♯.ミ♯.ファx.ソx.ラ♯」になり、調号#の数があまりにも多過ぎてしまうからである。