環状交通

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環状交通(かんじょうこうつう)とは、都市計画において、都心部と郊外を結ぶ放射交通どうしの移動を担う交通路線のこと。円を描くように設置されることから、環状と呼ぶ。決して旅情を掻き立てるような感情的な交通の事ではない。また、必ずしも円を完成させているとは限らず、円弧状であったり、あるいは直線的なものでも環状交通と呼ぶ。これは、見た目というよりも機能の観点からの分類である。

特徴[編集]

放射交通は都心から離れていくように伸びるが、環状交通は都心部から同心円状につくられ、放射交通どうしの行き来を確保する。また、もっとも都心にある環状交通は、各放射交通の起点を担う。

都心部から一定の距離を保って円を作る場合と、むしろ直線的な線形を選択する場合がある。また、環状交通から分岐して他の環状交通を設置する場合もあり、これらは地域の交通実情・需要に応じて選択される。

環状交通はまた、都心部での交通需要の低減を担う。たとえば他の都市同士を結ぶ目的で、都心を通過する交通が多いと、都心に用事が無い需要によって限られた交通容量が埋められてしまう。これを郊外に逃がし、環状交通によって迂回させる形をとらせることで、都心部での交通環境改善に繋げることができる。

ただし、都心通過交通に対して環状交通を利用させるのは難しい点もある。特に高速道路では、渋滞が避けられるなどのメリットはあるものの、環状交通利用によって必然的に走行距離が長くなる。高速道路は対距離課金が主流であるうえ、燃料も余計に使うことになり(言うて渋滞でずっとアイドリングしてるよりはマシだけども)、環状交通を利用する動機が弱い。この対策として、無線通行(ETC)では都心迂回時の料金を割り引いたり、逆に都心を通過するのみであれば追加料金を課したりして、誘導を行っている。

鉄道では、都心部の環状交通は放射交通の起点としてのターミナル駅を相互に結ぶ重要な路線である。また郊外部の環状交通は、沿線住民を放射交通との接続駅に送り届ける通勤・通学路線としての顔と、広大な土地を要する貨物駅を複数擁した物流の最前線としての顔を併せ持つものもある。

実例[編集]

フランス・パリにある凱旋門を取り囲むシャルル・ド・ゴール広場は、機能としてはラウンドアバウト交差点(環状交差点)に過ぎないが、放射交通の起点でありそれらを相互につなぐという機能を見ると、小さな環状交通でもあると言える。

日本・東京に目を向けると、最も小さな環状交通単位は、皇居を取り囲むように走る道路、内堀通りが挙げられる。東京では環状交通が円状を達成している例が多くない。鉄道では山手線が、首都高速道路では首都高速都心環状線および中央環状線湾岸線、一般道では内堀通りのほか山手通り(環状6号線)が円状であるが、鉄道・武蔵野線や道路・環七通りは東京湾に阻まれ円としての完成を遂げることなく、惜しくも分断されている。

また東京における都心迂回を目的とした環状交通として、鉄道では武蔵野線、道路では首都高速中央環状線が大きな成果を上げている。前者は貨物列車を都心に流入させない目的で作られ、貨物輸送を確保しながら都心部の旅客需要増大に対応した。後者は羽田空港と渋谷・新宿方面を結ぶ交通を受け入れ、都心を迂回させることで渋滞削減に寄与している。