ア・カペラ

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ア・カペラ(a cappella。アカペラとも)とは、イタリア語で無伴奏で合唱・重唱すること。英語のin chapelに相当し「礼拝堂で」という意味の副詞句でもある。

概要[編集]

「バーバーショップ・スタイル」(床屋の男性客が、順番待ちをしているときに暇潰しのために唄う男性グループのスタイル。デュオ、トリオ、カルテットのうちカルテットが多く、ダーク・ダックス、デューク・エイセスなどが知られている。ダーク・ダックスは「ア・カペラ」というアルバムも出している)の合唱曲に多い。男が四人集まればいいので、ソプラノとテナー二人とバスがいればすぐできる。ときに女性ボーカルを交えてクイッテッドとすることもある。

人間生活との関わり・利用[編集]

よく知られた曲としては、ナイロンズの「ライオンは寝ている」がある。近年では やや変則的だが「イエヴェン・ポルッカ」(フィンランド民謡とされる)がある。北欧やロシアでは「ただ立ってるだけだと寒いだけ」なので暇潰しのためにアカペラが愛されるという。ただし、楽器が不要であるために身一つでよく、誰かが始めると他のメンバーもノらざるを得ず、それで飲み屋を数 軒追い出されたという筒井康隆の述懐がある。

野外派の天文マニアは望遠鏡の順番待ちなどで「寒空の下で“ただ待つ”だけ」の時間を持て余してアカペラにはまる奴もいる。スキャットやボイパ(ボイスパフォーマンス)もアカペラと混成する。観測地で天文屋が四阿(あずまや)を先に占有されて「くそぅ!」とかボヤいていたら中から校歌が聞こえてきたから「後輩か?」と声をかけたり、学校祭の夜に母校の近くで飲み屋を探していたら大手の居酒屋チェーン店が「本日貸切」だったので「くそー」と立ち去ろうと思ったら店の中からハイドンの「メサイア」の「ハレルヤ・コーラス」が聞こえてきて突入したら顔見知りだったとか、コミュニケーション・ツールとしては活用できる。デュオ曲としては『春』が有名。

『ケチャ』(ケチャック)は打楽器が入るがアカペラに分類してもいいと思う。ブルガリア民謡もアカペラ向きだが、不協和音があるので難度が高い。

能における「口唱(くちずさみ)」もアカペラだが、めったに聴く機会がない。神奈川県阿夫利山で行われる「大山能」は、リハーサルは三調一管の四人が楽器を持たずに集まって(しかも全員流派が違う)、「口唱でリハして本番一発合わせ」という絶技をおこなっていたという。現代では同じ一門で行われているらしい。「序の舞」を聞くと「オヒャーラーイホウホウヒ、オヒャーラーイヒウヤ、ヒウールーイホウホウヒ ……」と歌詞(本当は楽譜)が出てきてしまう。三味線も「チン・トン・シャン」で合わせるので、リハは口唱であるという。

関連作品[編集]

  • 映画『天使にラブソングを』
  • 藝能山城組の楽曲

脚注[編集]