フォニックス

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フォニックス(phonics)とは、アルファベットの綴り字と発音の関係にある規則を理解することで、英語・外来語の発音を学ぶ学習法のことである。音声学。アルファベットの音価。フォニックス読み。

概要[編集]

外来語のフォニックスは、基本的には英語である。英語は、一つのアルファベットにいろんな発音が対応し、文字の綴りと発音が完全には一致しない。実際学校英語でも、綴りと発音を単語ごと個別に覚える様な教育がなされている。しかし、実際は、完全ではないながらも綴りと発音の間にはある程度の規則性がある。ある発音がどの文字群と結び付いているかを知り、その規則性を知ることで綴りと実際の発音との間の法則を学ぶことができる。中にはローマ字での発音の法則も理解できるものもある。この点に注目した英語学習法がフォニックスである。語源はphoneから派生した言葉に由来する。

フォニックスの発音規則と、日本語のローマ字表記との違いは、子音はローマ字読みとよく似ているが、母音はローマ字読みと大きくかけ離れているものもある(意味:母音もローマ字読みと同じようなものもある)。母音をローマ字読みに従って書くと、ローマ字風フォニックス読みといえる(?)。

言語の発音を表す記号を「発音記号」という。「国際音声記号」とも書かれる。発音記号は、日本語の仮名表記・カタカナを加えて表記した方がわかりやすい。日本語の場合、ひらがなやカタカナは1文字=1音で、発音が文字になっていて、文字と発音が一致しているため[1]、「あいうえお…」の五十音は、読み方はそのまま「あいうえお…」であるが、英語の場合、アルファベット読みは、「ABCDEFG…」=「エー,ビー,シー,ディー,イー,エフー,ジー…」で、アルファベット読みは発音ではなく名前、文字の名称な上に、発音もそれぞれ何種類もあり、アルファベットだけでは英語の発音が分からない。そこで必要になってくるのが「フォニックス」であり、フォニックスは「ABCDEFG…」=「ア,ブ,ク,ドゥ,エ,フ,グ…」が基本となるのに加え、cap,tapのaは「ェア」だがcape,tapeのaは「エイ」になるなど、規則性に着目して英語の発音を学ぶ方法である。フォニックスで学ぶアルファベットの発音は、別名「アブクドゥ発音(アブクド発音)」とも呼ばれる。例えば、G(ジー)は単語になると、「グ」と読む。日本語のカタカナ表記はだいたいの発音の表記である。フォニックスで対象としているのは本当の英語の発音なので、正確に日本語のカタカナでは表せない気がする。

英語の発音の7割がフォニックスで説明できると言われている。例えばthree, five, sixなどはフォニックス通りの発音である。一方、one, two, fourなどの発音はフォニックスで説明できない。

フォニックスにおける促音は、N・M・R以外の子音(DD、KK、SS、TTなど)が2回続き、ダブル子音になる。ここで言うN・M・R以外の子音が2回続くと促音になるという定義は、N・M・R以外の子音を2回続けたときの第1音節の子音は発音せず、サイレントレターで、休符になることを意味していて、日本語で言う促音「っ」とは異なる。「っ」の音は英語には存在しない。

実際には、英語ばかりではなく、フランス語、ドイツ語、イタリア語など、他の言葉にも同様の概念がある。ただし、ほとんどの言語は綴り字と発音の関係が英語ほど複雑では無いことから、あまり意識されず、通常フォニックスと言うと英語の学習法のことを指す。

下の表は、フォニックスの基本である。

フォニックスの基本
A B C D E F G
ェア(æ) ブ(b) ク(k) ドゥ(d) エ(e) フ(f) グ(g)
H I J K L M N
ハ(h) イ(i) ジュ(dʒ) ク(k) ル(l) ム(m) ヌ(n)
O P Q R S T U
オ(ɔ)、ォア(ɑ)[2] プ(p) クォ(kw) ゥル(r) ス(s) トゥ(t) ア(ʌ)
V W X Y Z
ヴ(v) ウォ(w) クス(ks) ヤ(j) ズ(z)

フォニックスのルール[編集]

ここに記載の通り、フォニックスのルールは複雑で難しい。フランス語の綴り字と発音の関係が、英語のフォニックスとよく似ているがやや簡単なので、フランス語を先に勉強するのも一つの手ではある。

イタリア語ドイツ語などからの借用語も英語には多いが、借用語の発音はフォニックスに適合しないことも多い。楽器名、音楽用語、元素の種類、クラシック用語、色名、速度記号、宝石名、鉱物、車名及び自動車用語、辞書検索、文字検索、食べ物の名前、飲み物の名前、植物、動物、顔料、染料、花の名前、ディズニーキャラクター、店舗の名前、パソコン用語、文章の英語翻訳、各部の名称、メーカー名、曲名、コマーシャル、世界の国名(オプション?)、世界の国の首都(オプション?)、世界の国の都市(オプション?)、言語(オプション?)などの英単語も借用語が多い。借用語の場合、原語に近い発音と、フォニックスに沿った発音の両方が見られる。子音は、母音との組み合わせで、いろいろに変化する。

日本語のカタカナ表記では、英語の正しい発音を表すのは難しいため、本によっては、lの発音はひらがなの「る」、rの発音はカタカナの「ル」で違いを表しているものもある。

英語の発音の7割は、ここに記したルールに従っている。

頭子音[編集]

直後に母音字が続く子音字の発音は次の通り。

B C CH D DH F G
ブ(b) ク(k) / ス(s) チ(tʃ) ドゥ(d) ドゥ(d) フ(f) グ(g) / ジュ(dʒ)
GU H J K L M N
グ(g) ハ(h) / - ジュ(dʒ) ク(k) ル(l) ム(m) ヌ(n)
P PH QU R S SH T
プ(p) フ(f) クゥ(kw) ゥル(r) / ア(ə) ス(s) / ズ(s) シ(ʃ) トゥ(t)
TH V W X Y Z
ヅ(ð) ヴ(v) ウォ(w) グズ(gz) ヤ(j) ズ(z)
  • C,Gは、A,U,Oの前で(k),(g)、E,I,Yの前で(s),(dʒ)の発音となる。
  • H,Sは、語頭で(h),(s)、語中で(-),(z)の発音となる。語中のHは発音しない。
  • Rは、後にアクセントの無いEが続いた時に(ə)の発音となる。

末子音[編集]

直後に母音字が続かない子音字の発音は次の通り。

B C CH D F G GH
ブ(b) ク(k) チ(tʃ) ドゥ(d) フ(f) グ(g) フ(f) / -
H J K L M N P
- ジュ(dʒ) ク(k) ル(l) ム(m) ヌ(n) プ(p)
PH R S SH T TH TS
フ(f) ス(s) シ(ʃ) トゥ(t) トゥ(ɵ) ツ(ts)
V X Z
ヴ(v) クス(ks) ズ(z)
  • GHは、二重母音の後に続く場合は発音されない。
  • Y,Wは、直後に母音字が続かない時は母音字として扱う。
  • Rの発音については、短母音の欄を参照。
  • TSのフォニックスが使われている英単語は、部品の英語表記「parts」がある。

長母音[編集]

直後に末子音、あるいはXが続かない母音字の発音は次の通り。ただし、アクセントが無い場合はア(ə)の発音になる。

A E I,Y O U
エイ(eI) イー(iː) / (-) アイ(aI) オウ(oʊ) ユー(juː)
  • Eは、単語の最初の母音で無くかつアクセントが無い時は発音しない。
  • 直後にRが続く場合は、エア(eə)、イーア(iːə)、アイア(aIə)といった具合に後にア(ə)の音が続く。

短母音[編集]

直後に末子音、あるいはXが続く母音字の発音は次の通り。ただし、アクセントが無い場合はア(ə)の発音になる。

A E I,Y O U
ェア(æ) エ(e) イ(I) オ、ォア(ɔ,ɑ) ア(ʌ)
  • Oの発音はイギリスとアメリカで異なる。
  • Wの後に続く時、Aは「オ、ォア(ɔ,ɑ)」、Oは「ア(ʌ)」の発音になる。

なお、末子音がRの時は、特殊な発音になる。

AR ER IR OR UR
アー(ɑː,ɑːr) アー(əː,əːr) アー(əː,əːr) オー(ɔː,ɔːr)、アー(ɑː,ɑːr) アー(əː,əːr)

二重母音[編集]

母音が二つ続いた時、あるいはYやWが後ろに続いた時は次の通り。

AI,AY AU,AW EA,EE,EI,EY EU,EW IE,YE OA,OE OI,OY
エイ(eI) オー(ɔː) イー(iː) ユー(juː) アイ(aI) オウ(oʊ) オイ(ɔI)
OO OU,OW UE
ウー(uː) アウ(aʊ) ユー(juː)、ウー(uː)
  • 直後にRが続く場合は、エア(eə)、オーア(ɔːə)、イーア(iːə)といった具合に後にア(ə)の音が続く。
  • 二重母音のスペルで、「UU」「AA」もあり、vacuum, bazaar, aahs, taaffeiteがある。

脚注[編集]

  1. 実は一致していない説もあり、例えば「ん」は、外国人の耳には複数種類ある様に聞こえるらしい。
  2. ɔはイギリス英語(?)、ɑはアメリカ英語(?)。英語におけるOの音価は、全部で「オ(ɔ,o)」「オー、オウ(oʊ)」「ォア=『オ』と『ア』の中間(ɑ)」「ア(ʌ)」「ウー(uː)」「wʌ(ワ)」。フォニックスでの扱いは後述。

外部リンク[編集]

Wiktionary-logo.jpegウィクショナリー付録:日本語の発音表記の項目があります。

関連項目[編集]