かげろうは涼風にゆれて
『かげろうは涼風にゆれて』とは、言ノ葉迷宮が製作したフリーのノベルゲーム。元々はコミックマーケット72で頒布されたものだが、2008年8月からフリーソフト化された。
概要[編集]
【注意】 以下にはネタバレが含まれています。ネタバレ部分は白文字で表記されています。反転してお読みください。
「ホラー風味」とよく紹介される(公式ページでもそう書いてある)が、極端なおどろおどろしいシーンは存在せず、小学校低学年ならまだしも、中学年以上ならホラー嫌いの人でも問題なく楽しめる内容である。むしろ「SF風味」といったほうが近い。
主人公・陽ノ原は、恩人である涼炎寺博士の「閉鎖実験」の実験体となるため、孤島に向かう。「閉鎖実験」とは、10日ほどのあいだ一つの部屋から出ずに過ごす、というもので、涼炎寺の娘・青海とペアになり、これを行う。ところが明くる日には、トラブルにより実験が中止になったことが、博士から打ち明けられる。「閉鎖実験」が中止となった穴埋めに、別の実験を行うことになるのだが・・・・・。
エンドは5種類ある。1と2は誰でも簡単に見ることが出来る。1,2までだと「え、なにこれ? 別の実験ふつうにやって終わりやん」という感じで、このノベルゲームの面白さに、まだ気付くことが出来ない。なお3-5は白文字で記述している。
- 計画成就
- 計画失敗
- 炎上
- 一歩、及ばず
- 遥かな未来へ
1-2から3に辿り着くまでには結構な発想の転換を要する。ノベルゲーに馴れていない人だと、ここらで一回諦めたくもなるが諦めてはならない。3から4-5に辿り着くのもなかなか難しいが、感覚論としては、1-2から3ほどの発想の転換は要さない。なお、End4とEnd5は兄弟のようなもので、一方が見れれば確実にもう一方も見れる。
以下、ややネタバレを含む解説につき、白文字。
このノベルゲーの面白さは、一見単なる酔狂科学者の軽い実験かのように思わせといて、超弩級のぶっとんだSFストーリーである、というところである。然し、涼炎寺博士は上手くそれを隠して、何てことない軽い実験に見せるし、またノベルゲーとしての切り取り方自体も、そのペテンに気付きにくいように演出されている。その意味では本作は「叙述トリック」作品なのだ、ともいえる。一人称視点のノベルゲーという方式に目をつけ、本作をつくった製作者の発想力は並みではない。
(ここまで)