鹿児島ゴルフ指導者準強姦事件

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

鹿児島ゴルフ指導者準強姦事件(かごしまこるふしどうしゃじゅんごうかんじけん)とは、2006年鹿児島県鹿児島市でゴルフ指導者が起こしたたとされた準強姦事件。そのゴルフ指導者は不起訴処分になるも、2度に渡り起訴相当の議決がなされて強制起訴された。

概要[編集]

2006年12月9日ゴルフ練習場経営者でゴルフ指導者I[1]が、ゴルフ指導を女子高校生A(当時18歳)を鹿児島市のホテルに連れ込み、極度に困惑して抵抗できない状態に陥っていることを認識しながら乱暴したと女性Aが訴えた事件。

2011年4月鹿児島県警はゴルフ指導者I(経営者)を書類送検。その後、鹿児島地検は「女子高校生Aが拒否の意思表示をしていなかった」として、嫌疑不十分による不起訴処分とした。

不起訴処分を受けて女性Aは、2012年2月20日に鹿児島検察審査会に不服を申し立る。2012年5月11日、検察審査会は起訴相当の議決をする。議決書では、「18歳という年齢や指導者との師弟関係から、女性が抵抗することが困難だった」とした。起訴相当の議決を受けて鹿児島地検は再捜査するも、2012年8月3日に再び嫌疑不十分による不起訴処分とした。鹿児島地検は「被害者が同意していなかったのは明らかだが、抵抗が困難だったと証拠によって認定するのは困難なため」と判断した[2]

2度目の不起訴処分を受けて、女性Aは鹿児島検察審査会に再び申し立てを行う。2012年10月24日、鹿児島検察審査会は10月23日付けの決定で、起訴相当の議決をした。議決書では、「被告が否認しているが、申立人の女性の供述は信用性があり、多数の間接事実も存在する」とした。間接事実として、「行為に及ぶ直前の30分間ゴルフに関する説教をすることにより、女性Aの従順な性格を利用して行為を受け入れざるを得ない状況に追い込んでいった」と指摘した。

2012年12月12日、ゴルフ指導者Iは準強姦の容疑で在宅起訴された。制度開始後の強制起訴は全国で7件目で、性犯罪としては初。

裁判経過[編集]

2013年6月20日、強制起訴による初公判が開かれた。検察役の弁護士は、「Iがゴルフ指導を口実に女子高校生を鹿児島市のホテルに連れ込み、女性Aが恐怖で思考停止しているところに、年齢や師弟関係から抵抗できない状態にあったことを知った上で乱暴した」と主張。弁護側は、「厳しい師弟関係はなく、抵抗できなくなるようなことはない。ゴルフの指導を口実に女子高校生に乱暴を加えたことはなく、Iの供述通り、抵抗なく受け入れられたと認識していた」として無罪を主張している[3]。2013年7月12日に、2回目の公判が開かれ、女性Aに対して証人喚問が行われた。女性Aは、日常的に叩かれたり怒鳴られたりと、恩を感じる部分はあったが、厳しい師弟関係があったと証言した。

2013年12月25日の5回目の公判では、女子高生の精神鑑定をした精神科医が呼ばれた。精神科医は「ドメスティックバイオレンスの被害者の心理状態に酷似している」と述べた。2014年1月16日、指定弁護士(検察側)は懲役4年を求刑した[4]

2014年3月27日鹿児島地裁安永武央裁判長)は、無罪判決を言い渡した[5]。判決では、女子高校生の供述が捜査段階と公判で異なっていることに対しては、時間の経過による記憶の変容の可能性があり、公判供述の方が信用できるとは限らないとした。また、検察官役の弁護士の厳しい師弟関係があったという主張に対しては「強い従属関係だったとは認められない」とした。以上から、「性的交渉が真意に基づかないにしても、拒絶できなかったわけではない」と結論付けた。4月7日、検察官役の指定弁護士は判決を不服として控訴した。

2014年12月11日福岡高裁宮崎支部(岡田信裁判長)は控訴を棄却して無罪判決を支持した[6]。判決では、信頼を裏切られて精神的に混乱していたことで女性が抵抗できない状態だったと男性Iを「卑劣極まりない」としたが、女性が抵抗できない状態だと男性が認識していない可能性があるとして、準強姦罪が成立しない可能性があるとした[7]

2016年1月14日最高裁第一小法廷(池上政幸裁判長)は指定弁護士の上告を棄却し、Iの無罪が確定した。

備考[編集]

脚注[編集]

関連項目[編集]